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現場と理論をいったりきたりする教育の学問(教育社会学)

大学院で学ぶ「学習のデザイン」、今回は教育社会学について勉強していきます。


教育学 vs 社会学?

教育社会学とは名前のとおり、教育学と社会学の掛け合わせです。この2つ、接点は多くあるけど、水と油のように相容れない考え方です。

  • 教育学→社会:教育問題の解決を目指して役立つこと

  • 社会学→教育:社会の仕組みをしる手がかりであり、教育は素材

つまり、教育学は現場主義、社会学は理論主義、といった感じで異なる立場の関係性です。でも、経済学にミクロ経済学とマクロ経済学があるように、両面から見ることで何が大切かがわかることもあります。教育分野でも2つの視点を行き来することが必要なので、教育社会学です。

前期で学んだ教育学はこちら

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教育社会学の成り立ち

教育社会学は、1900年前後に社会学の考えを使って教育の問題を解決するために、アメリカで登場しました。前に社会学で紹介したデュルケーム(この人はフランス)が、教育を科学的に研究する必要性を広めました。↓

日本では戦後、GHQ統治下で学校の仕組みがつくられたながれから教育社会学が根付きました。1960年代には、学生運動などで教育現場が混乱したことを受け、政治や社会の観点から教育を考える必要性が高まりました。

現在、教育社会学が扱うテーマとしては、学力格差・受験競争・グローバル化・いじめ・不登校・体罰などがあげられます。

教育社会学者の3タイプ

さて、教育社会学での研究は大きく3つの異なるスタンスがあります。理論起点か現場起点か、現場起点でも実践派か分析派か、といった分類です。

A.理論思考的研究(理論起点)

マクロに客観的に事象を分析する人で、現場には無関心な人たち。教育方法やジェンダー問題など、新しい教育のあり方などのテーマを取り扱うけど、近年はこういった研究とは別の流れで、世の中の教育改革の方が影響は強くなっているため、ニーズは減ってきている。

B.臨床的研究(現場起点・実践派)

現場での気づきをもとに改善を取り組む、現場主義な人たち。指導方法・学習格差・不登校などのテーマに取り組む。実態に基づいた必要性の高い課題である一方、分析が理論化や相対化ができていないと、独りよがりの偏見になってしまいがち。

C.エビデンス提供型研究(現場起点・分析派)

データをもとに分析して提言をする人たち。例えば学力低下といったマクロな問題に対して、データに基づいた論拠を打ち立て社会とのつながりから提言をするため、ニーズは高い。ただし、理論思考と同じく、現場との関わりは希薄なので、考察が浅くなるかもしれない。

このように、1つのスタンスだけで、教育の社会課題をすべて捉えることはできないので、お互いが全体を補う存在になると考えられます。

学んだこと

僕は学校教育とデザインを研究テーマにしていますが、それは単に授業とか勉強方法だけの話ではなく、学ぶことが暮らしや社会にどう関係するかが目的になります。なので、教育⇔社会を行き来することは、これから研究を深めていくうえで大事な視点だと実感しました。

今回は導入なので、ここまでです。

デザインとビジネスをつなぐストラテジーをお絵描きしながら楽しく勉強していきたいと思っています。興味もっていただいてとても嬉しく思っています。