真っ赤なバーコードにブランドアイデンティティを込めた「アナザー・ジャパン」ロゴデザイン。
自身の夢のため、生まれ育った地元を離れ上京してきた学生たち。「アナザー・ジャパン」はそんな学生が本気で商売を学び実践する、47都道府県地域産品セレクトショップです。
なぜ、このプロジェクトのロゴは真っ赤なバーコードである必要があったのか。今回はそんな話を少しさせてください。
私たちがつくる、もうひとつの日本
「アナザー・ジャパン」は学生が本気で商売を学び実践する、47都道府県地域産品セレクトショップ。東京のど真ん中、日本橋に2027年に向けて開発される日本一高いビル「TOKYO TORCH」に位置します。
2022年には、日本を6つのエリアに分けて2か月に1エリアずつ企画展が巡回する第一期開業。
2027年には、各都道府県のショップ(出身の学生が経営)が47店並ぶ第二期開業と、壮大なプロジェクトです。
「学生が」と言っているのは、販売員ということではありません。経営から、企画、仕入れ、プロモーション、そしてもちろん販売までを学生が担うのです。
大人が作ったお店に、学生がアルバイトとして働くのではありません。
自身の夢のため、20年近く生きてきた生まれ育った地元を離れ、通学のために東京(関東圏)に上京してきた学生たち。
そんな彼らが持つ「フロンティアスピリット(開拓者精神)」と「郷土愛」をテーマにした新しい試みのプロジェクトが、アナザー・ジャパンです。
学生が自分たちみんなでつくる、もうひとつの日本。
アナザー・ジャパン
ナウ・ジャパン=「日の丸」
アナザー・ジャパン=「?」みたいなものをつくる
このアイデンティティには、2つの役割があります。
1つ目は、郷土愛をもつきっかけになること。
「故郷」という定義が曖昧なため、自分には故郷がないという人もいます。両親の地元があろうがなかろうが、北海道出身でも、東京出身でも、海外で育ってても、何度も引っ越ししてても。そもそも地元愛がある人もいれば、地元のことをまったく知らない人もいる。
我々にとって「故郷」は曖昧で、儚げなものです。
そもそも、たまたま訪れた地域が第二の故郷になることもある。そう、誰にでも故郷はあります。
もう1つは、同じ方向を向いているみんなの指針になること。
少し例えは悪いかもですが…。
カラーギャングやチーマーのような地元愛、チーム愛を創出するためにビジュアルが必要だったんです。海賊の旗のような。
単純なロゴマークではなく。
日本を、もっと自分ごとにできるアイデンティティ
大きな塊としての日本ではなく、日本をもっと局所的に見せる方法は無いかと考えました。解像度を上げるというか、ぐっと寄れる方法。
そこで、
47都道府県を分割し、それぞれの都道府県の面積で割り、左から北海道〜右端が沖縄と都道府県番号順に47本の線を並べました。
日本を表す真っ赤なカラーで。
それがこのアナザー・ジャパンバーコード(みたいなやつ)
これにより、日本をもっと局所的に見ることができ、バーコードマークのストライプの中に自分の地元の居場所がある…!とか。めっちゃ大阪小さいやん、東北や九州は大きいとこ多いな、北海道でっかいどう、群馬と栃木ってどっちが広い?とか。島根と鳥取って名前似てるのにダントツで島根が大きいね。…みたいに、これまで知らなかった様々なことが見えてきて、コミュニケーションが生まれるかもしれません。
あとは、微調整です。
並び順を面積順にしたり名称順にしたり、都道府県の隣接する線同士の余白の太さを調整したり(←これが大変な作業だった…)、ロゴタイプを整えたりしながら、デザインを完成させます。
なぜ、真っ赤なバーコードがアイデンティティになったのか?
ロゴデザイン(VI ビジュアルアイデンティティー)には様々な役割があります。
会社や店舗やブランドの、信念を表すため。性格を表すため。または、同業他社との差別化のため。業界やら、流行やらを表すため。など。
今回は、なぜ、真っ赤なバーコードがアイデンティティになったのか?
たくさんの学生たちが、同じ想いをもって、さらに紡ぎながら、このアナザー・ジャパンという店舗を、プロジェクトを営んでいってほしいから。
さらに、それをたくさんの人たちに応援して支えてほしいから。そのように人たちが互いに作用し合うコミュニケーションが生まれるようなシンボルが必要だったのです。
真っ赤なバーコードを見かけたら想い出してください。あなたの地元のことを。
そして、これから若者たちがつくる、もうひとつの日本のことを。
それでは、今回はこのあたりで。ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。また機会があれば他の記事も読んでください。
Client: MITSUBISHI ESTATE Co., Ltd. / Nakagawa Masashichi Shoten
Creative Agency: Office Camp llc.
Art director, Designer: Coji Katsuyama
Store Designer: Yagyug Douguten
Cover Photographer: Kiyoshi Nishioka
https://www.instagram.com/another_jpn_tt/
@another_jpn_tt
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?