見出し画像

コミュニケーション苦手なデザイナーの私が、なぜマネジメントに興味を持ったのか?

只今就活中なのですが、いろんな可能性を模索しつつも、とあるデザインマネージャーに応募した面接での出来事でした。

担当の面接官に、「スズキさんの話を聞いていると、マネジメントをやろうと思った何か強烈なエピソードがあるはず」と言われました。そう言われれば、たしかに・・何かある気がする。でも全然エピソードとして、パッとその場では答えられませんでした。

最近、その言葉を思い出しては時々頭の中でぐるぐると考えていたのですが、やっと私の中で整理されてきたので、書き出してみます。


新規立ち上げチームでの数々の失敗

ある会社の新規事業の立ち上げに参画しました。最初はデザイナーひとりだったので、とにかく業務に没頭する毎日でした。そして、半年過ぎた頃になってくると急激にメンバーが増えはじめました。3名からのスタートで、多いときで15名前後はいたと思います。

人数が増えても特別何か私にリーダーなどの肩書きがあったわけではありませんが、ただ、ほぼ初期メンバーなこともあって、自然といろんなことに関わっていました。

その中でまずぶち当たったのが、

上司とまったく話の軸が合わない

お互いが今までいた畑が違くて、そもそも社内での意思疎通にかなり苦労しました。私は口頭でのコミュニケーションがド下手&即興(アドリブ)が大の苦手で、一方、上司はその場ですぐ答えを求める&ディスカッションがしたい、私とは真逆タイプ。

いわゆる、コミュニケーション方法が全然合わない感じです。そして、上司はデザイナーやクリエイターではなく、ビジネスサイドのプロデューサー的な立ち位置だったので、私のデザインの説明も全然通じませんでした。

(これまでの会社で間にいてくれた、ディレクターさんや、私の言いたいことを噛み砕いて周りに説明してくれたシニアエンジニアさんの存在を、改めてその有難みが身に沁みました。)

話の軸が噛み合わない。私はその場で黙り込む・・。

でも、このままではお互いにキツいだけだし、仕事もスムーズに進まない。なので、どうやったらタイプの違う人とコミュニケーションがスムーズに行くかを、本を読んだりネットサーチしたりして、自分なりにかなり試行錯誤しました。

<覚えたマインドセット>
・相手を変えようと思わない、自分を変えた方が早い
・他人は自分とは違う人間なんだと自覚する

<この時に実践したこと>
・苦手な対話スキルを訓練するのではなく、自分が元々得意だった図解や資料にまとめてからデザインの説明をしに行った【→ のちに、こうすることは対クライアントにもかなり役立ち、UXやサービスデザインにつながっている】
・相手の目線や立場を考えて、情報を全部を伝えるのではなく、選別して伝えるようにした【→ じつは相手に情報を伝えすぎていて、相手も混乱していたのがやってみてわかった】

そんなこんなで、やっと、その場で黙り込んだりトイレで泣くことも少なく(笑)なったのですが、今度は別の問題発生です。


部下に厳しくし過ぎて離れていってしまった

当時、私は26歳。新しいメンバーの多くは年上でした。
初めて私についた部下も年上。ただ、まだデザイナーになったばかりの人でスキルはまだまだこれからでした。

チームでは年齢関係なくフラットに接することを大事にしていたのと、私自身も年下扱いされたくありませんでした。相手もすごく私に気を使っているのをひしひしと感じつつ、でも、なかなかどう接したらいいのかつかめずにいました。

私は当時、自分にかなり厳しいタイプでした。
親も、これまでの先輩や上司も、「自分でどうにかしなさい」という方針だったので、私もそれをその部下にも求めてしまっていました。
自分としてはかなり努力してスキルやクオリティを磨いてきたので、それをみんなもやるべきだと当然のように思っていたのですね。(いやはや、今思うとほんと視野が狭くてお恥ずかしい・・。)

