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苦手だった監督が大好きに⁉「哀れなるものたち」の型破りすぎる冒険劇には愛がダダ漏れてる!
先日、この映画を観ました。
「哀れなるものたち」
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あらすじ等はこちら
昨年のヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を獲得し、その後も映画アワードレースでも高評価の連続、今年のアカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞をはじめ11部門のノミネートを果たした映画です。
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監督はギリシャ出身の映画監督、ヨルゴス・ランティモス。2010年代に入ってから作品を発表するたび高評価を獲得していますね。映画的にはクセが強い作品を作る監督です。そして
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彼の前作「女王陛下のお気に入り」にも主演格で出演していたエマ・ストーンが、この「哀れなる~」では単独主演として連続で出演しています。この作品ではヨルゴスと共にプロデューサーも務めているので、前作よりもより彼女の意も反映された作品なんだと思います。
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で、この作品、私はとっても良かったです!
タイトルにも書いたんですけど、それまで苦手だったヨルゴス・ランティモスの作品が初めて好きになりました!この作品、今までの彼の作品の中でも一番「『愛』がダダ漏れてる作品だ」と感じました。そこがめちゃくちゃ良くて!!
あと、ネタバレ感想を書くのでここから先が読めない方にお伝えしたいのですが、まだ観てなくて迷っている方がいたら、この作品は
映画館で観た方がいい!!!
と思うので、まだシネコンなどでも上映していると思うので、ぜひご検討いただきたいです!それを伝えたくてめちゃ急いで書きました(笑)。
なので内容は(いつもだけど)未整理な状態かもしれないですけど、書いていきます♪
※ここから先は思いっきりネタバレしてますので、詳細や結末を知りたくない方はご注意ください。
※この作品には露骨な性描写があります。なので18歳以下鑑賞不可なんだと思うのですが、そういう描写がもうOKな子にはできればこそっと映画館で観てほしいです(笑)。
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というわけで、私はそれまでヨルゴス・ランティモス作品ってあんまり得意じゃなかったんです。なんていうか
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設定がシュールっていうか、話もシュールっていうか。特殊な設定で特殊な話で、役者の演技もなんていうか強烈で、先日レビューを書いた「ソルトバーン」のバリキヨも
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これだもんね(笑)
好きな人が好きなのはすごくわかるし、こういう作品を作れる監督が映画界に必要なのもわかるし評価が高いのもいいと思うんだけど、もっと単純な作品が好きな私には距離のある監督でした。単に好みの問題です。
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ただ前作の「女王陛下のお気に入り」も好きではないけど、今までのランティモス作品の中では「観やすいな」と思ってて、それは舞台が18世紀に飛んだことでランティモスのクセが自分的に受け入れやすくなった事や、演技アンサンブル(「女王〜」は女性三人の関係性の物語)が見ごたえがあったことで、クセの強さが心地よいところに行こうとしているような気がして。
そしてこの「哀れなるものたち」は予告から「今までで一番いいかも」と感じて映画館に観に行くことにしました。
で、作品を観終わって感じたのは
ランティモスの愛!
これを感じたんです!特に
エマ・ストーン愛!
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これです!ランティモスが「エマ・ストーンが大好き!!!」って感じが強烈に感じられる映画な気がして。
もちろん「ベラってキャラクターをランティモス自身が好き」というのも大きくあると思うんですけど、とにかく「エマを撮りたくて撮りたくてたまらない」みたいな、そういう感じが画面いっぱいから伝わる感じがしました。
それくらいエマ・ストーンが熱演しているし、新しい面をたくさん観せてくれているし、本当に露骨な性描写とか裸も晒してるし下品なシーンもあるんだけど、それを「どんどんやってこ!」みたいな感じで撮っていってるのが凄くて。
この作品って性的なシーンは全然いやらしくないというか、いやらしいけど観てる者を扇情するようなシーンではなくて、どちらかというと知的に挑発するようなシーンで、「撮ってて楽しかっただろうな」と思いました。
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エマ・ストーンはランティモス作品に限らず、どの監督のどの出演作品も熱演というか、そういうタイプの女優だと思います。今作も「体当たりの熱演」と言われているけど、結構常にでは?と思ってて。よく「この監督に出会ってあの女優が一皮むけた」みたいな言い方されるけど、私には
今回は逆に見えた
と勝手に感じました。ランティモスの新しい面をエマがどんどん引き出していて、シーンを重ねるごとにすごくワクワクできる作品で。
