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ハリー・スタイルズの新アルバム「Harry’s House」は軽やかに名実共に最高なアーティストへ成長を遂げた大傑作!!

先日リリースされたこの作品に夢中です。

Harry Styles 「Harry's House」


ハリー・スタイルズの新アルバム「Harry's House」。前作「Fine Line」が非常に長きに渡るロングヒットにより世界中で愛され続け、今年のコーチェラ・フェスティバルでは初日のトリを飾った彼の最新作です。

ハリーについては今年以下のブログを書きましたが、

アイドル的ボーカルグループだったワン・ダイレクションからソロに転向した1stから私は彼のファンになり、その後1st、2ndと彼の作品に親しみ、


今年のコーチェラ・フェスティバルの総括でも彼だけでトピックを書いたほど感動してきたので、世界のファンと同じく新作のリリースを本当に心待ちにしていました!
そして先日リリースされたのが

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この「Harry's House」。この作品、

ハリーの最高傑作であると共に、今年を代表する名盤と感じました!!素晴らしい作品です!!


聴けば聴くほど、驚きや発見があり、感動が深まる作品となっています。

というわけで、この作品について、じっくりレビューを書いてみたいと思います♪

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まず、このアルバムの先行シングルが既に大ヒットを記録しているのですが、

「as it was」


これを聴いた時から既に期待値が相当高くなっていました!!この曲は

こんな感じでプレイリストを作ってみたのですが、


こんな感じでここ2年程のヒット曲のトレンドになっている、80年代にヒットした

a-haの「Take On Me」を想起させるようなシンセの音が印象的なポップロック的な曲なのですが、とてもキャッチ―で愛されやすい面もありながら、ハリーの歌い方も全体的な音の仕上がりも非常に耳に心地よく、工夫された仕上がりになっていて、今までの親しみやすいロック感を維持しながら、より音のクラス感というか品質が上がったような印象でした。

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前作「Fine Line」の時から打ち出していたリラックスしたようなムードも残しつつ、疾走感があってとても心地よい曲。メロディも単純で親しみやすいのに、特別感が感じられるような曲で、「いい曲だな」と思っていたら、先にも書いたようにリリース後はbillboardでもSpotifyでもシングルのウィークリーチャートをNo3位以上をずっと維持している大ヒット曲になっています!

この曲、「Harry's House」の前々週にリリースされたSpotifyで圧倒的一番人気のBad Bunny、前週にリリースされたヒップホップ随一の人気ラッパーのケンドリック・ラマ―というビックネームの新譜リリースがあっても崩れることなくトップの人気を維持していて、チャートを見ながら「アルバムの内容次第では凄いことになるかもな~」と思っていたのですが、

実際リリースされた新しいアルバムは、

本当に本当に最高でした!!!

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素晴らしい内容で、前作より飛躍が感じられつつ、より大衆に向けても親しみやすさを備えたとても出来の良いポップとロック、そしてフォークまで融合したアルバムで、感動物です。
個人的に感じたポイントごとに話していきます♪

1:何より全曲のメロディが素晴らしい!!


アップテンポやミドルテンポの曲は80sのポップをベースにしたような曲調で、前作とはまた違った形で今人気のいわゆる「シティポップ」にもつながるような雰囲気にあった曲調の曲が多いのですが、とてもメロディが良くていい曲ばかり!

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前作も1stより、より親しみやすさを重視したような感覚でしたが、今作は全体的にポップなアレンジとともに曲調も明るく、ぬくもりのあるようなメロディで、アルバムタイトル「Harry's House」にぴったりな曲ばかりです!


「Fine Line」でも「メロディの良い曲が多いな」という印象でしたが、今作はさらにそこを研ぎ澄ましてきたように感じました!



