『アイデアの見つけ方』をかみ砕く
どうも、浮雲です。
前回のnoteのタイトルに何気なく使った『かみ砕く』というフレーズが思ったよりも気に入ってしまったので、これからもいろんなことをバリバリかみ砕いてやろうと思います!
さて今回は、ゲームの企画を考えるときや仕様作成を行うときに、私自身が実際に意識している『アイデアの見つけ方』をテーマに、かみ砕いてみたいと思います。
■この記事のターゲット
・「どうやってアイデアを出せばいいんだろう」と困っている方
・アイデアの『数』ではなく『質』で悩んでいる方
・「売れるアイデアってなによ?」と思っている方
【プロダクトアウト】と【マーケットイン】
まずはじめに、【プロダクトアウト/マーケットイン】という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
マーケティング用語としては比較的メジャーな言葉だと思うので、どこかで目にしたり耳にした方もいるかと思います。
ご存じないという方は、ぜひ一度以下のリンクをご一読ください。
・プロダクトアウト
プロダクトアウトとは、会社側が作りたいものや企業方針に従って製品開発を行い、提供・販売していく考え方のことです。
企業が良いと思ったものや得意とする技術を活かした製品を作って提供していくので、買い手である顧客のニーズよりも、作り手や売り手である企業の考えの方が反映されており、基本的には「製品やサービスが良いものであれば売れる」という考え方がベースになっています。
・マーケットイン
マーケットインとは、顧客が求めているものを調査し、それに基づいた製品を企業が開発・提供していこうという考え方です。
現代は様々なモノがあふれていて競合となる企業も多いことから、必ずしも「いいものを作れば何でも売れる」というわけではありません。
マーケットインは、顧客が本当に求めているものを作り提供することで製品を多く売っていくという考えです。
それぞれの説明としては、上記のように書かれています。
読んでいただければ分かるように、製品開発を行う際の2つのアプローチを表す言葉です。
なおリンク先でも触れていますが、これは2つのうちどちらが優れているというものでもありません。
ですが、個人的にはゲームの企画者は【マーケットイン】を意識して、鍛えるべきだと考えています。
逆算で考えてみる
一般的に、ゲーム業界を目指そうという人なら、ゲームはたくさん遊んできたと思います。なので、きっと「こういうゲームが好き」「こういうゲームが面白い」という自分なりの価値基準があるのではないでしょうか。
そして、その価値基準に基づいて「こういうゲームがあったらいいな」「こういうゲームを作りたい」という思いがあり、それを企画書に起こしてみた人も多いと思います。
しかし、そうして出来上がった企画書を誰かに見てもらった際に、こういうことを言われた経験を持つ方もまた多いのではないでしょうか。
「ターゲットは誰なの?」
「で、売れるの?」
私はあります。なかなか痛いですよね……。
自分自身の経験だと、この質問がきたときはまず答えられません。
理由はシンプルで、作りたいものが先走ってしまっていて、それを届けたい相手がぼやけまくっているからです。
そこで、ある時私は考え方をこんな風に変えることにしました。
作りたいものを考えてから、届けたい相手を考えるのではなく、
届けたい相手を見つけてから、どうやってその相手に楽しんでもらうかを考えよう。
面白いものを生み出すためにあれこれ考える力はそれまでの経験で備わっているはずなので、順番を逆にして、まずユーザーを設定してから逆算で作るものを考えてみよう、と切り替えたわけです。
その時の私は【マーケットイン】という言葉すら知りませんでしたが、あとで知ったときに「なるほど、こういうことか」とひとり納得しました。
そしてそこから、私自身のものの見方や考え方、動き方が変わっていったように思います。
では実際にどういうアクションを取ったのかというと、これもシンブルで「今まで以上に周りの情報に対してアンテナを張り巡らせる」ようにしました。具体的には、大きく2つの情報に対して。
それが、『ゲームのトレンド』と『ゲーム以外のトレンド」です。
ゲームのトレンド
そうして考え方を切り替えてみた後のコンシューマー時代は、セールスランキングをそれまでよりもしっかりとチェックするようになりました。というか、それまでの見方が雑過ぎた。
特に変わったのは、順位ではなく販売本数という数字のデータを見るようになったところです。
なんとなくで「ヒットしているか」「人気がありそうか」というぼんやりとした見方から、「どれくらい売れているのか=どれくらいのユーザー規模があるのか」を見るようになり、「これくらいのニーズがあるなら、こういうアイデアいけるのでは」という視点で考えるようになりました。
