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集団になるとなぜサボる? 適正な評価で内発的動機づけを高めるために考える。

こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしてます。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。

さて、僕はスポーツチーム(主に高校)に対しての
トレーニング指導もしています。

この場合、パーソナルではなく、
グループ(集団)に対しての指導。
そこで、
・いつも悩んでいること
・それに、どう対応しているか、
(していこうとしているか)
を書いていきたいと思います。

共有するとともに、皆さんからの
ご意見なんかも、もらえると幸いです。

どうしても出てくる”選手の取り組み方の差”。。。。

集団指導の時の1番の悩みは、
”選手の取り組み方に差がある”こと。
もっと平たくいうと、
”サボる選手がいる”ということ。

僕の指導対象は、高校生なので、
・学年が上がっていく
・チームの主力になっていく
ほど、こちらからの働きかけがなくても、
選手達は自分たちでトレーニングをします。

その逆で、
・下級生
・主力からは遠い選手
は、サボりがち。。。。
特に所属している部員数が多いチームほど、
この差が大きくなる。

調べてみると、
「リンゲルマン効果」
という現象があるとのこと。

●リンゲルマン効果(社会的手抜き)
集団で共同作業を行う時に
一人当たりの生産性が
人数の増加に伴って低下する現象。
(Wikipediaから抜粋)

めちゃめちゃ、1人で納得しました。。。

これは、主に以下の3点が発生要因となります。

①当事者意識の低下
チーム目標が明確でも、
人数が多いと責任が分散
「自分がやってやろう!!」
ではなく、
「誰かがやってくれるだろう」
という考えが無意識のうちに発生
する。

全国大会出場!という目標があっても、
主力選手や上級生がやることでしょ?
みたいな感じで、どこか他人事になってしまう。。。。
「次は自分が!!」
とか、イメージが持てないのかなと。

②同調行動
「自分は頑張ろう!」と思っていても、
周囲と調子を合わせてしまうこと。
集団から自分の存在が浮くことを恐れ、
このような行動をとってしまうことが多い。
「他の人がやってないのだから、
 自分ひとりががんばっても仕方がない」
という同調行動が蔓延すると発生する。

グループ編成をしてトレーニングをする場合、
そのほかの練習の兼ね合いもあるので、
”主力組”と”それ以外”に分かれるケースが多いです。

下のカテゴリーの選手は、
どうしてもサボる割合が増えていく。。。
上記の当事者意識と連動することです。
そうすると、やる気がある選手まで
そっちに引っ張られていく。。。

③貢献意欲の低下
「集団のなかで貢献しても評価されない」
という空気が蔓延すると、行動しなくなる。
これに周囲との同調意識も重なり
「自分ひとりががんばっても仕方がない」
という意識が生まれる。

スポーツの世界は、実力差で明確に分けられてしまう。
どんなに頑張っていても、
そのスポーツのパフォーマンスが上がってこないと、
いい評価をもらうことは難しい。
ある意味、”純粋な競争社会”。
仕方ない部分もあります。

ただ、アマチュアスポーツだと、
結果だけではなく、そこに至る過程も評価対象になる。
特に学生の場合は、教育の側面もあるので、
ただ、スポーツができるだけが全ての評価ではありません。

とはいえ、そのスポーツをやっている選手達には、
実際に、試合に出て"プレーしてナンボ"って部分もあります。。。
メンバーに入れないなら、
やる気が失せる部分も理解はできます。。。

”サボり”をなくすためには、内発的な動機づけが必要。

サボりをなくすためには、
内発的な動機づけが重要

内発的動機づけは、
・活動それ自体を楽しむ
・活動そのものが目的である

ということです。
内発的動機づけは、
”自分の内側から湧き出てくるモチベーション”
したがって、持続性があるし、活動の質向上
つながりやすくなっていきます。

どうやって内発的な動機づけを高めるのか?

「マズローの欲求段階説」はご存知ですか?