2:ハリーの歌の進化

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特別すごい特徴のあるような声や歌い方ではないハリーの歌ですが、「Harry's House」では今作のテーマや雰囲気に合わせた「ソフトな歌いこなし」で持ち味を出す点がとても進化しているな、と感じました。
歌いこむような曲もこなせると思うのですが、自分の声質にあった曲で、なおかつハリーならではのカッコよさと柔らかな持ち味を出せているのではないかと思います。
歌声の部分に人柄まで映すようなところにまで達しているのではないかな、と。内側を見せるような。表現の面でもとてもいい曲ばかりでした。

1曲目の寿司レストラン(!)の歌から、既に前作よりもいいソフトな雰囲気の歌い出しで、曲調に合わせて裏声や歌い方がとてもセクシー。気持ちよい歌いこなしで、シャレた感じも出しています。


と思えば、8曲目の「cinema」では前作のようなアダルト感ある曲調で主な歌は優しげなものの、曲後半のバックのコーラスアドリブではかなりシャウト感を入れた歌い方をしたりしてます。
でもやっぱりソフト感が増した歌がこのアルバムに絶妙にマッチしていますね。

3:ポップ・ロック曲の作曲・編曲の良さ


ハリーは1stから今作まで曲の制作は同じ人を起用しています。それが

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この二人、Kid HarpoonとTyler Johnson。そこに

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ギタリストでハリーの親友のMitch Rowland(コーチェラでのギターソロ最高だった!)を加えて、チームでソングライティングを基本していたようなのですが、

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先に書いたメロディの良さに加え、今作は編曲や音の鳴り方も非常にグレードが上がったような印象です。生音の鳴り方や響き方に今時のポップ感、ドリーミングな雰囲気を加え、どの曲もサラっと聞くこともできれば、入り込んで聴くと非常に聴きごたえがあります。どの曲もエコーというかヴァーヴが少しかかったような何かヴェールがかかったような感覚で聴こえるハリーの声も相まって、シンプルなのにとても工夫されている音に感じるんです!

特にKid Harpoonは


フローレンス・アンド・ザ・マシーンやYears&Years、ハリーと似た系統のショーン・メンデスなど様々なアーティストに曲を提供してきた売れっ子ですが、それらのアーティストの曲と比べてもハリーの曲、特に今作の曲は圧倒的にいいので、ソングライティングの面は「ハリー自身がどんどん入り込んでいっているのではないかな」と思います。より良く聴こえるのは、ハリーの自分のメロディが入ってきてるんじゃないかって。

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彼自身の成長と共に、制作チームも刺激されて作り上げられたような感じがして。凄くいい相乗効果ですね。
ほんと全曲どれもいいのですが、1曲目から続けて聴いていって「あれ?前作とまたちょっと雰囲気違うな」と思ったところで、

3曲目の「Grapejuice」や

5曲目の「Daylight」あたりのアレンジで、「わ!すごいな」と感じました。シンプルなところと煌びやかなところのバランスが絶妙なこのあたりの曲がとても好きで。「Grapejuice」のラストに入ってくるギターの音なんかとてもいい感じですね!

4:フォーク・アコースティック感の強調

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今作は今までの作品で一番アコースティック感やフォークのような曲が多い作品です。これも今回新しい魅力を提供してくれたな、と感じました。
前作はエレキギターを活かしたような重めでアダルトな雰囲気のギターソロやギターの作品が多かった印象ですが、今回はアコースティックのギターの音に最大限にこだわって作ったような感触です。
コーラスももっと多重で厚みを持たせることで、より温かい雰囲気の曲が多いですよね。ただキラキラしたポップだけではなく、このフォーク感も持ち合わせて絶妙なバランスで曲が配置されているので、凄く作品に深みが出たと思います。こういう曲でも歌もとても良くて、先にも書いたとおり、シンガーとしてもとても成長しているのではないか、と思いました。特にフォーク感があるようなスローなバラード系の曲は、コーラスの作り方や楽器の一音一音にまで温かみがあるような聴こえ方で、とても感動できるし、懐かしいような気持になります。


6曲目の「Little Freak」、

7曲目の「Matilda」あたりはアルバムの中間ですが、ここにより親密感のあるフォーク系の曲が入ってきて、とても心地よく温かい気持ちになります。


12曲目の「Boyfriends」は完全にアコースティックに多数のコーラスを重ねたフォーク曲。聴いてるだけで歌詞が分からなくてもなんかジーンとくるような曲です。


ラスト13曲目の「Love Of My Life」はタイトルからして大好きなんですけど、「自分を見つめて人生を愛そう」というような、シンプルなメッセージが胸にきます。

