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Paramore「this is why」 バンドとして紆余曲折や試行錯誤を経て完成した新作が完全無欠のロックアルバムで最高に感動的!

先日リリースされたこのアルバムが傑作でした。

Paramore「this is why」


アメリカのロックバンド、Paramoreの新アルバム「This is why」。

既に昨年から何曲かシングルがリリースされていて、それを聴いてるだけもアルバムが楽しみだったのですが、いざアルバムとしてリリースされた作品を初聴きした時に、

もう本当に感動しちゃってちょっと泣いちゃった~!(泣)


それくらいもうすっごく良いアルバムだったんですよー!!

なので上手く書けるか分かりませんが、私のParamoreの印象と、それを経たこのアルバムの魅力について書いてみたいと思います。

(すみません、レビューめっちゃ長くなってしまった(笑))


そもそも私が最初にParamoreを聴いた時には

そんなに好きなタイプのバンドじゃなかった


Paramoreってデビューはいわゆる「エモロック」とか「エモパンク」と言われるようなロックサウンドのバンドで。

出会った当初の頃の私はイケイケなインディーロックにがっつりハマっていて、ロックで聴いていたアーティストやバンドも今より偏りがあったので(笑)、エモロックって個人的にはあんまりハマる要素が無くて。

なのでそんな日常的に聴いてなかったんです。今の方がそういう無駄なこだわり無く気になるバンドもどんどん聴くようになりました。

そんな中でParamoreは、エモロックバンドの中でも「ボーカルが紅一点」で目立っている印象で存在は知っていたのですが、あんまりちゃんとアルバムは聴いたこと無くて、チャートでランクする売れてる曲を耳にするって感じでした。


ただボーカルのヘイリーがとても歌が上手い事は数曲聴けばもうすぐに分かって

どちらかというと、このフューチャリング系で「あ、やっぱり歌がいいな」と思ってはいたものの、バンドとしてのParamore自体は特に追いかけることもなかったんです。そのうち

このバンドメンバーの脱退劇をニュースで見かけたりしてて。バンドのメンバーの脱退や解散は全然珍しくないけど、Paramoreのこの件は、ファンでもない私でも「大変だな」ってくらいのモメぶりが伝わってて。
最近はこういう内部事情を割と明かさずさらっと公表したり「友好的に」脱退したみたいな発表が多いと思うのですが、この時のParamoreの場合は本当に分かりやすく揉めてる感じが露呈しちゃってて。しかも脱退したのがそれまでのParamoreのソングライティングしていた兄とドラムの弟だったんで、「どうするのかな~」と。

でも、その件を経て2013年にリリースされたその名も「Paramore」ってアルバムの中から

リリースされたこのシングルのこの曲!!

これが個人的にすっごい良かったんですよ!!チャート聴きしてて初めて耳にしたのですが、聴いてすぐに「おー!これはめっちゃいい!この曲人気出るかも」と思って。

それまでのエモロック感な曲より凄くキャッチ―で、ヘイリーの歌ももともと上手いけどより力みが無くて曲にとても合ってて。

アルバム全体も聴いたけど、やっぱりこの曲が個人的に圧倒的に良くて、この曲だけ積極的によく聴いてました。今でもParamoreの中では1,2を争うぐらい好きな曲です。

この曲はグラミー賞のベスト・ロック・ソングも受賞しています。アルバムも1位になって。

「Paramore」とその次の2017年にリリースされた「After Laughter」の2枚のアルバムで、「エモロックからまた違うサウンドに行こうとしているんだな」と分かりました。

「曲がどんどん私好みになってるな~」と思って。インディーロック側にちょっとずつ寄ってきて、ガラッと変わったというわけではないけど「凄く聴きやすくなった」と思いました。

で、驚いたのがまたメンバーが変わっててベースが抜けて、最初に脱退した兄弟のうちドラムだった弟ザックがバンドに戻ってきて、メンバーが3人になってて。こういうこともあって、今までのバンド事情にもなんとなく透けて見える感じがありました。

それからさらに驚いたのが

Hayley Williams 「Petal For Armor」

コロナ禍の2020年にリリースされたこのヘイリーのソロ作!!これがもう本当にめちゃくちゃ良くて、この時点で私的にすでに感動的だったんです。


Paramore名義でリリースされた前2枚よりもさらに前衛的なサウンドでとてもカッコいい曲ばかり!しかもヘイリーの歌の表現力がそれまでのロックサウンドよりも深みや幅の広さを感じて。当時の人気インディ系女性アーティストの曲と比べて聴いても素晴らしくて。

もともと彼女が歌がとても上手い事は分かっていましたが「やりたかったのはこういう事だったのか~」と感動しました。「ソロだったので思いっきりParamoreとは違うことができたのかな」と。

彼女自身がバンドのゴタゴタや自身の離婚でメンタル的にも問題を抱えていた事にもとてもオープンになって、それが歌詞にも反映されていて。聴いていて胸に迫るアルバムで、それと共にここまで変化できる事が「凄い」と思っていました。

あくまで私の好みですが、アルバム「Paramore」から「曲のセンスがどんどん良くなってきてるな~」と感じていたところでこのソロ作で決定的に意識するようになったのが

Paramoreのギター、テイラー・ヨーク。彼が基本的に曲を書いてPDをするようになってから、Paramore→ヘイリーのソロとどんどん曲の良さが段違いに良くなってて「凄いな」と思ってて。

