#149 君にしか見つけられないものがある
君たちぐらいの時だったろうか
「これは分光器といって、光を七つの色に分けることができるものです。」
と、透き通ったガラスをぼくの目の上にかざした。
先生が手にした分光器からは七色に分かれた太陽の光が鮮やかに流れ出ていた。
その数日後、校庭清掃で庭に水をまいていたぼくはホースの先から勢いよく流れ出る水の先に虹ができているのを発見して、びっくりした。
太陽の光の七つの色。
それは、いつも見えないのだが、たった一つの水の流れによって姿を現すのだ。
多分、この世界には隠れているもの、見えないものがいっぱいあるのだろう。
虹のように、ほんのちょっとしたことで姿を現してくれるものもあれば、長くてつらい道のりの果てにやっと出会えるものもあるにちがいない。
君が見つけてくれるのを待っている何かが、今もどっかにひっそりと隠れているのだ。
一日一日を好きなように生きなさい。
大事なことは
感動すること
愛すること
希望を持つこと
一人だって仲間からはぐれない。
一人だって仲間からはずさない。
二九人の仲間達に幸あれ。
日本ジャンケン党 総裁
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小学校6年生の時にもらった卒業文集、その中から、担任の先生の言葉です。
恐ろしい強面、ビンタされる(当時はまだなにも問題はありませんでした笑)、よって、「怖い」先生でした。
お酒とタバコが大好きで、夢は百姓になることと。
何かを決めるときにはいつもジャンケンをしているジャンケンが好きな先生、よって日本ジャンケン党の総裁。ちなみにこの先生の教え子にはジャンケン党会員ナンバーが与えられています。
昨日、実家に帰った時に母がおもむろに「卒業文集がみたい!」と言ったので、クローゼットから引っ張り出し、久々に読みました。
「君たちの未来は、君たちが好きなようにつくりなさい、生きなさい。」
「そこには自分の行動が必ず絡みます、君にしか見つけられないものは他の人には見つけられません。君を待っているそれを見つけてあげてください。」
みんなの個性を尊重してくれる先生らしい言葉だったなあと、この歳になって余計に感じます。
いつかお酒が飲めるようになったら、また会いたいな。
そう思っていましたが、卒業をした日を最後に、その後先生に会うことは叶いませんでした。
僕が21歳の時、病気で他界。
自分の人生の分かれ道を決める時、不思議といつも、この卒業文集を手にし、先生の言葉を見返していました。
「男の一言、金鉄の如し」
男に二言はないぞ、と口酸っぱく言われていました。
自分の人生だ、好きに生きろ。
ただし、男は自分の言葉に責任を持て。
もし今会っても、同じ事を言ってくれるんじゃないかと思っています。
30歳になったこのタイミングで、またこの言葉に出会えたことにもきっと意味があります。
その意味がいつ明かされるのかは分からないけど、「心の道標」として刻んで、また毎日を過ごしてみたいと思います。
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