#44
帰りの電車で、
スマホに入っているメモ一覧をみていた。
アイデアや言葉が浮かんだ時、昔から携帯にメモをする。
一番初めの、初期微動のような洗練されていない無骨な言葉の羅列。
詩や歌詞や、物語や日記や、単語、色彩描写、
自然のリズムなど。
メモの中には様々な言葉が眠っていた。
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2015年、11月17日 9:40
お昼のワイドショー。
不安定な空調は、10月の室内には相応しくないほど室内を冷気で満たしている。
霊安室、
そんな言葉がよぎっていった。
はじめて身近な死を体感したのは、母方の祖母が亡くなった時だった。
冷えすぎた霊安室の乾いた沈黙。
不意に思い出したその夜の空気。
わたしが体感した死は、これが最初で、その後はまだ無い。
テレビでは連日報道され続けている少年少女の殺人事件が痛ましく紐解かれていた。
頼まれたから、殺した。
少年はうわごとのように繰り返している。
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この文章をみつけて、あの日の病室を思い出した。
母親が声をあげて泣いている姿を見るのは、
これが初めてだった。
聞いたことのない
か細くて静かなサイレンのような声。
でもそれもほんの一瞬のことで、
あとはいつものどちら付かずな素振りに戻っていった。
強がっているようには見えなかった。
潔い、のか
辛抱強い、のか
この人の心の関はきっと固く、強く
それを自主的に外さない限り強い感情が外へ出てこれないのかもしれない。
ずっと、泣かないのだと思っていた。
そういう人なのだと。
でももしかしたら、
泣けない人だったのかもしれない。
泣きたい時に、上手く泣けない人、だったのかもしれない。
…そんな事を考えていた夕方でした。
今日もいい日でしたか?
また明日。
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