モスグリーン・ウェディング

あと少し、あと少しで辿り着く、
オルガンの場所まで あと少しだった。

ステンドグラスの天窓から斜めに陽が射す時刻は、
今日も変わらず訪れる。
何ひとつ変わらない日々が
静かなこの海で 今も続いてる。

どこから届く鐘の音‥、
カモメの声もかき消すほどの甘い音色は鳴りやまない、
永遠の祝福の為に ずっと。

愛シテル‥ を言えなかったこと 君に渡せなかったことだけが
何よりの心残りだ。
明日も明後日も その次の日もずっと未来が続くと信じたから
あの日まで黙り込んだまま心に積んだ愛の言葉‥。

6年目のアイ・ラブ・ユー

言い知れぬ重い祈りが届く水底で
少しだけ 魂（こころ）が解き放たれて行く。

泳げない僕の胸に君が纏わりついて、
唐草模様みたいにきらきら光る 海底（うみぞこ）の
終わらない結婚式、
　誰もいない ふたりだけの結婚式‥。

思い描いた家庭を作れるだろうか‥、
君の微笑みが少しずつ 迷いの中で消えて行く。

大丈夫よ、すべてうまく行くから‥
その声を呑み込むように
不意の 嵐の記憶に打たれる
　6年目の3月11日 14:46

おめでとう 二人の永遠
おめでとう 水の門出..

2017年3月11日 19:39 (JST)