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6th Anniversary Event Report 2022.07.2 @S’ACCAPAU


やっぱり食べるということは、最強のエンタメコンテンツかも。

と、あらためて思ったのが2022年の夏、サッカパウで行われた6周年イベント。今回のテーマはズバリ、オーストラリア。かつては野生のコアラを抱ける!海外旅行先として一世を風靡した国が、昨今はこちらに注目が集まっているようで。

そう、ラム(子羊)だ。


「すごいパワーを感じました」

と言うシェフの田淵はその実、MLA豪州食肉家畜生産者事業団のプロジェクトであるラムのアンバサダー、その名も「ラムバサダー」の選抜メンバー。イベントの数ヶ月前も活動の一環で、オーストラリアに行ってきたばかりだとか。

「オーストラリアだけでなく、世界中ではラムを食べる文化はすでに根付いてますし、日本もこれからもっと盛り上がっていくと思います」

ということで、今回は1日限り!オージーラムを使用したスペシャルコースがふるまわれるようだ。

オーストラリアと言えば、思い出すのはこの人。

オーストラリアのナチュラルワインインポーター「ワインダイヤモンズ」のジェネラルマネージャー、尾崎裕さん。今日はこの日のために鍛えた(?)肉体を強調するような出で立ちで、とびきりのナチュラルワインを持ち込み、参戦してくれた。

ワインと言えば、もちろんこの方も。

日本を代表するワインテイスター/ソムリエであり、サッカパウのかけがえないパートナー、大越基裕さん。蝶ネクタイにジーンズという、ワインだけでなく、服装まで神レベルのペアリング!

そんな豪華なメンツが揃いも揃ってるものだから、心が躍らないはずがないってもの。期待のあまりメェ〜!と叫びたくなるのだった(あれ?それはヤギか)。



大越さんによる乾杯の合図で(それにしてもかわいい笑顔)スタート!

食前酒も兼ねた一杯目は、南オーストラリアの作り手JaumaのFujisan2018。一次発酵中に瓶詰めを行い、微発泡に仕上げたシュナン・ブランだ。

「酸がしっかりしているので、胃が刺激され、喉もうるおう。一緒に軽やかなアミューズをお楽しみください」

はい、言われなくても楽しみます!と勢い勇んだものの、やがて供されたアミューズは謎かけのような4つの器。

これは、どう楽しめばいいの?どこまで食べていいの?た……試されている。

恐る恐る、右下から時計回りに。まず瓶の中身はラムのコンソメのジュレ。自家製のジャーキーを刻んでズッキーニと合わせている。ラムのパンチと、ジュレの清涼感の対比にのっけからノックアウト。

そしてイタリアの伝統菓子、バーチ・ダーマ。ただ中はチョコではなく、バルサミコのレバームース。ホロホロとした生地の食感に、ジワジワ感じるバルサミコの旨味と酸味。

さらにサフランを加えた子牛のスネ肉に、ペンネの形をしたスナック。見た目はジャンクのようで、味は美しくて正しい。そして下に敷いたお米とパスタは飾りだった。よし、クリア。

と、油断してるとキッチンから異変が!スタッフが取り囲み、何やら怪しげな煙を出している。まるで博士の実験室。


他方では、キャビアを乗せたヒラマサがスタンバイ中。

さらに海ぶどうと骨の形をしたいりこのビスケット、謎の煙の正体である酢漬けのフェンネルの液体窒素パウダーが、輪のまんなかに添えられ完成!まさに華麗なテーブルマジックを見ているようだ。

そこに合わせるワインは、尾崎さん曰く「世界一有名なセミヨン種」と言われる、ニューサウスウェールズ州ハンター・ヴァレーのBRAEMORE SEMILLON。

青さも感じる長期熟成できる白ワインで、独特のフローラルさや爽快さもあり、フェンネルの清涼感とも呼応し合ってる。



ちなみに備えつけのパンが、ちなみにレベルじゃないウマさ。フワッフワでパリッパリ!ワインとも合う!

なんて思っていると、キッチンではすでに次のドリンクを用意し始めている。

なんとこれ、オリジナルレシピのクラフトコーラで作るラムコーク。カルダモンやライム、レモン、山椒なども加わった、キリリと複雑な味。コーラに合わせるものといえば?

