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ゲーム屋人生へのレクイエム 97

機械部品メーカーで平和な日々を送っていたころのおはなし

「ゲームビジネスはその後どうだったんですか?」

「O社との代理店契約は継続してて、市場調査の依頼を受けたりしてたよ。北米でのゲーム事業展開は手詰まり感があったな。

そんな時に競合のM社からゲーム機生産の発注があったよ。GはO 社の代理店だったけど競合他社の仕事の受注に関しては何も縛りがなかったからどこの仕事でも受けることはできたんだ。

そんな感じで数年経ったころにMさんから連絡があったんだ」

「あの後Mさんはどうされてたんですか?」

「Aがゲーム事業から完全に撤退したからMさんもAを辞めて別のゲーム開発販売会社で営業部長をされてたんだ」

「そうですか。それで何のはなしだったんですか?」

「89話で移植の仕事を発注してくれた会社があっただろう。

Vという会社なんだけどそこが北米に子会社を作るっていう話でね。Vの役員からMさんに北米子会社の責任者として俺にその気はないかって聞いてほしいって頼まれたって」

「おお~。いい話じゃないですか。当然即答OKしたんですよね?」

「即答OKと言いたいところだったけど、そうは簡単にいかなかった。Gの社長にはつぶれた会社から俺とKを雇ってもらった恩がある。Gには3年近く働いたけど恩を返すほどの仕事はしていなかったから心苦しくてね。

とは言え、新しく作る会社の責任者となれるかもしれない機会を見送ることもしたくなかった。こんなチャンスはもう二度と巡ってこないだろうって思ったからね」

「難しい判断ですね。過去の恩を取るか、将来のチャンスを取るか」

「考えても答えは出ないし、先方は電話で面談したいって言うことだったからとりあえず話を聞いてみることにしたんだ」

「そうですよね。詳しい話を聞いてみないと判断材料がないですからね」

「なんだ、タロー。最近ずいぶんとそれらしい発言をするようになったじゃないか。何かあったのかい?」

「だって97話もやってたら何てコメントすればいいかわかるようになりますよ」

「そうか。子供だと思っていたが成長するものだな。というかタローの年齢を設定しないままここまで来てしまった。一体タローは何歳なんだ?」

「こいつは高校1年生です」

「わ、お父さん。お久しぶりです。高校一年生なんですね。ではそういうことで話をすすめますね。じゃ、お父さんはこれでお引き取りください」

「高校一年生のタロー君。これまでの話でつじつまが合わないところがないか冷や冷やしているけど無視してすすめよう。

それでだ、とにかくスカイプで面談することになったんだ」

「この辺で次回に続くですね」

「よくわかってるじゃないか」

続く

フィクションです

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