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デザイナーたちよ、これが今の日本でデザインをやるという現実だ。〜今回の#NoBagForMeプロジェクトで私が感じたこと

すでに議論しつくされていることかもしれませんが、いよいよ#NoBagForMeプロジェクトの第一段として製品化された商品の発売が発表されて、私のモヤモヤが再熱したので書かずにはいられませんでした。

生理へと捉え方やそのものについてはいろんな人の声が上がっていると思うので、私はあくまでもデザイナーとしての目線で、このプロジェクトを切り取って考えていきたいと思います。

問題提起するアートと、商業としてのデザイン

おそらく私も含め残念に思った多くの人は、当初のコンセプトや方向性がぶれぶれになってしまったことではないでしょうか。

私が#NoBagForMeプロジェクトを初めて知ったのは、ハヤカワ五味さんの下記のnote記事でした。

とてもリアルな内容で、ハヤカワ五味さんの熱意や行動力にも感銘を受け、またそれと同時に生理用品の現実を知りました。note記事のタイトルにもあるように、生理用品を作るのは色々な事情が絡んで想像以上にとても難しいことだということ。

”「生理用ナプキンの機械を買うのにだいたい10億くらいかかるみたいね、昔は3-5億くらいだったんだけど、しかも1型で10億だから、もし3つのサイズ展開にするなら30億くらいかかると思う。」”
── 私は生理用品が作れなかった。 #NoBagForMe より引用
“先ほどの薬事の話とも関わって来ますが、パッケージひとつ変えるにも国の認可が必要なのでサクッと数ヶ月でできるものではありません。”
── 私は生理用品が作れなかった。 #NoBagForMe より引用

そして何より、私の印象に強く残っているのは、このnote記事でハヤカワ五味さん自身がプロジェクトをやるキッカケになったという、『多摩美の同い歳の子が、ジェンダーレスな生理用品を卒業制作で作ったんだけど、製品化したいらしい』というエピソード。

もしかしたら、この辺からこの生理用品の卒業制作に対して、ハヤカワ五味さんたちと、私自身が注目したポイントや、この卒業制作作品への見方がそもそも違っていたのかもしれません

このプロジェクトが始動してしばらくして、何か思うところがあったのでしょう。この卒業制作の作者であろう人がこんなnote記事を書いていました。

“そのぐらいの、ただ”在るだけ”の提案。”
── 私ってどうやってあの生理用品のアウトプットにしたんだっけ…?メモ より引用
“できたら喜ばしいけれど、そもそも商品化のためにつくったのではなくて「既存概念への提案」「ジェンダー規範への挑戦状」みたいな感じなので、生理用品でなくても、みなさんの身の回りの既存の当然とされてきたものごとへの疑わなさや諦めみたいなものに対して、少し隙間風を通すためのきっかけになれたら、それでいいな🌬”
── 私ってどうやってあの生理用品のアウトプットにしたんだっけ…?メモ より引用

作者の記事を読んでいて思うのは、あくまでもこの時点では製品化されるための「デザイン」ではなく、社会へ問題提起をしている「アート」だったということ。作者の想いがあれど、人それぞれ捉え方や意見がある。


そして、この#NoBagForMeプロジェクトで私が感じたのは、日本企業で社会的意義をしっかり反映したモノを世の中に出すのは、とてもハードルが高い・・。

少なくとも私が思うデザインは、社会貢献→企業→製品→ユーザーの橋渡し的な役割なのです。このアートでの問題提起を、改めて再設定して課題化して解決する。ユーザーに届ける。

上記のようなTwitterでの意見があるように、この一連のプロジェクトの流れをみていて、企業側のオトナの事情を感じずにはいられません。だからこそ、悔しいというか、

「これが今の日本でデザインをやる、ということだぞ」

と、現実を突きつけられた気持ちでした。

いくら素敵な想いをもとにデザインの提案をしたとしても、クライアントのオトナの事情でいつの間にか全然違うデザインをしている。そんな経験をしたデザイナーさんは日本でたくさんいるのではないでしょうか。

私たちデザイナーはあくまでも商業。商売。なので、日本のビジネスとしっかり向き合わないとならない。そこに立ち向かっていかないと、私たちが憧れてやまない、本質的なデザインは作れない。

無知なままでは、逆にいいように使われてしまうだけなのだ・・と。


「デザインは見た目をオシャレにすること♪」
まだまだこのイメージは、このプロジェクトを通して、企業のやり方だけでなく、一般消費者の反応もみていて根深いと感じます。

(もはや、以前から思っていましたが、「デザイン」という言葉のイメージが強すぎるので、別の単語にしたいぐらいです(笑)


とにかく私が言いたかったのは、

デザイナーのみんな、頑張っていこうな・・・!!!!😭


──

最後に、この文章を書くにあたっていろいろ読んでいた記事などを貼っておきます。

ソフィの#NoBagForMeプロジェクト炎上で考える、女性の生理 | バツイチ34歳からの立ち直り方
変わる「生理」のイメージ「#NoBagForMe」は炎上商法と分かるが・・・ - 元外資系マーケッターが語る戦略的マーケティング
#NoBagForMe プロジェクトについて感じたこと、考えたこと | Karakuri×Paradox
#NoBagForMeから浮かび上がる男性中心社会 - 〜
みんな生理や生理用品を恥ずかしいと思うのをやめてくれ / Twitter

僕が毎月「妻の布ナプキン」で手を血に染める理由(鈴木 大介) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

朝日も日経も1面で取り上げた「#NoBagForMe」運動って何?|au Webポータル国内ニュース
生理用品を隠す袋、いりません。ユニ・チャームがハヤカワ五味さんらと「#NoBagForMe」のプロジェクト発足 新デザインも開発 | ハフポスト
「#じぶんにいいこと はじめよう」 イベントレポート(後編)|#NoBagForMe PROJECT|note
「どんなデザインがいい?」 激論! KICK OFF ミーティングレポート|#NoBagForMe PROJECT|note

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