はい、どん!

サッカパウ、影のシグネチャーともいえるプチサイズのハンバーガー。ただもちろん、今日のパテは特別にラム肉を使用。しかも燻製させたチーズトリュフも挟まっている(ってよおい)。かぶりつくと、野性味ととろりとしたうまみ、奥行きのある風味がコーラと合わさり、スーパーさわやかテイスティに!ファストフードの王道コンビが、ここまでリッチになるなんて。


お次のパスタは、イワシとアンチョビのキタッラ。モッツァレラチーズに、ライムの皮のフレッシュな風味がふわっと。「あくまで優先すべきは料理が100%、そこに合わせるのが僕らの仕事」ときっぱり言い切る大越さんは、これに日本酒、富田酒造の木の環を当ててきた。

「これは木桶仕込みなんですが、木桶が新しいので木の香りが残っている。この香ばしいうまみの要素は、日本酒ならでは。ただ辛口で心地いい酸もあるので、甘ったるくならず、魚とバターのコクとあいまって、角度を変えた新しい表情を見せてくれると思います」

はい、何から何までおっしゃる通りです!



続いては、ワタリガニと駿河湾の桜海老、ココナッツミルクを合わせたリゾット。とろりと凝縮された香ばしさやうまみが、口の中で燦然と輝いている。多幸感マックス。

これにはメルボルンの東側、Arfionという小さな作り手によるほろ苦いピノグリを。

さらに次の一杯もオージーのナチュラルワイン。Lucy Margauxについて尾崎さんの舌はさらになめらかに。

「オーストラリアで初めてナチュラルワインを作ったうちのひとりです。エレガントな名前からして妄想を描くのですが、実際は禿げ上がったおじさん(笑)、Lucy Margauxは彼の娘の名前。彼女が5歳の時にさくらんぼ農園を買い取って開墾して以来、一切農薬や肥料を使わない、フルーツにこだわったワインを作っています」

そして出された、アルザスのマグナムボトル。「何故かと聞いたら、安かったからと(笑)。箱にもセラーも入らないし、そもそも日本に12本しか入ってこない。レアだからおいしいわけじゃないですが、とにかくやさしい味です。僕よりもはるかにやさしい」

こうした作り手のストーリーをほろ酔いで聞くのは、なんとも楽しいもの。



そんな話をしている間に、次のお鮎さまが整列してお待ちかね。粗めの小麦粉、海藻を合わせたパウダーで揚げた、香ばしいフライ。焼きなすと稚鮎のペーストをつけていただく。

この鮎とLucy Margauxのピノ・ノワール、このペアリングが本当にすごかった。優雅に口の中を泳ぐ苦み、やさしさ、きゅっと持ち上がる酸味。どんどん深い世界へと誘ってくれる。

なんて陶酔してると、なんと夢かうつつか、生きてる鮎まで登場。どうなってるんだ今日は!


そしてお待ちかね、本日のメイン、ラム肉の香草パン粉揚げが登場!

そえられた愛媛県・梶谷農園のワイルドなハーブといい、さまざまな強い風味を母のように包み込んでくれるのは、同じLucy Margauxのメルロー。このジューシーさがなんとも心地いい。


そしていよいよデザート!ひとつめは、マンゴーとパッションフルーツのジェラート。蜂の巣状のビスケット、ジュンサイをゼリーのように混ぜていただくと、とろーり&じゅるる。コンビニに売ってて欲しい!

「これはフードペアリング的な観点はないんですが」と言いつつ、尾崎さんがワインダイヤモンドからの贈り物として特別にサーブしてくれたのが、ピノグリのスパークリング。ネクターのようなとろっとした飲み口に、たたみかける幸福の大渋滞!

だめおしのデザートふたつめは、ティラミス、スフォリアテッラとイタリア伝統の焼き菓子が。すべて小さなサイズなので、トロトロ、サクサク、いろんな食感をリミズカルにいただいて、全コース終了。


ひとつのコースに、これだけの料理があり、またそれが素材やワインの作り手にまで及ぶと、そこには想像もつかないほど、途方もない膨大な人の手と目がかけられている。この事実に心を凝らせば、どれだけこの数時間がアレなのかがわかるだろう。

そう、これぞ贅沢。


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