木川大輔

明治学院大学経済学部国際経営学科 准教授。博士(経営学) 専門は戦略論、イノベーション…

木川大輔

明治学院大学経済学部国際経営学科 准教授。博士(経営学) 専門は戦略論、イノベーション論。 日本ベンチャー学会第12回清成忠男賞論文部門本賞、同第9回書籍部門受賞 主な著書『医薬品研究開発のエコシステム』(中央経済社)

最近の記事

プラットフォームはなぜオワコン化するのか?

来年初頭に書籍を出版予定です。  約9ヶ月ぶりの記事となってしまいました。今年(2024年)2月より、来年初頭に出版予定の新刊の執筆に着手を始めた関係で、リソースの大部分を割いてしまっていました。最近ようやく執筆の終わりが見えてきたため、久しぶりに記事を書くことができました。  新刊のテーマは「成熟段階にあるプラットフォームビジネスのマネジメント」を論じたものです(※書籍のタイトルは未定)。かつて一世を風靡した日本発のプラットフォームビジネスである、「ニコニコ動画」、「クッ

    • 「博士論文が書けない」とはどのような状態か? Part4(Final) 構造を書く編

      これまでの振り返り このシリーズは「博士論文が書けない」をテーマに、その理由を分解して考察するシリーズです。対象とする主たる読者は、経営学分野の大学院博士課程に在籍する大学院生(社会人大学院生含む)ですが、後述するように既に専任教員として職を得ながらも博士論文(以下、見出し以外は博論に省略)を提出できていない人たちなどにも何らかの示唆を提供できるかもしれません。  Part1では、博論が書けないという状態を3つの段階に分解し、それぞれ、①博論計画(プロポーザル)が書けない、

      • 「博士論文が書けない」とはどのような状態か?Part3(学術論文のパッケージングを考える編)

        前回の振り返り 前回の「博士論文が書けない」とはどのような状態か?Part2(博論計画が立てられない編)では、博士課程に進むことができた(すなわち博論計画が認められた)のに博論に着手できないパターンについて言及しました。この段階で足踏みしている人はそれほど多くないかもしれませんが、僕の経験上、毎年ごくわずかながらも、修士論文で取り組んだテーマと全く違うことを博士課程で取り組もうとしてしまう人が一定数いらっしゃること、そしてできればそれは避けたほうが良いことを指摘しました。

        • 「博士論文が書けない」とはどのような状態か?Part2(博論計画(プロポーザル)が立てられない編)

          久しぶりの投稿となってしまった事情 前回の記事から約3ヶ月が経過してしまいました。僕とリアルで交流のある方や、ツイッター(X)をフォローしてくださっている方はご存知かもしれませんが、家族の急な長期入院により、家事負担が倍増してキャパシティオーバーになっておりました。  幸いにして、妻は1ヶ月ほどで入院でき、命の危険からも遠ざかりました。ただ、引き続き妻への負荷が掛からないよう殆どの家事を担っている関係上、クリエイティブな時間は1週間のうちに僅かにしか持つことができず、そのクリ

        プラットフォームはなぜオワコン化するのか?

        • 「博士論文が書けない」とはどのような状態か? Part4(Final) 構造を書く編

        • 「博士論文が書けない」とはどのような状態か?Part3(学術論文のパッケージングを考える編)

        • 「博士論文が書けない」とはどのような状態か?Part2(博論計画(プロポーザル)が立てられない編)

          「博士論文が書けない」とはどのような状態か?Part1

          はじめに 前回書いた記事のシリーズ「社会人MBAから博士課程というルートについて考える」では、大変多くの社会人大学院生から(主にツイッターの方に)反響を頂きました。また、経済学系の研究者の方々からも、他分野の院生にも通じる示唆があるとご評価頂き、結構な範囲に拡散をして頂きました。改めて御礼申し上げます。  今回取り上げるテーマは博士論文(以下、博論)についてです。今回のテーマについては、社会人かどうかの区別は特になく、純粋な経営学系の博士課程の大学院生全般に通じる内容となって

          「博士論文が書けない」とはどのような状態か?Part1

          社会人MBAから博士課程というルートについて考える③

          前回の振り返り  前回の記事では、M2の修論執筆前に博士課程進学(D進)を検討していることを当時の指導教員に告げてから、修士論文を書き上げるところまでを記事にしました。パート①にて、『「博士課程に進んで何をしたいか」を考えるのではなく「博士学位を取得して何がしたいか」を念頭に置くべき』などという偉そうなことを主張しつつ、パート②にて、当の本人は、あまり深く考えずに博士課程に進んでいたことを自ら暴露しました。  このシリーズは今回のパート③で一旦区切りをつけるつもりなので、今

          社会人MBAから博士課程というルートについて考える③

          社会人MBAから博士課程というルートについて考える②

          前回の振り返り  前回の記事では、社会人MBAから博士課程に進もうとする社会人が増加傾向にある点に言及しながら、彼/彼女らが抱く進学への「問い」と、それを相談された指導教員や、その他専任の研究者の職にある人達による「問い」が清々しいほどに噛み合わない点について指摘しました。  前回の記事について、やや厳しい指摘だと感じられた読者もいらっしゃるかもしれませんが、このシリーズ(社会人MBAから博士課程というルートについて考える)の1回目で、敢えて厳しめの指摘を持ってきたのには

          社会人MBAから博士課程というルートについて考える②

          社会人MBAから博士課程というルートについて考える①

          はじめに  数日前に投稿した記事には、noteだけでなく、それを引用したTwitterの方にも大変多くの反響を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。  僕が社会人MBAでの学びを終えたのがちょうど10年前(2013年3月)なのですが、社会人として何らかの組織に所属しながら大学院で学ぶという形態は、その後、より一般的になってきたように思います。「思います」とあるのは、統計を取ったわけでもない単なる主観であるためですが、"リカレント教育"という用語が、ここ数年で一気に一

          社会人MBAから博士課程というルートについて考える①

          僕が進学先に東京都立大学大学院を選んだ深いワケ

          はじめに  僕は2017年3月に首都大学東京(現在の東京都立大学。以下、都立大に統一)大学院を修了し、博士(経営学)の学位を取得しました。都立大には僕が修士課程に進学した当時から、経歴も業績も素晴らしい先生方が多数所属されており、その当時いらした先生の殆どが今も在籍されています。  他方で、僕が博士課程に進学した当時、経営学の領域で博士学位取得者を輩出した実績が殆どありませんでした(ファイナンス系などを除く)。事実、指導教員からはマネジメント系は僕が第1号だとも聞きました(

          僕が進学先に東京都立大学大学院を選んだ深いワケ

          自己紹介と想定する読者層に向けたメッセージ

          そもそもあなたは誰?  僕は、都内の私大で経営学を教えている大学教員・経営学研究者です。研究者としての詳細な情報はresearchmapを御覧ください。  元々は会社員出身で、医薬系の企業で現場の仕事にも関与しつつ、経営企画や国際事業開発などに携わり、文系と理系の中間みたいなことをしてきました。今の仕事に転身したのは2018年からなので、丸5年が経過し6年目に入るところです。僕のプロフィールやこの道に進むことになったきっかけなんかは、今後、追々説明していきたいと思いますが

          自己紹介と想定する読者層に向けたメッセージ