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Gmail新ガイドラインにタスクフォース型で対応!抽象度の高い問題をスピード解決できたのはなぜ?

2023年10月に発表されたGmailのガイドライン変更。マクアケではこの変更に、開発本部の各組織からメンバーをアサインしてタスクフォース型で対応しました。この時の取組みに関して話を聞きました。

話し手紹介:
SREチーム リーダー 稲村
タスクフォースチーム 発起人 大井 ※現在:Platformチーム
タスクフォースチーム リーダー 菊川 ※現在:Data Platformチーム(業務委託)

一人がアラートを上げてチーム横断で対応協議、スピーディに社内調整へ


― 各社対応に追われたGoogleの突然のアナウンスだったと思います。マクアケで着手したのはいつごろからだったのでしょうか?

稲村:きっかけは僕が個人的にフォローしていたXアカウントで騒がれているのを見かけたことでした。それが2023年の10月のことです。僕は以前メールサーバーの運用に関わっていたことがあるので、メールシステムに詳しい方々のアカウントをフォローしていたのですが、そこでGoogleのガイドラインが変更になることを知りました。

Googleの当初のスケジュールとしては翌年の2月から適用とされていたので、アプリの改修が入るとなるとスピーディに対応しないと本当に間に合わないスケジュール感です。情報キャッチ後、すぐにTech会(開発チームの情報共有や議論を行う週次ミーティング)で共有をしました。

同時にオフィスに出社した際に、テックリードの渡久山さんや大井さんにも相談をして、対応の必要性について議論もしましたね。

大井:過去にメール関連の開発施策に関わった経験から、「Makuake」でのメールのGMV(※)への貢献度の高さは認識していたので、優先度を上げて対応すべき案件だと判断して社内の調整に動きました。

※Gross Merchandise Valueの略で、流通取引総額のこと。一般的に消費者が購入した商品やサービスの売上合計額を指す。

急ぎ対応が必要な案件である旨を開発本部内のマネージャーに周知すると同時に、ワーストケースを想定した損害額の試算とセットで役員陣にも共有をしました。そこで役員陣とも温度感を揃えられたのはよかったですね。

稲村:大井さんのこの動きなくしては、数ヶ月単位で計画が後ろ倒しになっていた可能性もあったと思います。

― 具体的にマクアケとして対応が必要だったのはどの部分だったのでしょうか?

稲村:インフラ領域は、幸いなことに別件で8月~9月にかけてすでにSREチームの業務の中でDMARC認証対応を行っていたので、対応の8割程度が既に完了していました。なので、情報共有はしたものの、実際の対応はすぐアプリケーション側にバトンタッチした形でした。

またその時の対応でPostmaster Toolsを使って迷惑メール率(Gmailを受け取った人が迷惑メールだと報告する率)のレポートも出せるようにして菊川さんに共有し、アプリケーション側での対応に役立ててもらいました。

マクアケ歴もエンジニア歴も長い最強の布陣で対応


―アプリケーション側の対応はどのような流れで進めていったのでしょうか?

大井:スケジュールも鑑みて、既存のチームだけでの対応が難しいと判断しタスクフォースとして進めることにしました。タスクフォースは11月の終わりくらいに立ち上がってキックオフが12月にあったと記憶しています。きちんとこの件に対応できそうな人をアサインし、社内の開発スケジュールの調整をしていきました。エンジニアとしても10年20年選手のベテランで、マクアケ歴も長い人たちに集まってもらい、最強の布陣で対応できたと思っています。

ただ最初はヘッダーの設定追加とワンクリック登録解除の追加をすれば対応できると思っていたのでエンジニア2名でのスタートでした。その後対応をしてみた中で、迷惑メール率を0.1%未満にするには対応が不十分であることがわかりました。

迷惑メール率を下げるという指標は出ていますが、具体的に何をすれば改善ができるかはわからず難易度の高いお題でした。なので更にベテランエンジニア2名とPOを追加投入して進めました。社内のデータ戦略部やマーケティング部とも連携が必要だったので経営やビジネスサイドとのコミュニケーションも更に進めていきました。

難易度が高すぎるのと、3ヶ月程度で対応しなければいけないというスピード感が尋常じゃなかったですし、年末でしたし、いろいろと大変でしたね。

―タスクフォース型ってマクアケではあまりないですよね?

