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文章を書くために大切な「語彙」と言葉の変化について

「文章を書くことが苦手……」
と、お悩みの方の中には
「語彙がないから……」
とお話される方が多くいらっしゃいます。

以前、
伝わる文章を書くために必要な語彙(ごい)力とは
の記事でも書かせていただきましたが
伝わる文章のための語彙とは、
難しい言葉やカッコイイ言葉をたくさん知っていることではありません。

大切なのは、
伝えたいことを正しく伝えるための言葉を使えること。

今回、改めて似たような内容な記事を書こうと思ったのは
次の記事をたまたま目にしたからです。

All About記事より

記事の冒頭部分ですが
おや?
と思った箇所はありましたか?

わたしが読み始めて「おや?」と思ったのは
見出しの下の一行目から二行目の
「妙齢の女性の中には」
の部分です。

今、これを読んだあなたあ
「妙齢の女性」
という言葉を見てどんな女性を思い浮かべましたか?

1.若い女性
2.中高年の女性
3.色気のある女性

これ以外だったでしょうか?
もしかしたら、どんな女性なのかさっぱりわからない!
という方もいらっしゃるかもしれませんね。

答えは辞書を引けばすぐにわかります。

みょう‐れい〔メウ‐〕【妙齢】 の解説
《「妙」は若い意》若い年ごろ。特に、女性の若い年ごろ。妙年。「―の婦人」
『類語』
娘盛り(むすめざかり)、女盛り(おんなざかり)、芳紀(ほうき)

goo辞書

辞書によると若い女性です。
恐らく10代後半~20代前半くらいでしょうか。

さて、意味がわかったところで
先ほど挙げた記事の文章に戻ります。

この文章でいう「妙齢の女性」はどんな女性を指しているのでしょうか?

記事の主題が「おばさんっぽさ」なので
若い女性という意味では使っていない気がします。

言葉は時代によって変化していきます。
この「妙齢」という言葉も
正しく解釈しづらい言葉に変化していると思います。

完全に変化が受け入れられた言葉の代表格が
「こだわる」

こだわ・る〔こだはる〕 の解説[動ラ五(四)]
1 ちょっとしたことを必要以上に気にする。気持ちがとらわれる。拘泥 (こうでい) する。「些細 (ささい) なミスに―・る」「形式に―・る」
2 物事に妥協せず、とことん追求する。「素材に―・った逸品」
3 つかえたりひっかかったりする。
4 難癖をつける。けちをつける。
[補説]2は近年の用法。

goo辞書

「こだわる」は本来、あまり良い意味では使われない言葉です。
普段、よく使われている「2」の意味は
補説にあるように、近年の用法です。

「店主こだわりの味」

本来の意味ならば
店主が必要以上に固執した味
という感じの意味合いになります。

最近の意味ならば
店主が妥協せずにとことん追求した味
となります。

「こだわる」も「妙齢」も本来の意味をわたしは知っています。

ただし、仕事の原稿で
「こだわる」は使いますが
「妙齢」は使いません。

この違いは
読み手に正しく伝わるか?
という基準です。

では、伝わるかどうかわからない言葉の場合
どうすればいいのか?

それは、別の言葉に変えることです。

「こだわる」ならば
追求した、や、研究を重ねた、などですね。

「妙齢の女性」ならば
若い女性、年頃の女性、20前後の女性、などです。

もしも前に挙げた記事ならば
中高年の女性、や、年齢を重ねた女性、などです。

はっきり意味がわからない言葉は
辞書で引くようにしてください。
勘違いして覚えている可能性があります。

例えば、何かを読んでいて
文章の内容と自分の理解している言葉が合わないなら
辞書で引いて調べてください。

書き手が間違えているのか
自分が勘違いしているのかがわかります。

地味ですが、こうした作業を繰り返すことで
伝わる語彙はどんどん増えていきますよ。

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