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石取りゲーム必勝法!絶対に勝てる戦略を考よう

 石やコインを使って簡単にできるゲームをやってみましょう。石をいくつか用意します。プレーヤー2人で交互に石をとっていき、最後に石をとった方が負けです。とることのできる石は1個以上5個以下とします。

010-1_図-1

ラッセル博士と助手のレオ君の対戦の様子を見てみましょう。今回は20個の石を用意しました。先手はラッセル博士です。

010-1_図-2

ラッセル博士は石を1個とりました。みなさんが後手ならいくつ石をとりますか?レオ君は3個とったようです。

010-1_図-3

プレーヤーは交互に石をとっていきます。最後に石をとった方が負けになるので、石を1個残して相手の番とすれば勝つことができます。

010-1_図-4

ラッセル博士が石を2個とると、7個の石が残りました。レオ君がとれる石の数は1個から5個まで。レオ君がいくつ石をとっても、次に順番が回ってきたラッセル博士は石を1つ残すことができます。

 このゲームで後手のレオ君は先手のラッセル博士に勝つことができたのでしょうか?実はラッセル博士は後手のレオ君がどのように石をとっても、最後に石を一つ残して勝つことができるのです。
先手必勝」とは、後手がどのようにゲームを進めても、必ず勝つ戦略があることを意味します。「先手必敗」とは「先手必勝ではないこと、つまり、後手が必ず勝つ戦略を持っていることです。
最初に用意した石の山に対して、「先手必勝」か「先手必敗」かが決まっています。石を20個用意して始めた今回のゲームは「先手必勝」の形になっています。

010-1_図-5

 それではゲームの戦略を考えてみましょう。このゲームで勝つためには、6k+1個の石を残して相手に渡せばよいのです。
つまり相手が直前に取った数と自分の取る数を足して6になるようにします。

010-1_図-6

最初に用意する石の個数が n の時を考えてみましょう。

【n=1 の時】
先手はこの1個の石を取らざるを得ません。したがって先手必敗です。

【2 ≦ n ≦6 の時】
n – 1 個の石を取れば、石が 1 個残り、勝つことができます。したがって先手必勝です。

【n=7 の時】
1個以上5個以下の石を取ると、残りは 2 以上 6 以下となり、相手が必勝だから、必敗です。

以上の議論より、石の数が 6k+1 (k≧1) の時は必敗、それ以外の場合は必勝です。つまり最初に用意する石の数が
1, 6+1, 12+1, 18+1, 24+1, …
の時は先手必敗(後手必勝)、それ以外の時は先手必勝になるのです。

010-1_図-7


 興味のある方は、最初に用意する石の個数や一度にとることのできる個数を変えて、いろいろなゲームを試してみてください。必勝法を知っていれば必ず勝つことができます。石やコインがあればすぐにゲームを始められますし、大人も子供も一緒に楽しむことができると思います。


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