大井:確かに、自分はタスクフォースと名前が付いた活動はマクアケでは今回が初めてだったかもしれないですね。

菊川:マクアケ初期の6年くらい前の話ですが、著名人のプロジェクト実施の対応でアクセス集中対策のパフォーマンスチューニングに取り組んだり、上場前のセキュリティ関連の対応だったり、タスクフォースという名前はつかなかったけれど当時の施策の優先順位を調整して対応したことはありました。

ここ数年ではマクアケでのタスクフォース型は久しぶりですね。

大井:最終的にタスクフォース型をとった理由として、今回は緊急性が高かったというのがあります。限られた時間内で確実に対応が出来るようにチームをまたいだメンバー招集が必要だったというのと、ある程度裁量を渡して他の施策を止めてでもやりきれる体制にしたかったという考えでした。

「Makuake」独自の応援購入体験と、メール体験向上のちょうど良いポイントを探る


―具体的にタスクフォースで取り組んだことについて教えてください

菊川:ざっくりやったこととしては①モニタリングの環境を整え、②その上でヘッダーの設定追加、②ワンクリック登録解除を設定する、といった流れです。

まず社内のモニタリング環境が整っておらず、いろいろな種類のメールをマクアケから送っている中で、それぞれのメールがGoogleの指標をどのくらい満たしているのかという把握から始める必要がありました。

その後、ヘッダーとワンクリック解除の対応を2つの環境で行いました。メール配信の大半を担っているAmazon SESと、マーケティング部がメルマガ配信で使用しているプラットフォームのBrazeです。

まずSESについてここの部分はそこまで難しくはありませんでした。もちろんメールを送るという影響範囲の大きいコアな部分に手を入れることになるので調査は十分行いながら進めたんですが、実装自体はスムーズに済んだ記憶です。まずはスピード優先で実装しつつ、後でパフォーマンスチューニングも行いました。

ただBrazeに関しては、普段触れることがなかったので、まずは機能として何ができるのかの理解が大変でした。実際にワンクリック解除の対応をする段階では、幸運なことにテンプレート言語が普段のData Platformチームの業務で触っているツールと同じliquidだったので比較的スムーズに進みましたね。

ただヘッダーのほうはBraze側も当時対応されておらず、2月までに対応見込みと期限にぎりぎりだったので、対応を待っているだけでいいのかと非常にひやひやしました。最終的にはGoogleが適応スケジュールを2月から6月にずらしたので、ここはBrazeの対応を待つという判断ができて安心しました。

ワンクリック解除対応後の実際のGmail

―どんなところが大変でしたか?

菊川:大井さんが言った通り、何をすれば迷惑メール率が下がるのかがわからなかったのが一番つらかったですね。他のECサイトと異なり、「Makuake」は「応援購入」サイトなので、一般的な購入完了メールや発送完了メールといった連絡以外にもさまざまなメールが送られています。実行者がプロジェクト進捗を報告する「活動レポート」や、「プロジェクトの達成報告メール」など独自のコミュニケーションが発生しているんですね。その中でどれが迷惑メール率が高いのかを分析したり、そこをユーザーにどう理解してもらい、どのように手を打つのが正しいのかというのを模索し続ける必要がありました。

―最終的にやりきったなと思えたタイミングはいつでしたか?

菊川:迷惑メール率が連続でゼロになり始めた時点ですね。タスクフォースの解散定義を3つ定めていて、そのうちの1つの「Postmaster Toolsの数値0.15未満を連続で5日間達成する」がクリアになったんですよね。2月中旬くらいからゼロになってきていたと思います。

その時にもうひとつの定義の「GMV棄損がないこと」も同時にクリアして、残りの解散定義だった「引き継ぎ先になるチームが継続して迷惑メール率の改善に取り組める状況になっていること」に向けて動きだしました。

後続で対応するチームのために、引き続き数値のモニタリングが出来る環境を担保しつつ、ガイドライン自体が変わるかもしれないので、6月まできちんと情報収集をし続け、もし規制が強化された際にも対応できる状態にしています。最終的にタスクフォースは3月末には解散をすることができました。

―最後にそれぞれ、今回の対応について感想をきかせてください

菊川:全社的に優先順位高く対応でき、最高の結果を出せてよかったです。タスクフォースに関係してくださった皆さんには感謝しかないです。全社表彰もされて良かったですね。

2024年3月度Best Project Awardでの表彰

稲村:メールは本来コアな機能なんですが、チャット文化に押されて対応が比較的後手にまわりがちなんです。その中で思っていた以上にスピード感を持って対応・改善出来たっていうのは本当に良かったなと思ってます。

大井:僕が関わったのは走り出しのところだけだったのですが、社内の注目を集めて対応するところまでもっていけて良かったなと思います。大変なこともたくさんあったと思いますが、みなさん本当にお疲れ様でした。

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