ジャック・アントノフやアーロン・デズナーとかあたりが代表的ですが、あるバンドのメンバーから他のいろんなアーティストのPDをすることもあるので、このソロ作を聴いて「これは他のインディ系アーティストも曲を作ってもらいたいに違いない!これから引っ張りだこだな!」と勝手に思ってたんですけど、他のアーティストでクレジットを見かけることがなかったので「もったいないな~」とか勝手に思ってました。


さらにもう1枚発表したヘイリーのソロ作「FLOWERS for VASES / descansos」はより内傷的でアコースティックなサウンドでした。これは本当にプライベートな作品でほぼヘイリー一人だけで作ったような作品のようです。ここまで行くと本当にParamoreとは別物になっていて、この作品もとても好きになりました。この作品にはテイラーがクレジットされていなかったのですが、コロナ禍で制作された「ヘイリーの本当にパーソナルなアコースティック作品という感じなのかな」と思いました。

「Petal For Armor」や「FLOWERS for VASES / descansos」があまりに良かったので「もうParamoreはやらないかも」と思っていたら、その後に「Paramoreで新作を出す」と発表しててまたそれも結構驚いて。「あの大変だったParamoreからこのソロ作にたどり着いたのに、またParamoreに戻るとは」と。

そして2年を経てこの新作がリリースされました。

素晴らしかったソロ作からまたがっつりとロックサウンドに戻ってきていて、過去経てきたエモロック的な面もメロディなどでしっかりと踏襲しているようにありながら、バンドのアレンジやメロディにしっかりとインディロック的なセンスが過去作と比較してさらに洗練されていて、流行りの曲調とかアレンジじゃないのに

どの曲もとにかく今2023年の空気が満ちていてカッコいい!

以前の作品より明らかにシンプルにそぎ落としたような印象なのに、このアルバム1枚でロックアルバムとしてさらに幅が広がっていると感じます。
アップテンポな曲からミドルな曲まで無駄が無くて、音数もそれほど多くないのに、ギターの音もドラムも全体的に勢いと広がりも感じられて。そこに持ち前のヘイリーの歌が乗っかると最高にカッコいい曲になって。

この「This is why」は今までにない新しいサウンドでギターが最高にカッコよくてサビのキレの良さも抜群な曲、

「Running Time」や「「the News」といったシングル、

「You First」「figure 8」あたりはエモロックで人気だった時からのファンもきっとなじめるような絶妙な取り入れ方だしライブ映えがしそう。


「Liar」「Crave」といったミドルチューンもシンプルだけどそれがかえってエモーショナルで、ロックサウンドとしても勢いを失わずにとてもいい曲で。

最後のゆったりとしたバラード曲「Thick Skull」まで途切れることなく曲そのものの良さと曲に合ったアレンジの気持ちよさが貫かれていました。

ロックって、ポップと比べて思い切った方向性の転向って意外とそんなに簡単じゃないと思うんです。しかもParamoreって人気もあったバンドで成功体験もあるし、名前も広く知られている存在でそれをするのは葛藤もあったかもしれません。今はそうでもないかもしれないけど、「それまでのファンを捨てた」とか外野も色眼鏡で見たりうるさかったり。成功例って実はそんなにないのかも。

それをここまで見事に最高の作品をもって「できる」と証明したバンドになるとは。それは自分たちだけの段階を経て、時間をかけながら少しずつ曲を作り続けてきたからこそなんじゃないかと。

「Paramoreとしての傑作を作ること」を追求して、ヘイリー、テイラー、そして一度の脱退から戻ってきたザックでこの作品を作り上げた事はとても感動的だと勝手に思って。

バンドとしても一人の女性としてもヘイリーのたどった道は決して楽なものではなかったと思います。でもいつも自分の音楽を探し続けて、バンドしてもメンバー変更を経て本当に信頼できる仲間と最高の作品を作ることをあきらめずにたどり着いたこの新作は、そういう面でも私にとってもとてもカッコよく、ますます最高のロックアルバムに聴こえます。「Paramoreになぜこだわったのか」も新作を聴けばすぐに分かりました。ソロ作も含めて今まで経てきた道のりがはっきりと曲やサウンドに表れています。

ヘイリーの生き方やアーティストとしての存在は、恐らく今の若いアーティスト達、特に女性は共感できたり頼りになるところが多いのではないかと思います。順風満帆に来た人よりもより身近に感じるかもしれません。
そして現代の女性にとっても、その曲や歌がとても共感できるようになっているのではないかと思います。自身の才能や仕事との向き合い方や離婚などの経験、メンタルヘルスについてなど。そして年齢性別問わず、特定のジャンルにもハマらずにどんなロックファンも熱狂できるようなアルバムをついに作り上げられたことは本当に凄いと思います。


このアルバムは先日発表されたbillboardのアルバムチャートで2位。UKチャートでも1位を獲得しています。


今作ではメディアへの露出も積極的でロック系の音楽メディアは軒並みカバーになっています。正面きって堂々としていて、決意というか意気を感じます。

私も「最初に知った時はなんだったの?」ていうくらい今作は本当にめちゃくちゃ感動してしまいました!泣くくらいだもんね(笑)
今やすっかりParamoreに夢中で、来日したら絶対にライブに行きたい存在です!!

もはや今後は大型フェスのトリまで務められるぐらいの存在になってきているのではないかと思います。本当に感動的ですね!早くライブ観たいよー!!

聴いていて、すごく勇気をもらえるアルバムです。気になった方はぜひ聞いてみてください♪


おまけ

これは見逃してた(笑)やるわ!!

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