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BTSお休み中のソロだからこそ出来た挑戦?RM「Right Place,Wrong Person」は今年最高レベルの意欲作!

今年の前半に大好きになったアルバムについて。続いては

RM「Right Place,Wrong Person」

K-POP最大の世界的人気グループBTSのリーダー、RMのソロアルバムです。彼のソロアルバムは2022年の年末にも

こんな感じでレビューを書いています。この時もこのアルバムにすっかりハマって聴き倒してました。

現在BTSはメンバーが兵役に入っており、最年長のジンがやっと戻ってきたいう状況。RMは現在兵役中でのこのソロアルバムのリリースとなりました。恐らくそれは想定してこのアルバムは制作されたんだと思います。
前作「Inigo」がとても良かったので、またソロ作がリリースされると知ってとても楽しみにしていました!

そこでリリースされた先行シングルのこちら


まず、これを聴いて「お!また面白いところに行った!」と思いました。

前作の曲達より明らかにアンダーグラウンド感というかインディ感が上がっていて、「BTS」と聴いて思い浮かべる曲とはもうはっきりと差をつけてきた曲調とアレンジ。MVも韓国の短編映画を観ているような。
BTSの最近の曲や彼のソロ前作にまだ残っていた、誰にでも分かりやすく入りやすい世界標準的な音や曲の感じじゃますますなくなっていて、個人的にはそういう方がテンションが上がるタイプなので嬉しかったです。このシングルで

アルバムにこれ以上いっちゃってる曲があったら凄いな

みたいな気持ちになって。これ以上そちらの色が濃くなると、もういわゆる「K-POPで思い浮かべる音の感じとは違ってくるよな」と。

で、この「Right Place,Wrong Person」がリリースされて、楽しみに聴いてみたら

やっぱそうだった

っていうか

思っていた100倍くらい突き進んでた


アルバムだったんで、超びっくりしました!!今年リリースされたアルバムで一番びっくりしたかも。

1曲目「Right Place, Wrong Person」のイントロとRMのラップの感じからもうそう宣言されているような感覚で、今までBTSで聴いたことがないようなアレンジの曲で、RMのラップもレイジーで暗いような。

と思えば、2曲目「Nuts」は不穏なベースラインがユニークなラップ曲。この曲はほとんど英語の曲で、後半に少し韓国語は出てくるけど、英語も韓国語もそこまで明るくない私でも言語のユニークさを感じる曲でした。曲のアレンジと共にですね。

さらに尖ったような3曲目「out of love」を置いて、4曲目

「Domodachi (feat. Little Simz)」では

イギリスのラップシーンを牽引している一人で注目の女性ラッパーであるLittle Simzを迎えています。これも驚きでした!
前作でもアンダーソン・パークやエリカ・バドゥを迎えていたところから、また一歩攻めた人選ですね。
クラリネットのような楽器の低い音から始まるこの曲は、楽器の生音のアレンジとRMのラップが奇妙に溶け合う小気味よいテンポの曲ですが、途中に「みんな友達ここで踊りましょう」という、(日本人ならではかもしれないですが)ちょっとぞわっとするようなメロディのサビが入り、いきなりLittle Simzのラップパートに切り替わるところが最高にかっこいい1曲で、このアルバムのハイライトだと思います。
他国の同世代先鋭とのラップ共演は聴きごたえがありますね。

「Groin」はちょっと温かみのあるアレンジのミディアムな曲で、このアルバムが始まってずっとダークで尖ったようなところでシビれすぎてたので、ちょっとホッとする曲でした。
オーソドックスなラップ曲かもですが、でもやっぱりBTSの曲とは随分と肌触りというか感覚が違いますね。この曲も生音のバンド音が効いたアレンジになっています。

滑らかなメロディで歌う「Heaven」、先行としてこちらもリリースされたオーガニック感と電子音のアレンジが面白い「LOST」、

そして

「Around the world in a day (feat. Moses Sumney)」

では

アメリカのSSWであるMoses Sumneyを迎えています。インディ系の音楽が好きなら知ってる人も多いと思うけど、世間的には知らない人がいてもおかしくないというような存在なので、こちらもまたビックリでした。
Mosesはイントロから素晴らしい歌声を披露しています。全く浮くことなくRMとさらっと共演しているのが凄いですね。

アルバムのラスト曲は最初にも紹介した「Come back to me」。何回か聴いて、「乾いた感じのバンドサウンドアレンジが面白い曲だな」と思っていたら、この曲が

韓国のインディロックバンドHYUKOHのボーカルであるOHHYUKが制作に参加していると後から知りました。「そうか~納得」と。HYUKOHの曲自体が音感が抜群なバンドですもんね。
どういう順番でこのアルバムの曲ができたのか全く知らないのですが、こんな曲が作れちゃったんだから、絶対リリースしたかったでしょう。

このアルバム全体が「バンドの生音が主体のようなアレンジが効いているな」と感じていたところは、Balming Tiger、Silica Gel、そして先程のHYUKOHといった韓国のインディ音楽界の勢いと人気のあるミュージシャン達、そして日本からもnever young beachのメンバーなどが参加しているそうで、他にも私が知らない他国のアーティストが参加しているもよう。
前作よりもさらに挑戦している感じがありますね。作品に表れていると思います。

前作も韓国のアーティストと世界を繋ぐような感じを受けましたが、そこはそのまま変わってない感じがしました。

ただ、そういうメンバーを迎えて作品を作っても、やっぱりRM本人の表現が馴染んでいないとこんなにいい曲達は作れないと思います。ラッパーなので詞を作っているのはもちろん、ラップの表現スキルもやっぱり凄い。

上手くいかないと、とんでもなく浮いた作品になりかねないと思うのですが、この作品は逆にRMが馴染みすぎて、BTSに戻った先が一瞬想像できなくなるらいの(笑)「名盤ができたな~」と思いました。

BTSはRMの他にSUGAとjhopeという二人のラッパーがいますが、ラップのスタイルも三者三様で違うし、SUGAがソロツアーを世界規模、jhopeはロラパルーザというアメリカのフェスでトリ出演と、それぞれ展開の仕方が違うのも面白いです。
RMはライブ展開はほぼしてないのかな?とてもミニマルに見えますね。

タイトルにも書いたんですけど、この作品はやっぱり兵役中のソロだったからこそできたなのかな、と。なんていうか

まだ底を見せてなくない?


ギリッギリで「まだBTSとは完全に乖離させずに、バランス保ってるな〜」と。受け手側も世界のいろんな音楽にカジュアルにアクセスしやすくなったり、ポップとこういうインディ系を同時に楽しめるようになってる事もあるのか、BTSの曲と今回のソロ曲を同時に「同じ人がやってるよ」って聴かされても分かるようなところで作られてるような。バランス感覚が絶妙ですね。

でもこれ以上になっちゃうと、深いところに行きすぎて訳分かんなくなっちゃうかもですよね(笑)

こんなにいいものを作っちゃうと「こっち系にどんどん進んでこーぜ!」って言いたくなっちゃう気持ちもなくはないですが(笑)、彼がBTSを経たからこそできた作品というのが大前提だと思うので、帰ってきた先のBTSの再集結を心待ちにすると共に、「またこんな素敵なソロ作のリリースもあると嬉しいな」と願っていたいと思います♪

気になった方はぜひ聴いてみてください♪

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