結果、当たり前といえば当たり前ですが、その部下が精神的に疲労してしまって、他のところに行ってしまいました。

ただ、この時は「私がこのチームのクオリティを担保しないと!!」と信じてやまなかったので、仕方ないぐらいにしか思ってませんでした・・。

ほかのメンバーにも求めていたので、呼び出して注意することもやってましたね。(あー、もう、ほんとマジであのときの自分何やってんだよ、と自分を叱りたい。)

でもずっとこのことは、相手だけでなく、自分もあまりにも気持ちが良いことではなかったので、心の中でシコリのように残り続けました。


デザイナーのメンバーの二分化

チームでのコミュニケーションやスキル向上のために、行動指針を考えたり、社内勉強会をやったりしていました。

ですが、そういう取り組みに賛同して積極的に参加してくれるメンバーと、そうでないメンバーの二分化が起こり始めました。

社内勉強会は任意参加だったのですが、「本当は出たくないけど出ないといけない雰囲気があって無理して参加してる」「なぜ業務時間を割いてまで参加しないとならないんだ」と、直接ではなくみんながみえるチャット上で文句を書くメンバーが出てきてしまいました。

私はみんなのためにやってるつもりだったので、すごく傷ついたと同時にふつふつと怒りが湧いてしまい・・。そう私は若かった・・と言い訳を前置きにして、何をしたかというと、

「そんなに文句あるなら勉強会やめるわ!!!」

と、チャット上で吐き捨てて勉強会をやめました(笑)
いや、その前も必死にそういうメンバーたちにも伝わるように、私も説明を試みていたんですよ。ただ、全然私の意図が伝わらなかったんです。怒りというより悲しみの方が大きかったです。

この時、

<覚えたマインドセット>
・必ずしも全員が意図を汲んでくれるとは限らない

と、学びました。前項の上司の件で、なんとかすれば伝えられるはずだと思っていたんですね。でも、世の中にはどうしようもできないこともあるんだと、辛い事実を受け止めた出来事でした。

そして、反省として、アンチは気にせずに、一緒に走ってくれる人たちと走ろうと思いました。

今でも、下記の本と動画は私の励みです。動画はたしか全然あとで見つけたものですが、本はこの当時、だいぶお世話になりました。

👆ビジネス書ですが、デザイナーさんでもわかりやすい内容なので、みんなにおすすめしてます(笑)

👆最初はアンチだったメンバーも、一緒に盛り上がってくれるフォロワーであるメンバーと一緒に走ってムーブメントにすれば、気づいたらアンチなメンバーも一緒に楽しんでくれてるといいなと今は思ってます。

そんなこんなで、私はこの新しいチームの立ち上げに関わって、デザインの手を動かす技術的なスキルだけでなく、「人に伝える」「人を動かす」「人との違い」など、人とのたくさんのコミュニケーションを通して、その難しさに直面しながら失敗しながらも、期間は2年と少しでしたが濃厚な時間を過ごしました。

とはいえ、人の育成やマネジメントには苦手意識を持ったままでした。ですが、このあと意外にもプライベートで、この経験が活かされたのです。
これが、「あれ、私意外とできるかもしれない・・?」と思ったキッカケでもありました。


引き込もってしまった弟の社会復帰

弟のプライベートなことなので出来るだけ詳細は割愛しますが、私には弟が2人います。その中でも一番下の弟は6つ離れていることもあり、小さい頃は私が面倒みることが多かったのです。

私は社会人になってすぐ実家を出てしまったのですが、しばらくしてその一番下の弟が学校に行かなくなってしまい、就活もしなくて困っているのだと親から聞かされます。家庭環境があまりいいともいえない感じ家族だったので(私もそれですぐに家を出たので)、まずは弟を私の一人暮らししている家に泊めたりしました。

でも、私もちょうど上記で書いたチームで奮闘している最中だったので、私の方がギブアップして弟を実家に戻してしまったんですね。

そして、私がやっと落ち着いた頃、弟の状況は変わらずにいたので休日に実家に行ってレストランに連れ出してお昼ごはんを奢りつつ、弟の話を聞きながら「状況を変えたいか?」と問うと本人も「変えたい」と言ったので、また私の家に泊まらせることにしました。

