猫との対話

マリコ 2. - 塀の上はお立ち台

ほぼ毎日決まった時間、特に午後1時から3時の間に同じ骨董品店の塀の上に昼寝の場所を確保しに来るマリコ。
マリコが言う(勿論テレパシーで)には、その時間の太陽の熱で体をしっかり温めておかないと、この厳寒期を乗り切れないそうだ。その為日中は兎に角太陽のある場所、暖かい場所を求めて日向を順繰りと移動して行くのがマリコの日課だ。

その為日中は美味しい餌場よりも太陽を餌に、殆ど半日は空腹で過ごすとマリコは言う。そして陽が落ちて来る15時半辺りから一気にその日一日分の食事を制覇する。
近所のボランティアが道路脇に置いて行く猫缶をパクリ、そこから100メートルほど歩いた地点にある老人ホームでさらにおかずのお裾分けをゴソリ、それから町中に点在する居酒屋や飲食店の勝手口にちょこんと座ってミャーと鳴いて、厨房から素材の切れ端をゲットする。

何もかもがお手の物で、今まで食糧に困ったことがないらしい(笑)。

私が骨董屋の塀の脇を自転車で通りがかるのは、大体毎日決まった時刻。
今日もそこにマリコが置き物みたく座っていたのでちら見すると、「ほらあなた、あたくしを見掛けたら先ずハイタッチでしょ。」と、猫にしてはなかなか高貴な眼差しで私をじぃっと見つめるものだから、私もついついマリコのしもべにでもなった気分で「はい、ではハイタッチさせて頂きます。」と言う具合に右手にチョン、左手にチョン‥ の計2回のハイタッチをさせて頂く。

マリコの用事はそれだけである。
ハイタッチが終わるや否や「ほっといてね。」と言わんばかりに踵をかわし、30センチほど離れたその辺りでは一番暖かな場所にやはり置き物みたいにコンと座るか、昼寝を始める始末。

塀の上はあたしのお立ち台よ‥。

まるで女版市川海老蔵の如くデッカい目で睨みをきかせては、道行く人を睨んで威嚇する。‥が、あくまで高貴で美しいその睨みに近寄って来るのは人間のみならず、近くに縄張りを持つ多くの♂ネコどもも一緒である。

今度行く時は、ジュリアナトーキョーのデスコ(ディスコじゃなくて、デスコ)の曲でも持参してあげようかしら。
踊るかな、マリコ‥(笑)。

いえ、絶対に踊れよマリコ!📡

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