マズローの欲求段階説
ピラミッド状の階層を成し、
アメリカの心理学者:マズローが
提唱した人間の基本的欲求を、高次の欲求から並べたもの。
* 自己実現の欲求
* 承認の欲求
* 所属の欲求
* 安全の欲求
* 生理的欲求
(Wikipediaから抜粋)

低次の欲求(下にあるもの)を満たすと、
より高次の欲求(上にあるもの)に移行していきます。

低次の欲求は外発的動機づけにリンクしやすい。
一方で、高次の欲求は内発的動機づけにリンクしやすい。

例えば、僕の指導先(高校生)を考えた場合、
普通に通学して学校生活を送り、
チームに所属してスポーツ活動している段階で、
下位3つの欲求、
・所属の欲求
・安全の欲求
・生理的欲求
は満たしているのかなと。

上位2つの欲求、
・自己実現の欲求
・承認の欲求

を満たしてあげることで、
内発的な動機づけは高まっていくはず。

”サボる”要因が3つありましたが、
一番大きいのは、
”適正な評価をもらえないこと”
だと考えます。
結果に至る過程を公平な評価し、
承認欲求を満たしてあげれば、
より高次の欲求=自己実現を目指し、
自発的に行動ができるのかな。。。。

と考えています。

スポーツの世界はシビア。。。。

結果だけではなく、
その過程も公平に評価する。
正しい事だとは思います。

でも、これがスポーツの世界になると
ちょっと難しいと感じてます。
1番の理由は人数制限があるからです。

例えば、資格試験などは、
一定の基準を満たせば、
参加者全員が合格することができます。
努力は必ず報われます。

しかし、スポーツの世界は、
どんなに頑張っても、
その頑張りを評価されたとしても、
公式戦等でメンバーに
入れない人がいます。
(公式戦メンバーには人数枠の制限あり)

競技で成果を上げたい。
日頃から努力はしている。
でも、それを表現する場所(公式戦)がない。
いくら過程を評価されていても、
これはちょっとモチベーションが下がりますよね。。。

特に部員数が多いチームだと、
この傾向は明確に出るかと。
3年間、応援団で終わってしまう人も多くいます。


選手達は”冷静に”、”客観的に”自分のポジションを見てます。
そこでただ、「がんばれ!」と言われても。。。。
ちょっと、冷めちゃいますよね。。。。

ただ、高校では活躍できなくても、
競技を続け、大学・社会人で逆転して、
プロスポーツや世界大会に出場する人もいます。
・その競技が好きで、より高いレベルで挑戦する意向がある人
・短期的な目標と、長期的な目標とうまく設定している人

こんな選手は、モチベーションが持続するのかなとも感じます。
(なかなか高校生ではいませんが。。。。)

今の若者は自己肯定感が低い。。。。

若い世代の傾向も影響している部分があるかと思います。

内閣府:平成26年版 子ども・若者白書(全体版)  
によると、日本の若者は自己肯定感が低いとレポートされてます。
具体的には、以下のような質問の項目において、

・自分自身に満足している
欧米諸国の若者: yes:約80%
日本の若者: yes:約50%

・自身に長所があるか
欧米諸国の若者: yes:約90%
日本の若者: yes:約70%

・うまくいかわからない事に対して意欲的に取り組むか?
欧米諸国の若者: yes:約70%
日本の若者: yes:約50%

と諸外国の若者達に比べて、
全て低い傾向があります。

この辺の性格も、
”モチベーションが続かない”、
”サボる”要因かなとも感じてます。

また、
”能ある鷹は爪を隠す”
”出る杭は打たれる”
ではありませんが、
謙虚であることに、ある種の美徳がある日本。
こういう社会的な要因も、
各個人の特性を形作る部分があるのかなと。

それぞれに個性があり、
得意分野があるのに、
そこをうまくアピールすることが
できない人が多いのかなと感じます。

長期目標の提示と、公平な評価で内発的な動機づけを促していこうと思います。

トレーニング指導者として、
非常勤ではありますが、
選手と関わっている立場。

関わっている選手全員の
身体的能力はあがってほしい。
そのために、プログラムやエクササイズ
を工夫しているつもりです。

身体面の評価は、数値で出せるものなので、
絶対値だけの評価ではなく、
体格などを考慮した相対値での評価もし、
できる限り公平性を保つように心がけています。

ここにプラスして、
短期的・長期的なプランを提示。
上のカテゴリーで競技を続けたい意向の選手には、
なおさら、この辺は心がけています。

適正な評価で、成功体験を感じてもらう。
身体が変わることが、自分のスポーツにおける
キャリアに反映するという意味で、
当事者意識を持ってもらう。

正直、”平等”は無理です。
でも、”公平”な評価をする。
選手達の内発的な動機を高めていきたいと思います。
実際、選手達自身がトレーニングに取り組んでくれないと、
身体は変わっていかないので。。。。。



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