前回は途中でギブアップしてしまった悔やみと、上記のチームの中でいろいろ学んでいた私は、そのスキルを我が弟にフル活用してみようと思いました。

<私が実践したこと>
① 弟がまずは規則正しい健康的な生活を送れるようにする
(深夜までゲームをやったりして、生活リズムがぐちゃぐちゃで不健康な生活をしていた)

② 私の弱みを伝える
(前回の反省を活かして、私自身もつぶれないように「私も完璧じゃないから」と弟にしっかり説明をして、お互いが気持ちよく生活できる最低限のルールを作った)

③ 私はあなたの味方なんだと、行動だけでなく口頭でもしっかり伝える
(ときにはお互いに大声をあげてぶつかることも。だからこそ、弟も本音で話せるようになった)

④ 最初はじっと待つ
(これが一番大変だったかも。何かしてあげたり注意したくなるけど、とにかく本人が精神的に元気になるまでぐっと待った)

⑤ 感謝する、褒める、サボっても怒らない、失敗しても責めない
(分担していた家事をやってくれたときはありがたい〜!助かる〜!とすごい褒めて、サボったとしても怒るのではなく残念そうに困ったな・・といった感じ。ご飯つくるの失敗しちゃっても、ま、私も時々やるし!見たことであるでしょ、私のダークマター!と笑)


こういうすることで、私も弟もお互いに精神的な疲労が減ったように思います。なにより、相手へ「やってあげてる」感をとことん排除したんですね。だから相手も私に気を使わなかったのかもしれません。私自身も楽でした。

そして、「いつでも私にできることなら力になるから言ってねー!」と、私からはあえて目立ったアクションは起こさないようにしていました。
ただ、様子は伺っていて、調子が良さそうな日があればちょこっとだけ、話を振ってみる。その「ちょこっとだけ」を、少しずつ時間をかけて積み上げていく感じ。

そんなこんなで、弟は無事、元気になってバイトもするようになり、実家に帰っていきました。今も元気そうにやってます。


この出来事があって、今までの自分の経験を活かして誰かを救えたのはとても嬉しかったし、自分の中でも自信につながりました。


組織でも「心理的安全性」がすごく大事

私もまだまだヒヨッコなので、マネジメントが何なのかは全然語れませんが、こうやって経験した中で、2人でもチームでも会社でも人が集まるコミュニティで私が大事だなと思ったのは「心理的安全性」でした。

そもそも、私はコミュニケーションが大の苦手。しかも精神面の問題も抱えながら社会人生活を送っています。でも、人が嫌いな訳ではないし、私もみんなと楽しく過ごしたい。自分自身がジレンマを抱えて色々試行錯誤しながら乗り越えてきたからこそ、リードする・管理するなどではなく、「みんなが安心して楽しくやりがいを持って会社で過ごすには?」という点に興味があります。

別にマネジメントの立場じゃなかったとしても、チームや組織の中では、先頭に立つのではなく、頑張るみんなの姿を後ろでニコニコしながらみていたいです。誰かが不安そうに後ろを振り向いたら、ガッツポーズして励まして。誰かが立ち止まってたら、話しを聞いたり肩を並べて空をボーッと眺めたり。


ただ、みんなには私の姿がそう見えても、実現するためにもちろん裏でゴリゴリに動きます。そういえば、昔から隠れてこそこそ準備するのが大好きでした。

ただ、一人で裏で動くのも辛いので、同じ目線で一緒にやってくれる/相談にのってくれる仲間や、後押ししてもらえる環境に行けたらなって思ってます。私の心身の特性的に、一人じゃできないって身に沁みて実感しているので・・。


昔の自分を振り返ると恥ずかしいし、マジであんな態度をとってしまっていたみんなへ謝りたいです。だからこそ、過去の失敗を抱き込みつつ、これからも失敗しながら成長していこうと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございます。頂いたサポートは私の癒やし担当、愛猫シャーロックの胃袋にしっかりおさめます!