曲だけでいってもこれだけの進化に加えて、歌詞や彼自身の表現も

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以前から打ち出していたナチュラルなセクシュアリティの受け入れ方や、ジェンダーレスな雰囲気からさらに「愛」そのものの大切さやぬくもりを感じさせるような部分が感じられて、洒落ていると共にとても解放されつつも温かい気持ちになるような曲が多いです。シンプルで難しい事は歌っていないけれど、それがかえっていろんな受け取り方ができたり、広く受け入れられていろんな人の思いを乗せることができると思うんです。個人的なことを歌っている曲もあると思うのですが、ポップスターとなった役割の部分もちゃんと担っているところが凄いなと思います。

彼がタイトルやアルバム全体のインスピレーションとして公言した「HOSONO HOUSE」など、80sポップや過去作品との関連性などについては他にもたくさんレビューがあがると思うので、私がこのアルバムを聴きながら、「同じように感じたな」と思った最近のリリース作からの2枚をあげると、

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まずはケイシー・マスグレイヴスの「Golden Hour」。昨年に彼女についてのブログも書きましたが、この作品でそれまでもお気に入りだったアーティストでしたが、聴いてすぐに「名盤だ」と感じ、さらに彼女への愛が深まった作品です。カントリーというジャンルから一つ飛び出し、ポップやサイケの雰囲気を多分に取り入れ、ボーダレスに素晴らしい曲で、私を含め多くの人々を魅了し、グラミーの年間最優秀アルバム賞まで受賞した作品です。

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彼女はハリーの1stのツアーでゲストミュージシャンとして帯同していました。こういうところのセンスが抜群なところがハリーの凄いところで。この長期の共演はハリーにもいい効果があったかも。

そしてもう1枚が

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このBTSの「BE」。この作品も一昨年にリリースされた時に初めて聴いてとても驚き、喜びに満ちた作品でした。

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コロナ禍での制作というコンセプトを元に、それまでの作品により明らかに音の鳴りを意識し、楽器の生音やメンバーの声を強調したいい曲をイチから作った作品だと感じました。このアルバムはPDには先鋭のアーティストを迎えたりして音の作りを非常に大事にしながら、曲自体は彼らもデビューからずっと一緒に曲を作ってきたpdoggやEL CAPITXN といったライター仲間とBTSのメンバーがそれぞれかなり曲作りに参加した作品です。K-POPはR&B系のポップ系の曲調が多く、BTSもラッパーが3人もいるので、ついその方面に気がとられていましたが、この作品でアイドルグループとしてだけではなく、アーティストとしての幅が広がり、さらに一つ階段が上がったと思わせられた作品です。

コールドプレイより、ハリーと共演して欲しかったな(笑)

この2作品は私の大のお気に入りであると共に、世間的にも長く愛され、時代を振り返る時に挙げられる名盤だと思います。そこにこの「Harry's HOUSE」も絶対に入ってくると思います。


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この作品を聴いて、ハリーはアイドルだろうがアーティストだろうが、どんな立場でも自分のロックを歌っていく人だったのだと、その信念に満ちているような気がしました。
前作でも自分の殻を破ったような感じを受けましたが、今作ではさらにアーティストとしての成長を感じさせ、彼自身も自由になったのではと思います。

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いわゆる「アイドル」からアーティストに脱皮したのは彼が初めてではないですが、「良い音楽と実力」という正攻法かつ彼しか為せない世界への表現方法でこんな大きな存在になったこと、本当に素晴らしいと思うし、こんな作品を届けてくれることに感謝しかありません。彼だけでなく、彼のファンも成し遂げたことですよね!本当に素晴らしいです。

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この作品をひっさげてのツアーは絶対最高でしょう!!東京で録音された曲があったり、コーチェラのセットで日本の映像を使用するくらいに日本がお気に入りのハリー。ぜひ来日求む―――!!!

おまけ

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これはSpotifyですけど、このアルバム、記録的な再生数を記録していてバカ売れもいいところです!!こういうところも今年を代表する1作ですね。

おまけ2

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なんとアメリカ、めちゃ凄い公演数が決まりまして、私はマディソンスクエアガーデンを15公演するアーティストなんて見たこと無いんだけど!!

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