燿 (hikari):還暦を機に30年ぶりとなる趣味の写真撮影が再燃。地元北九州を中心に撮った風景、街、神社仏閣、花、猫、野鳥などの写真。その他、若い頃の思い出、ヒーリングやセラピー、瞑想についての備忘録。1956年東京生まれ。2021年より北九州在住。

燿 (hikari):還暦を機に30年ぶりとなる趣味の写真撮影が再燃。地元北九州を中心に撮った風景、街、神社仏閣、花、猫、野鳥などの写真。その他、若い頃の思い出、ヒーリングやセラピー、瞑想についての備忘録。1956年東京生まれ。2021年より北九州在住。

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Solo, Duo & Trio

お題企画 「#未来に残したい風景」受賞 ***ありがとうございます!         Solo, Duo & Trio                                                                      Solo Duo Trio

    • 雷山仙如寺大悲王院の紅葉

       福岡県糸島市と佐賀県佐賀市との県境に位置する雷山は、古来「雷神」の鎮座する霊山とされ、平安時代にはこの雷山一帯に300を超える僧院が建ち並び、繁栄を誇ったという。現在も「雷山に雲がかかれば雨が降る」と言われ、地域に根差した山である。  山の中腹にある「雷山仙如寺大悲王院」は、樹齢400年の大楓で有名な真言宗の寺院。福岡藩主黒田継高公によって、宝暦三年(1753年)に建立された。この一本の楓も同じ頃に植えられたものらしい。  雷山は平安時代以降衰退してゆき、最後に残ったの

      • 内なる宝もの

        🍁🍁🍁  先日、2003年公開のハリウッド映画「ラスト・サムライ」を観た。  19世紀末の明治維新後の転換期、西洋の近代化を推し進めようとする日本政府と、伝統的な武士道に生きるサムライたちとの闘いが舞台。映画の構想は、1877年の西郷隆盛による西南戦争と、外国勢力による日本の西洋化にヒントを得て作られたとのこと。  主人公として登場するアメリカ軍人は、日本政府軍の訓練を指揮するために来日。しかし戦場で反政府勢力のサムライたちに囚われてしまう。彼らの集落で日々を過ごすうち

        • 昼下がりの静止点

           雨上がりの午後、市内にある植物公園へ出かけた。山の小径はまだひんやりとした空気が立ち込めている。木漏れ日の柔らかな秋の光が降り注ぐ森の中では、海を越えて渡ってきたばかりの鳥たちも加わり、賑やかな歌声が響き渡る。 残暑が長引いた影響で、九州ではこの数日間でようやく木々が色づき始めた。見頃は今月下旬になるだろう。 今は、園内至る所で「ツワブキ」の黄色い花が咲いている。柔らかな午後の光に浮かび、足元を照らす明かりのように咲く姿は、のどかで繊細な日本の秋によく似合う。  十月

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        記事

          人がバラを好むのは

           毎年春と秋にフェアが開催されている市内のバラ園では、いつもと同じ場所に同じ薔薇が咲き、同じ香りが漂っている。  しかし種類は同じでも、まったく同じ花は一つもない。それぞれの花は、とても個性豊かに咲いている。大きさ、形、色も違う。すでに枯れてしまった花もあれば、これから咲き始める花もある。  一期一会。  沸き立つ喜びと、もの悲しさの入り混じった想い。  それは毎年訪れていても、出会うたびに、ささやかな感動を呼び起こしてくれる。  じっと見つめていると、花の薫りが外へ

          人がバラを好むのは

          東京逍遥記

           一年ぶりに東京へ帰省した。おふくろは今年99歳。認知機能の低下による妄想も加わりながら、10分毎に同じ話が繰り返されるが、それでもまだまだ大きな声でよく喋る。  「99歳は何て言うんだっけ?」 と聞くと、  「白寿でしょ~よ」 と、わずかに故郷の訛りを含んだ、てきぱきとした答えが返ってきた。トイレも自力で行く。食事だけでは飽き足らず、お菓子も大好き。リクエストはいつも「サブレ」だ。  おふくろは、明治生まれの祖母の性格に似て、外向的で友達も多い反面、身内にはよく愚痴をこ

          東京逍遥記

          小倉城庭園にて

           「小倉城」は、北九州を代表する観光名所の一つ。新幹線停車駅である「小倉駅」から徒歩15分の街中にある。アーケード商店街を抜け、紫川にかかる歩行者専用「鴎外橋」を渡り、近代的なデザインの商業施設や市役所などが建ち並ぶエリアへと進む。すると突如としてその一角に、堀と石垣の上にそびえる白壁の城が現れる。  今回の目的地は、小倉城のすぐ手前にひっそりと佇む「小倉城庭園」。城を築いた細川氏の跡を継いで城主を務めた「小笠原家」の下屋敷と庭園である。小倉城もこの屋敷も1837年に焼失し

          小倉城庭園にて

          和火

           珍しく風が止んだ先夜、夏の間に買っておいた線香花火にようやく火を点けた。  昨年、子供の時以来50数年ぶりに、その美しい火花を見て、年に一度のささやかな我が家のイベントにしようと思いついた。  今回の線香花火は製作者は同じでも種類が別。値段がやや高くなる分、より繊細な光跡を見ることができる。  時期外れかもしれないが、製作者の話によれば、最も美しい光が見れるのは気温が低くなるこれからの季節とのこと。  江戸時代から続く伝統花火『和火』の光は、小さな庭先の暗闇を、祈りの儀

