ビジネスキーワードの変遷を長期スパンで追いかけるのに適した媒体を探す
先日アップしたビジネスキーワードの変遷に関する記事はハーバードビジネスレビュー(HBR)を参考にしたのですが、実はHBRを選ぶまでにも色々と比較検討していたので、メモを残しておきます。
お題:ビジネス(特にHR・自己啓発分野)の流行り言葉を追いかけたい。
条件:
・ネット上の公開媒体であること
・最低でも20年くらいは欲しい
近年だと、例えばニューノーマル、マインドフルネス、コミュニティ、アウトプット、ティール組織、パーパス(Purpose)、サーバントリーダーなどの言葉を拾いたいところです。(例は思いつくまま、適当です。)
そこで、ビジネス領域をテーマにした出版物で、これらを効率よく拾えそうなものを探してみました。
ところが…意外にない。
ビジネス書の売上ランキングや雑誌・新聞類を比較した結論として、HBRが一番目的にかない、キーワード抽出も簡単でした。
候補1:ビジネス書売上ランキング
真っ先に調べたのが、株式会社トーハンが公開している年間ベストセラーランキングです。1990年から継続して公開されており、年数としては十分遡れます。
2019年のビジネス書ランキングはトーハン調べでは下記の通り。実感ともだいたい合っており良い感じです。ただ一つ、重要な問題に気づくまでは…。
今回の目的はテキストマイニングです。つまり、書籍タイトルにキーワードが入っていて、かつ、流行りにしたがってキーワード出現数が増加するような傾向でないとうまく分析できません。
そう考えると、ランキングに加えて本の概要や書評が揃っている必要があります。また、単に売上数だけでなく、ビジネスパーソンからの注目度とも整合していて欲しいものです。
候補2:ビジネス書大賞
ノミネート作品のラインナップが良く、どれも興味をひかれます。過去の受賞作に対する審査員の書評も読み応えがあるのですが、ノミネート作品すべてに書評が用意されているわけではないので、調べるのに一手間かかってしまいます。
ついでにAmazonの売上ランキングまで調べてみたものの、書籍ランキングは難しそうという判断になりました…。
候補3:日本経済新聞
日本の経済ニュースといえば日経新聞なのですが、特定のコラムなどに絞れていない状態で、20年〜30年の記事を抽出するのは相当に手間がかかりそうで断念…。
候補4:雑誌「日経ビジネス」
特集や記事タイトルには注目のキーワードが散りばめられており、うまくビジネストレンドを追いかけられていそうです。
日経ビジネスオンラインのページでは、記事タイトルの情報が足りなかったので、日経BP SHOPのバックナンバーページからテキスト抽出をしてみました。
テキスト抽出の方法はこちらにまとめています。
抽出したタイトルについて形態素分析をおこない、頻度ランキングを出したものがこちら。
HBRと比べると、時事テーマが強めなのがわかります。
経営理論やコンセプトに寄ったキーワードの流行をみたかったので、今回はHBRを採用することにしました。
候補5:雑誌「東洋経済」
バックナンバーサイトに掲載されているのが画像のみで、一括でテキストを拾いにくい状態です。ただ、このサイトに関しては各号の詳細ページにテキストが用意されていたので、GAS(Google App Script)を使えば雑誌の目次を拾ってくることは可能そうでした。
ただ、意外に特集については時事テーマよりも、中〜長期のビジネス現場課題が挙げられていることが多く、少し目的とは異なる印象でした。
候補6:雑誌「プレジデント」
バックナンバーページの構造は東洋経済と同じ、表紙一覧と詳細ページの組み合わせです。
テーマは時事テーマそのものというよりは、比較的普遍的な自己啓発内容や人生設計が多く、定期的に同じテーマを取り上げている傾向などからみて、やはり今回の目的とは異なると見て諦めました。
(ところで、特集テーマのタイトルを遡ってみると、心なしか読者の年齢層が上振れしていっている気がします…。)
まとめ
プレジデントや東洋経済については、バックナンバーの記事タイトルを眺めただけなのですが、ある程度長期にで見てみると雑誌ごとの特徴がはっきりとします。
こうしたビジネスコンセプトやキーワードの流行り廃りについて、これまではメディア発信が主要なベンチマークでした。
しかし、このnoteはじめ、各種のブログやSNSによる個人の情報発信が増加してきた近年は、個人情報発信の内容を拾ってベンチマークするのが適切になりそうです。
一方で所属している集団ごとに「流行り」が大きく異なる傾向は強まっていそうで、この辺りはテキストマイニングを勉強しつつ、追いかけていきたいところです。
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