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進化する組織 11月30日 Control Middle Management ミドルの肥大化

#11月30日  11月も今日で終わり。早いですね。いいひと月となりましたでしょうか?明日から12月。元気にやっていきましょう。

今日の #ドラッカー365の金言 テーマは、
#Control_Middle_Management  (ミドルマネジメント層を統制する)
#ミドルの肥大化

 最近の数十年というもの、ミドル・マネジメントは減ったり、廃れたりするどころか、爆発的に増え続けた。多くの企業において、現場管理者とトップ経営陣の間に位置するミドルの数の伸びは、売上の伸びの3倍から4倍を示した。
 これは何も大企業だけの現象でhじゃない。中小企業では、ミドルはもっと増えた。それらの企業の多くは、30年前は経営管理人といえば、オーナー一家だけだった。

ドラッカー 初出1983年 

写真は、ローリングストーンズのPV ”Angry” 主演の女優シドニー・スウィーニーさん。

今日のテキストは、『 #マネジメント・フロンティア 』 23章 #ミドル・マネジメントの肥満対策  1986年刊 237〜241ページ より

ミドル・マネジメントの肥満対策とは、

 組織が巨大化して、分厚い組織になったら、官僚的で硬直化した組織となってしまう。だから、現場に近いチームへ権限委譲し、素早く行動とフィードバックを繰り返す中間層による小さなチームを組織内に多数存在させ、彼らへ経営権を分権化させ、成長しているところは子会社化するなど投資のメリハリをつけた方がいい、という理屈だったと思うんだけど、「中間層が多すぎるからリストラせよ!」って誤解する経営者が続出。

そりゃないよ、ドラッカー先生!と、思うよね。やっぱ。

とはいえ、今や、人件費は経営にとってはお荷物というか敵視されている。人を雇うことはコストアップにつながる、と信じられているのかも?

「でもな、人に給与払わないと、誰もあんたんとこでお金使わないぞ、わかってる??」

って言いたくなるわけだが、そのあたりのこと、経営陣はわかっているんだろうか?

企業が給料を多く払う→可処分所得増えた人が増える→たくさん消費も貯蓄もする→GDP増えるし、所得税も消費税もたくさん取れる→国も個人もwin-win!

じゃないの?

 一方で、90年のバブル崩壊から日本企業の多くは、組織がスリム化され、少人数の取締役と執行役員で統制されている、と聞きますが、本当のところはどうでしょうか。

 例えば、わが国を代表する製造業企業である、トヨタ。

同社ですら、従業員数366,283人に対し、取締役は9人、執行役員8人=たったの17人。わずか0.0046%の人が36万以上の人を統治する組織となっています(2022年現在)。これは流石にスリム化させすぎではないか?中間層は少ないのではないか?と感じます。

https://gendai.media/articles/-/48625?page=2 
週刊現代2016年5月16日付記事より。
7年前の組織図なので、2〜3年前のスリム化は反映されていない。

しかし、実態はそうではないのです。

「ダンバー数」って?

イギリスの人類学社ロビン・ダンバーによれば、標準的な人間は、いちどきに150人しか仲間を持つことができないそうです。人間には、それを超える人々と関係を維持するだけの認知機能が備わっていないのだという。

 そこで、トヨタ従業員数366283人に対して、150で割ると、2441.8≒2442人の管理職が必要となります。この数字に対して、トヨタの管理職数は課長職でも7318人。ダンバー数の約3倍。十分に目配りして、管理できる人数です。

 実際、従業員数366283人を課長級7318人で割ると、課長1人に対して、従業員数50.05人。1課がおよそ50人のチームで構成されていることがわかります。
 今や電気系統系のIT技術が埋め込まれた精密機械により近く進化した自動車を製造するためには、単に仲間である、というゆるいつながりよりも、世界一とも言われる「トヨタ・ウェイ」の製造・販売工程の最適化を図る中から自然とこの「50人に課長1人」組織体制へと進んだのでしょう。

 課長1人が管理できるチーム人数は、より少なく、日々の業務においてより連携を密にすることで、生産性を上げる、ということでしょう。

 役職が上がるほど、管理職人数は減っていきます。例えば、トヨタの場合、課長級7318人を部長クラスの482人が統制しています。

 課長1人が50人を統制するのに対して、部長の場合は、1人が15.18人≒15人の課長を統制する計算です。

さらに常務役員33人が部長クラスの482人を統制。役員1人が部長14.6人≒15人を統制しています。

 ところが、2022年現在、執行役員8人なので1執行役員が管理する部長職人数は60人!

増えてます。高給取りの執行役員だから、管理できる部長職をふやしても大丈夫ってことなんでしょうか?それとも、優れた部長職に恵まれている、ということなんでしょうか。
結果を見れば、わかるように、近年同社の経営成績(売上高・営業利益等)は好調です。かつての体制よりも役員の負荷は増えているけれど、IT技術の導入もあり、成果が上がっている、ということなのでしょう。

 巨大なミドルをスリムにするもう1つの方法は、昇進させる代わりに、仕事の内容を充実することである。(中略)若いミドル層に対して、あるいはその下で働くもっと若い人たちに対して、達成感と満足感を与える唯一の方法は仕事を大きくし、挑戦的にし、厳しくし、裁量を持たせることである。そして、彼らの優れた業績に報いるには、異なる仕事への横の移動をもって、昇進の代わりとすべきである。

同書 241ページより

 少子高齢化、そして、2007年リーマンショック期の景気後退により、採用しなかった氷河期世代との間で、企業との信頼は失われ、「2025年問題」が生まれる中、組織体制は、新しい体制が求められるのではないだろうか。午後からもやっていきましょう。

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