          秋の忍び足

           夏の暑さがやっと終わりを迎えたかと思いきや、気がつけば辺りは虫の音と秋の風。暑さに気を取られている隙に、秋はいつの間にか忍び足で、もう目の前にいる。  近郊の山間にある花の公園はこの日、小雨模様。早くも桜の葉が色づいて、しっとり濡れている。今は花が少ない時期なのか、花壇の彩りは乏しかった。それでも美しい木立に囲まれた園内を歩くと、森の中を探索している気分になれる。他に誰もいない公園は、束の間の我が家の庭である。  足元の野草を捜しながら、ぶらぶら歩くこと小一時間。耳をす

          秋の忍び足

          人と滝との相似性

           北九州の市街地から郊外へ向かうと、緩やかな山並みに囲まれた田園地帯が広がっている。福岡から大分、熊本、佐賀へと続く美しい日本の里山である。  山沿いには小さな集落が点在し、集落ごとに氏神神社が寄り添うように建っている。車のナビには表示されない小さなお社や祠も数多い。先日訪れた直方市にある龍王神社も小さなお社だけの神社だ。     ところがこの神社について調べていくうちに、この境内の奥には御神体として小さな「滝」があることを知った。  車のナビに神社の名前は表示されず、

          人と滝との相似性

          希望の渡り

           気持ちよく晴れた秋分の日、北九州市北部の高塔山山頂からは、関門海峡を越えて飛んでくる「ハチクマ」の姿を見ることができた。  本州から飛び立ったハチクマはこの後、長崎の五島列島を通り、中国やマレー半島を経由して越冬地の東南アジアへと向かう。      1万キロにも及ぶ長い旅路の始まりだ。  大空を音もなく悠然と飛翔する姿は逞しく、気高く、そして美しい。  ゆったりと風に乗り左右に揺れながら進んでいくその姿は、まるで大空の中を歌いながら散歩でもしているかのような優雅さを湛

          希望の渡り

          夜の帳が下りる頃

           夏がなかなか終わりを見せない。こういう時は夜の街歩きが心地いい。夜風が火照った街の空気を絡めとりながら、何処へともなく通り過ぎていく。  数回前の記事に、我が街のアーケード商店街ではシャッターを閉じた店が並ぶ一方で、新しい飲食店もよく見かけるようになった、というようなことを書いた。  梯子酒なんてことはこれまで一度もないが、商店街をぶらぶら歩きながら店構えを眺めたり、店内の様子をそっと覗き見したりするだけでも、結構暑さを忘れられるひとときになる。  店の多くは間口が狭く

          夜の帳が下りる頃

          「今ここ」に生きる

           日中はまだまだ夏の暑さが続く北九州。しかし市内にある植物公園に行くと、赤、白、黄、ピンクなど様々な彼岸花と、秋の訪れを告げる草花たちがすでに咲き始めていた。  細い花茎を伸ばし、その先に独特な造形美の花を咲かせる彼岸花。ひとつの花は数時間から長くても3日しかもたない。やがて花や花茎が枯れた後、秋の終わりから葉が伸び始め、翌年の初夏に枯れるという、他にはあまり見られない個性的な多年草である。  毎年、お彼岸のこの時期に合わせて正確に咲くのは、微妙な温度変化を繊細に嗅ぎ分け

          「今ここ」に生きる

          未来に残したい風景

           福岡県北東部を走る鉄道に、二本の興味深いローカル線がある。ひとつは北九州市と直方市を結ぶ「筑豊電気鉄道」。もうひとつは直方市と行橋市を結ぶ「平成ちくほう鉄道」。  二つは似たような名前だが別会社である。共に直方が終着駅であるため、両方の路線に継続して乗れる一日フリーきっぷが販売されている。普段、車の運転ばかりで、時にはこういう手段を使ってまだ見ぬ風景を探索するのもいいなと思い立つ。  切符の名称にある「へい!」は、平成ちくほう鉄道の「平」。久しぶりにこの掛け声が「鉄分」

          未来に残したい風景

          足しげく通う

           北九州市西部に位置するわが町「黒崎」の歴史は、江戸時代に長崎街道宿場町として栄えたことから始まった。当時の松並木が今も街中に残り、昔日の長崎街道の面影を留めている。    北九州市は重化学工業を中心とした日本の四大工業地帯として成長し、市民の衣食住を支える地域として黒崎は発展してきた。  今では、好景気の頃に建てられた大きなデパートが4年前に閉鎖され、駅前に伸びるアーケード商店街では、老朽化や後継者不足の為にシャッターを閉じた店が立ち並ぶ光景を所々目にする。人口減少、高齢

          足しげく通う

          街明かり

           漆黒の闇が大地を覆う頃 夜空を埋め尽くす八百万の神々は 華やかな祝宴の真最中 地平の遥か彼方に浮かぶのは 八百万の人々が暮らす街灯り 笑いも涙も 憤りも夢も 出会いも別れも何もかも すべて一つ一つの街明かり やがていつかは闇に溶け 天に昇って星となる

          街明かり