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今年出会った北九州海景色2022



 北九州市は三方を海に囲まれた九州最北端の都市である。東に周防灘、西に響灘、そして北には本州との境となる関門海峡。昨年からこの地に住み始めて、比較的短時間で海まで出られることを知り、毎月のように行くようになった。それまで暮らしていた東京や滋賀では数時間かけなければ辿り着けなかった。今ではかなり身近な存在となり、天候の様子を見て写真を撮りに行くという楽しみが増えた。

若い頃東京に住んでいた時には鎌倉や逗子、葉山あたりによく出かけたものだ。同い年である桑田佳祐、原由子両氏のサザンオールスターズがメジャーデビューしたのが44年前の1978年。ちょうどその頃、と言っても彼らの音楽はほとんど聴いたことがなかったけれど、湘南のヨットハーバーやリゾートマンションなどが並ぶお洒落な海沿いの風景に惹かれて、一日中日光浴やぶらぶら散歩したりと中途半端な時を過ごしていた。

滋賀に暮らしていた時には三重の海辺に年に数回一泊小旅行に出かけた。伊勢から鳥羽、志摩にかけての国立公園エリアは素晴らしい景色がずっと続いている。そして海の幸がどこで食べてもたまらなく美味い。天然温泉のあるホテルや旅館も多い。よく泊まったのは的矢湾まとやわんに浮かぶ離れ小島渡鹿野島わたかのじまの宿だ。ここには船でしか渡れない。車が無いところなので夜はシーンと静まり返っている。目を閉じれば波音を聴きながら温泉に浸かったひとときを昨日のことのように思い出す。

海は憩いの場となる。ただ波の近くにいるだけで深く癒される。
波の音、磯の香り、陽の光、砂の感触、海鳥の声、昇る朝日、沈む夕日。
その原初的な自然界の波動が、人間の奥深くに息づく自然性と共鳴するのだと思う。
太古の時代、「シルル紀」(4億3500万年前~4億1000万年前)から「デボン紀」(4億1000万年前~3億5500万年前)にかけて植物、そして節足動物、両生類が海から陸に上がり、陸上生活を始めたと考えられている。
その海の風景が今もこの世にあるという壮大なスケールの神秘。
海は、まさに命の故郷、心の拠り所である。



すべての探求を落とし、沈黙しなさい。
マインドを静め、耳を傾けなさい。
目を開いたまま、見なさい。
もし海に住む魚が、
大海の探求について助言を求めてきたとしたら、
何と言えばいいのだろうか?
私ならこう言うだろう、
「探すのをやめなさい。
ただ見てごらん……
君はもう海の中にいるよ。」

誰もが海の中にいる。
為すべきは、海を見つけることではなく、
それを味わい始めることだ。

オショウ講和集「知恵の種子」市民出版社刊




今年出会った海景色2022

(今年北九州及びその近隣地域で撮影した海の写真の中から、noteに投稿済と未投稿のものを集めて掲載します。)




































芦屋町夏井が浜では沢山の写真を撮ってきた。この日も日没のだいぶ前から撮り始め数百枚になった。もう帰ろうと車に乗る直前ふと後ろを振り返ると、西の水平線近くにまだぼんやりとした夕焼けが残っていた。この日は今年2月24日ロシアによるウクライナ侵攻が始まった二日後のことである。その色はまるで遠い西の国で起こっている惨状を連想させた。それは人類がまだ平和とは程遠い時代に生きているということを思い知らされることとなり、それは今も依然として続いている。私たちにできることは戦争反対や祈ることだけではなく、自らの内に在る「平和」と「愛」をより深く生きることだと思う。






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