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#053:学習する組織の実践例

兵庫県神戸市を拠点に活動しております「まじわるデザイン」代表の戸田裕之です。
「ムダをなくしたいだけ」です。

私は、事業のお手伝いをするときには、ピーター・M・センゲさんが提唱している「学習する組織」の考え方を基本思想にしています。

学習する組織には、3つの学習能力とそれぞれを実現する5つの技法があります。
(1)志を育成する力
①自己マスタリー
②共有ビジョン
(2)共創的に対話する力
③チーム学習
④メンタル・モデル
(3)複雑性を理解する力
⑤システム思考

私は、具体的な問題解決のお手伝いをすることが仕事ですので、学習する組織のことなどの知識提供は補助的な位置づけになります。
プロジェクトで良い結果を出すためには、キーパーソンの方々にはもれなく参加していただく必要があります。そういうキーパーソンの方々はお忙しいのが通常ですから、毎回2時間講義をして、それから、「ではこれから問題解決をやりましょう」というやり方では、続きません。
従って、この5つの技法をプロジェクトの進行に合わせて順次体験していただくようなやり方をしています。

(自己マスタリー)
・学習する組織を実現するためには、まず自分がその気になることが大切ですが、いきなり、「どういう自分になりたいですか」と問いかけても答えようがないので、プロジェクトのスタート時に、「組織と自分はどうなっていたいですか」というふわっとしたテーマで、チームメンバ全員の考えを共有する場を設定します。
・その結果を受けて、プロジェクトメンバ全員に、「プロジェクト期間が終わった時点で自分が具体的にどう変わっているか」を宣言してもらいます。

(共有ビジョン)
・次に、プロジェクトとしての活動目標を明確にします。プロジェクトマネジメントの原則からすると、プロジェクト開始前に目標は明確になっているべきものですが、中小企業さまのお手伝いをする場合は、だいたいの方向性が決まっている程度の状態からスタートすることが多いです。
また、ご自分たちで目標を固めることで当事者意識が高まるという効果もあります。
・目標を作るためには、まずは、増やしたいこと/減らしたいことをいくつか抽出して、実際に数字をとり始めてみることをお勧めしています。
具体的な数字を見てメンバで対話をしていると、「こうなればよい」という考えが出やすくなります。

(チーム学習)
・成果を出す器としてのチームの大切さを共有します。

・その上で、チームを実現するために、もっとも大切な要素としてのコミュニケーションについて、ご自分たちの現状をふりかえり、今後、どうするかを決めてもらいます。

・その上で、さまざまな学習のための道具を提供します。例えば、「けぷと」によるふりかえりなどがあります。
どういう道具を使うかは、そのプロジェクトの内容によって違ってきます。

(メンタル・モデル)
・よく知られている「氷山モデル」の考え方をメンバと共有します。

・問題解決をするときに、表面上の対応だけをしていても真の成果は得られず、深層まで掘り下げていくことが大切であることを理解してもらいます。

(システム思考)
・「ありたい姿」を実現するために、何がどうなっていけばよいかを、箱と矢印で整理をします。

・ものごとは単独では存在せず、必ずなにかとつながっていて、そのつながりを意識することで、うまく行くようになるということをお伝えします。
・ここまでできれば、何をやればよいか明確になっていますので、あとは行動計画を作って、行動あるのみです。

写真は、広島県尾道市の尾道駅前にある林芙美子さんの像。尾道に鉄道で移動すると、「海が見えた 海が見える」と言いたくなります。ちなみに碑文は像の台座の下にあるので写真を加工しました。
===誰一人取り残さない===

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