【マーケットイン】的なアプローチをはじめたわけです。
その後、転職してスマートフォン向けアプリを担当するようになってからは、各ストアでのランキングをチェックすることで売上やダウンロード数といった数字に加えて、ランキングの推移なんかの動きにも注目するようになります。
特に、ランキングが大きく動いたときには、その背景に何があるのかを自分なりに調査・分析するクセをつけるようにしました。
そうして流れで捉えることでさらに視野が広がった感があるので、ランキングについてはできれば毎日追いかけることを強くおススメします。
参考までに、私がアプリのランキングを見るときにどういうところを気にして見ているか簡単にまとめておきます。
※「何をしたいか」によって欲しい情報も変わるので、必要に応じて細かく見たり見なかったりはありますが、あくまで参考として
■売上
・課金モデルの場合「課金ユーザー×課金単価」なので、ダウンロード数とあわせてみることで「ユーザーの熱量」が見える
■ダウンロード
・ユーザーの規模が見えるが、サブ垢の存在などもあるので単純な人数ではないことに注意
■ランキングの推移
・リリース後一気に跳ねたのか、じわじわと上がってきたのか
・逆に、上がった後ですぐに落ちたか、長くい続けているかによってもユーザーの反応が見える
■ランキングの急変動
・大きく動くときにはいくつかの要因が考えられるので、なぜ動いたのかは情報収集しておく
・例えば、以下の理由で動くことが多いが、これらに当てはまらない場合は「何か」が起きているかもしれない
⇒ゲーム内イベント/CM等のプロモーション/SNSでのバズ
ゲーム以外のトレンド
そして『ゲームのトレンド』以上にアンテナを張っていたのが、『ゲーム以外のトレンド』です。
なぜなら、「ゲームの外にこそ『今まで見たことないゲーム』が生まれるタネがあるはず!」と考えたからです。
これはどちらかと言えば【プロダクトアウト】的なアプローチです。
ちなみに主張強めに太字にしたりしてますが、落ち着いて考えてみればこんなの当たり前の話で、『リアルをモチーフにしたゲーム』なんてそれこそ数え切れないほどあります。
『スポーツゲーム』なんかはその最たる例ですが、この場合はゲームデザイナーが「スポーツの面白さ」をコンソールやスマートデバイスで遊べるように翻訳しているわけです。
私自身振り返ってみると、物心ついたときから当たり前のようにゲームで遊んでいたことで、新しいゲームを考えるときに過去のゲームの中にヒントを見付けようとしがちになっていたんだと思います。
ゲームを遊んでくれるユーザーは、現実世界に生きている人間です。
なので、ユーザーに伝わる面白さは「ユーザーが現実世界で体験しているもの」か、その体験から想像できうるものです。
つまり、現実世界で注目されているもの、流行っているものは、ゲームでも受け入れられる可能性を秘めていると考えています。
というところで、以下に私が普段どういうものを気にして見ているか、いくつか参考に上げておきます。
■TVCM
・TVCMはものすごくお金がかかる
・つまり、それだけお金をかけても伝えたい何かがあるということ
■バラエティ番組の企画
・トレンドをピックアップして紹介、ゲームにしたりすることが多い
・ただ、鮮度はSNSに比べて落ちるし、番組の恣意も入るのでそこは注意
■電車やバスの中吊り広告/駅などのサイネージ
・TVCMと同様だが、中吊り広告は見出しやキャッチの付け方の参考にも
・駅は「広告ジャック」されやすいのでそういうところも見たり
■『リアルタイム』アプリ
・twitterでのトレンドを手っ取り早く拾うのに便利
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以上、『アイデアの見つけ方』について、【マーケットイン】と【プロダクトアウト】という2つのアプローチを軸にお伝えしました。
ただ大切なことは、アプローチどうこうというよりも「その先に人間(ユーザー)を見ているかどうか」だと考えています。そこさえ外していなければ、どんなやり方でも自分にあったやり方でなんの問題もありません。
重要なのは、目的を達成することであって、そのための手段ではないのですから。
そして、ゲーム開発においてその目的を達成するために行う一連の作業こそが【ゲームデザイン】であるというのが私の考えです。
それでは、また。
※何か質問や聞いてみたいテーマがあれば、以下の質問箱からどうぞ!
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