マガジンのカバー画像

風景

102
身の回りにある様々な風景を撮った写真は撮影者ではなく、見る人の心を映し出す鏡。
運営しているクリエイター

#北九州

「地球の歩き方」の使い方

 今月初め、(株)Gakken社から『地球の歩き方・北九州市版』が発売された。1979年創刊以来すでに百数十タイトルを超える大ヒットシリーズだが、国内の市版としては全国初となる。地元住人にとっては興味津々。早速入手した。 あとがきには次のように書かれてある。  まさにその通り。2年半前に北九州に引越してきた愚生にとっても、想像のナナメ上を行く驚きの日々がずっと続いている。 ***  『地球の歩き方』は若い頃随分と世話になった懐かしい本のタイトルである。 1979年出版

見納めの秋

 北国からは雪の便りが届いた。北九州ではあと数日紅葉が見られるというところまできた。冬はもうすぐそこだ。 秋の見納めに、普段はあまり訪れない市内の公園を歩く。ここでは広大な大企業所有地の一部を一般に無料開放している。湖のような工業用貯水池の周囲に自然の森が広がり、その中を湖岸に沿って歩くことができる。 気温が低い湖畔近くのモミジやイチョウが、秋の柔らかい光を受け静かに色づいていた。道端の小さな草木も、季節の移り変わりに身を委ねるようにひっそり紅葉している。 野鳥たちは冬に備

日野江植物公園のモミジ

 訪れる度に、麓から小高い山の上まで続くこの広大な公園が、元は個人経営の植物園だったということにいつも驚く。今は北九州市が運営し、造園業者が管理するが、通常の植物園とは随分と趣きが異なり、個人宅の庭の延長のような手作り感が今でも色濃く残っている。 傾斜地に造られた迷路のような小道は、階段や坂が多く、広葉樹林の中をいくつも枝分かれしながら先の見えない森の奥へと続く。晴れていれば、どこを歩いても木漏れ日がきらきらと美しい。子供の遊具施設がないこともあって、訪れるのはほとんど植物

ススキ心と秋の空

 透明な青空。湧き上がる白雲。風になびくススキ。 日本の秋の空にはススキがよく似合う。 青色と黄金色とのコントラストが、よりいっそうそれぞれの美しさを際立たせている。どちらか一方が欠けても、どこか物足りない。背景に月があるのもいいが、それだとススキがシルエットだけになってしまうので、明るい日差しの下で見る方が好きだ。 北九州市北東部に広がるカルスト台地「平尾台」は、秋になると見渡す限り一面ススキに覆われる。先日訪れた時は、まだ始まったばかり。明るい日差しを吸い込んで、銀色に

門司港黄昏散歩

 北九州市北端にある関門海峡の街「門司港レトロ」では、今月から来年3月まで「イルミネーション2023門司港レトロ浪漫灯彩」が開催されている。 日暮れと共に始まる歴史的建造物のライトアップと、港を囲む街路樹のイルミネーション。それらが港の海面に映り込んで揺れる無数の光模様が加わり、街の風景をよりいっそうドラマティックに彩る。 壇ノ浦の闘い、武蔵と小次郎の巌流島の決闘、下関戦争(1863∼4年、長州藩とイギリス・フランス・オランダ・アメリカの列強四国との間に起きた武力衝突事件)

今年出会った北九州海景色2022

 北九州市は三方を海に囲まれた九州最北端の都市である。東に周防灘、西に響灘、そして北には本州との境となる関門海峡。昨年からこの地に住み始めて、比較的短時間で海まで出られることを知り、毎月のように行くようになった。それまで暮らしていた東京や滋賀では数時間かけなければ辿り着けなかった。今ではかなり身近な存在となり、天候の様子を見て写真を撮りに行くという楽しみが増えた。 若い頃東京に住んでいた時には鎌倉や逗子、葉山あたりによく出かけたものだ。同い年である桑田佳祐、原由子両氏のサザ

山茶花

 12月中旬、北九州では朝晩と日中の寒暖差が気になるようになった。ようやく街中のモミジやイチョウが色付きのピークを迎え、初冬というより晩秋といった趣の方が似合う。 公園の池にはカワセミの甲高い鳴き声が響き渡り、冬の渡り鳥ジョウビタキの姿もちらほら見るようになった。 所々街路樹の茂みの中に真っ赤な山茶花の花がこんもりと輝いている。 山茶花と椿、どちらも似たような木でいつもその違いに迷う。プロの造園工の人でも難しいという話も聞いたことがある。 花が咲いていると見分けがつきやすい

照葉

 北九州の最低気温は10℃位の日が続いている。街路樹のイチョウやカエデもすっかり黄や赤に色づいた。歩道にはかなりの量が積み重なって落ちている。 気温が低くなったから虫たちの活動も不活発になっただろうと思いきや、庭に植えたブロッコリーや白菜の苗に、ダンゴムシやカイガラムシが夜になるとわんさかたかり始め、新葉を貪り食っている。しかし朝になると何処へともなく消え去り、残るのは穴だらけの葉となる。園芸用品店で植物性100%の病虫害予防剤を買ってカミさんと二人がかりで防除作業をした

独断Jazzヴォーカル大賞

秋の夜長はジャズヴォーカル! ということで今夜は動画配信サイトから1曲だけを課題曲として選び、その曲を華麗に歌い上げる女性ジャズボーカリストたちをピックアップして、その中から勝手に大賞を決定するという独断企画。 題して「独断Jazzヴォーカル大賞」。 北九州市小倉北区紫川周辺で開催されているイベント「小倉イルミネーション2022」の写真と共にどうぞ! 課題曲はスタンダードナンバ一曲 Cry Me a River(クライ・ミー・ア・リヴァー) この曲は、アメリカ人作曲家であ

+3

今宵北九州から

カルストの夏

北九州市小倉南区にあるカルスト台地「平尾台」。この時期は草に覆われ、眼にも涼し気な緑一色の景観が広がる。 台地全体が高原の爽やかな風にゆらゆらとなびいている。 平野部から数百メートルほど標高が上がるだけなのに、ここは大自然のど真ん中。見るもの感じるものすべて別世界。 足元の大地すべては結晶質石灰岩、大理石の山だ。 この緑の野が秋には一面金色に輝くすすき野に変容する。 訪れたこの日は小雨交じりの曇天。頂上付近は雲がかかり、遠くまで連なるカルストの風景は見ることができなかった。

神踊る夏夜

(写真60枚) 黒崎祇園山笠2022 五穀豊穣 無病息災 悪疫退散 氏子の祈願届く時 動かぬ山駆け下りて 転がる山へと乗りうつる 溢れる光無尽蔵 雷鼓の轟き鳴り止まず 眠れる力呼び覚まし 夏夜の帷に舞い踊る

+6

関門海峡 銑鋼一貫製鉄所

+10

みどり萌ゆ