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DESIGN: POESIES


アパレルのセレクトショップのロゴデザインです。オーナーの方がポエジー(詩)という言葉に浮遊感を感じていて、それが気に入っているところから「POESIES」と命名。ロゴマークを制作するにあたり、私なりに詩とはなんだろうというところから始めました。以下は、提出した文章です。

詩とは言葉を使った芸術であり、
絵画、音楽、彫刻、それらと同じ美的な何かへの憧れです。
そして、詩は通常の意味解釈から逃れようとしています。
私たちの生活の言葉は一語一語に決められた意味があり、
その意味の中で話されるから会話ができます。
「暗い」という言葉は「暗い」以外を示さないように。
しかし、詩において「暗い」は「暗い」を意味しないかもしれません。
詩では、一語一語の意味は意味を持たないかもしれません。
例えば、ゴッホのひまわりの「黄色」だけを取り出したり、
モーツァルトの交響曲の「ファの音」だけを取り出しても
全く意味のないことと一緒かもしれません。
詩は全体で一つの「意味」をなすが如く、全体が一つの情景です。
読むものはそれを心で感じます。頭で理解するのではありません。

言葉が詩として現れた時、
馴染みのある言葉が何かわからぬものに変貌します。
言葉でない言葉。
頭で理解するのではなく、心で受け止める言葉になります。
見えないもが言葉の姿を借りて形になろうとする情熱の痕跡。
私たちはきっとそういうものに感動します。

以上。

これが、デザインの背骨です。言葉の二面生です。コミュニケーションとしての言葉と、表現としての言葉。これを表現しようと思いました。
この考えは、このお店の取り扱うハイブランドの服にも共通する部分があります。
機能としての服。と、表現としての服です。着られればいいだけでなく、デザイナー自身の美的な憧れや思想を表現しているのです。服の姿を借りてそれを生み出しているのです。

はっきりと読める黒い方は、生活の中で使われる、コミュニケーションとしての役割の言葉を表現しており、重なる見えにくい反転したほうは、詩の中で見られる意味以上の何かを示唆してる言葉を表現しています。
反転させたのは意味の拒絶です。また透明にしたのは、普段は見えないけれどもイメージが重なった時に現れてくるということを表現したかったためです。
こう考えていくと、最初に言ってたオーナーの方が感じた浮遊感は意味からの離脱にあるのかなと感じるようになりました。


私たちは、普段はわかりにくいけれども、
ふとした瞬間に感じられる言い表せない「何か」。
それを感じる「もの」に惹かれ、そういう「もの」を伝えていければ・・・。
そういう場所になってもらえればと思い制作しました。


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