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畑の雑記

4月から近所に七坪ほどの畑を借りて野菜を育てている。直に行うことと生きることが直結している実感が欲しくて何からやればいいかわからない中、とりあえず簡単に考えて食べるものを育てようと思った。
仕事も実感という意味では厳密にいうともちろんそうなのだが、人が作った経済の中での活動は、生きるということと自分との間にいろんなものが入りすぎていて、自分の欲求としてはもっと生っぽいものがほしかった。
これからはそういうものを増やしていきたい。

毎日少しずつ変化があるのが嬉しい。まず、更地で何もない土に苗を植えると虫が集まり出す。小さい蝶やあり、ダンゴムシ、ムカデもっとよく見ればもっと色々いるのかもしれない。また同じ苗でも育ち方の速度もまちまちだ。同じ土で同じ育て方をしているので個体差によって収穫が難しいものもあることを実感で知る。土もだんだん硬さが変わってくる。7坪の小さい中でも場所によって環境が違うことがわかる。人がよく通るところと通らないところ、蔦系の苗があるところと這う系の苗を植えたところで個性が変わってきておもしろい。とまあ自然は日々変化していく。そんなものは当たり前だと思われると思うし、思っていたが、手で触って見ているとわかり方が違う。


そら豆に植えた早々にアブラ虫が出現した。葉っぱは日々食われていたが除去するかどうか悩んだ。一生懸命生きているのはわかるのでなんとなく躊躇していたし、やり方も分からなかった。ある夜バーでお酒を飲みながら畑の話になり、知人に話すと早く除去したほうがいい。せっかく一生懸命育てたものを全滅させられた時の悔しさったらないよ。と言われた。おそらく経験のある話し方だった。

次の日、畑に行くと相変わらずアブラ虫はところせましと葉の根元から茎にかけてびっしりへばりついていた。隣の阿部さんが来たので、阿部さんにアブラ虫のことを尋ねた。阿部さんはその共用の畑でも一番大きい20坪の敷地を借りているベテランだ。定年後この畑で20年近く野菜を育てている。すると大学の先生に勧められた完全天然由来の害虫駆除のスプレーを教えてくれた。自分もそら豆なんかには吹いていると教えてくれる。阿部さんが言うならということと、聞いて何もしてないところをみられるのも気まずいと言う思い半々で早速Amazonで今買うのボタンを押してみた。

結果、アブラ虫は死滅した。黒いシミのような感じになって茎に模様のように残った。しかし肝心のそら豆もその後、豆をたずさえる気配がない。それ以前に中々背すら伸びない。死滅させてから1カ月ほど様子を見たが、育つ気配がなく葉の色がだんだん変色してきて結局枯れてしまった。もちろん害虫駆除スプレーのせいだとは思わない。一緒のものを使っている阿部さんのそら豆は阿部さんと同じ身長くらいに育っている。アブラ虫で弱っていたかもしれないが、結局この辺も個体差によって色々結果は変わってくる。

少し予定してる文字数より長くなってきたので、無理やり終わらせるが、僕は元気なそら豆を収穫するためにアブラ虫を死滅させたが、そら豆も死んでしまった。その日からそのスプレーはほぼ新品のまま畑の納屋から出していない。自然はアンコントロールな部分があるから複雑で面白い。今はきゅうりやトマトの蔦の伸び方に戸惑い少しびびっている。整理したい気持ちもあるがアブラ虫の件から僕はなるべく手を出さないように切り替えた。

とまあこの辺で、締まりは良くないが切り替えた心境はもう少し文章力がついたらいつか面白く詳しく書き足してみたい。

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