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まよえる女

今迷っている。明日の、仕事場で定期面談。
今のグループに所属してからは研修という研修がなくて、やり方がわからなかったり内容が確定しないまま、まず自分でやって学ぼうの日々、増え続ける業務量……。などなど、ポップに言うと
「無理ンゴ」なことを伝えたい気もする。はじめての面談だし、向こうも色々ちゃんと知っておきたいんじゃないかと思う。

だけどね。ヨユー、大丈夫ですと言ってしまいたい気もする。とくに雇ってもらったとき、「いろいろ経験してるんだね、それなら心配ないね。期待してるよ」と何度か言われた。そして周りにいる似たような境遇の子は、弱音がばんばん吐ける子。
そういうもろもろを思うと、見栄なのかなあ、心の中にもうひとりのわたしが顔を出す。飄々としていたい、みたいな。でも「無理ンゴ」は定期的に口をついて出てくる。

そんなのどっちでもいいかもしれないけど、どうしようかなあ。
迷いながら、スーパーで買ったちらし寿司を食べる。ほこりとりで床をコロコロして、コンビニにドーナツを買いにいくと、星がひかっている。最近は寒いからきれいだ。

素直と見栄。まよえる女。
こんな夜に響くうつくしいうたがある。

下田逸郎さんの「泣くかもしれない」。

フォークのメロディにのって唄われる、歌詞がすごすぎる。女の子らしさとか男の子らしさとか言うのはむずかしい時代だけど、そういうことが言われはじめるずっと前につくられた曲で、歌詞の中には「女」っていうワードが何度も出てくる。
あたしはあたしが思う女のことしかわからないけど、それでもすごく「女」を表してると思うんだよね。体の中に海みたいな源があって、それが裡側でみちたり、ひいたり、ひかったりする感じ。ある日突然決意したり、ダウナーになったり、愛されてもうとまれても複雑にうつろいつづける。
この唄を聴いているときの感覚って、鏡の前に座ってお化粧をしたり、落としてる途中の、つかの間の時間に似てる気がする。まがまがしくて、でも多分綺麗。女っていう生物。

本家の下田さんの唄ももちろんいい。そして、中沢けいさん原作の「海を感じる時」という映画のエンディングでは、女性のうた声で流れるんだけれど、それもいい。
この曲がかかる、スリップを着た市川由衣さんが白い海に出るシーンが本当に好き。その画像をなんとか探してきて、今部屋の壁に貼っている。Netflixとかにあるので見てみてください。おすすめです。

話がそれてしまったけれど。
とりあえずゆったりお風呂に入ろう。明日の面談は、気分次第だね。

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