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「ベラの冒険はおそらくランティモス自身の映画制作的な冒険につながるんじゃないかな」と思いました。もちろん演じるエマもそうなんですけど、こういう理知的な監督が表現しづらい内面というか温かみ的なところを、エマが制作から入って引き出したような。
今作は今までのランティモス作品の中でもよりチャレンジしたような面があると思います。美術、衣装ももちろんですし、音楽もとっても良かったんですけど、
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担当したのはこのジャースキン・フェンドリックス。まだ29歳と若いミュージシャンで、「今まで映画音楽家で見たことない名前だな」と思ったら、なんとこの作品が初の映画音楽担当だったそうです。で、この方
Black Country,New RoadやBlackMidiとのつながりがあるそうで。オルタナティヴ、インディーズロックシーンと関わるミュージシャンでした。
彼は映画の資料を見せられて「これで作って」って言われたそうなんですけど、まさにこの映画にぴったりな、独創的であんまり今までの映画音楽で聴いたことないような音楽で「素晴らしいな」と思いました。ランティモスが自分で彼に依頼したそうで「アンテナ貼ってるんだな」と。
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演技面でいうと、エマ・ストーンが素晴らしいことはもうさんざん語られてると思うし私も本当にそう思います!全身全霊で演じられる女優は他にもいたかもしれないけど、先にも書いたように監督からもめっちゃ愛がないとすごくいやらしかったり魅力のないキャラになってしまうと思うので、これはコンビネーションの勝利かな、と思います。
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そして、エマと同じくアカデミー賞に助演男優賞でノミネートされているマーク・ラファロはチャラくて情けないオジサンを演じていますが、この人は私も大好きな映画
「キッズ・オールライト」でもチャラくて情けない中年男性を巧みに演じていて、めっちゃ上手かったな~、あの時も。「マーク・ラファロはチャラい役の方が好き」という人は私以外にも結構いるんじゃないでしょうか。
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でも、今作では私はラファロより、ベラの(勝手になった)父ともいえるゴッドウィンを演じたウィレム・デフォーが刺さりました!さすがのいい演技で、すごくグッときちゃいましたね~。
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この映画ってテーマがちょっと「バービー」と似ているところがある気がして。どちらも「フェミニズム映画」とは私は思わなかったけれど、「自分の知らない世界を冒険して、自分自身を獲得していく物語」というところがテーマが一緒かな、と。
ただ、この「哀れなる~」が「バービー」よりもより強く描いているのは「創造者(親)の愛」の面で、ゴッドウィンは自分の勝手でベラを造り出して、しかもベラが出て行っちゃうと別の子を造ったりとめちゃくちゃではあるんですけど(笑)、ちゃんと造り出した者に対する愛があるんですよね。
自らは医学の名のもとに父親から虐待まがいのことをされ続けて、本人もおかしいところはあるけれど、自分がされたことを繰り返そうとはせず、ベラにも成長を止めさせないあたりの創造主としての愛をデフォーが絶妙に演じていたと思います。そこが「バービー」も創造主は出てはくるんだけど、より説得力とか話の深みを「哀れなる〜」のゴッドウィンが与えていたかな~、と。
そこからあの家政婦さんも入れて(笑)、ゴッドウィンから引き継いだ疑似家族を新たに作って終わるですよね。
ああ、「哀れなる~」はやっぱり私には「愛の物語」に見えるんだよな~。
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なんでランティモスの作品が「私にとって観やすくなったのかな」と思うと、脚本家がランティモスと別の方になったのも、もしかすると大きいかもしれません。前作の「女王陛下の~」から脚本はトニー・マクナマラが務めています。ちょっとその独特さにユーモアというか笑えるような要素が入って、観やすくなったのかな〜、と。
この「哀れなる~」は原作と結構違うみたいなのですが、原作も読んでみたいと思いました!今までのランティモス作品は「早く終わんないかな~」とか観てる間思ってたくらいだったのに(笑)。
この「哀れなる~」がとてもよかったので、「ランティモスの次回作はどんな感じなのかな」と気になって調べたらもう決まっていて、またエマとタッグを組みます!ねー、やっぱり絶対エマにゾッコンだよね!!!(笑)「幸せな出会いで良かったな~」と思います。
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「哀れなる~」は長い作品だけど、どんどん引きずられるようにハマって観れました。映像、美術、音楽、衣装、演技と本当に力を入れて制作された、映画館で観るための作品だと思うので、これはぜひ映画館で観れたら見てほしい!
そして、定期的に上映してほしいな。今年齢的に映画館で観られない若い子たちのために。
気になった方はぜひ観てみてください♪
おまけ
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この作品、この世界観にハマれない人以外に唯一観るのが辛いかもな人は、娘を持つ父親かな。(笑)
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