多様性ある社会へ調整役がますます活躍する
多様性という言葉をよく聞く耳にするようになりました。
多様な背景のある人々が、みんなで一緒に暮らせる社会は、素晴らしいことです。理想的なことだとです。つくば市には145カ国の外国人市民が、人口の4.6%、障害者手帳保持者が、人口の3%暮らしています。その他にも、LGBTQの人々ももちろん住んでいます。そう言った、さまざまな背景がある人々がつくば市に暮らしています。
では、その理想的な社会にしていくために必要なことは何でしょうか。私が、これまでつくば自立生活センターほにゃらの活動を通して考えるキーワードは、2つあります。それは、「調整」と「啓発」です。
調整について考えてみます。背景が異なる人同士が一緒に暮らすと、なんらかの齟齬が生じます。例えば、車イスユーザーの場合、お店の入り口に段差があると入店ができません。そうしたら、「スロープをつけてくれ」と、車椅子ユーザーからお店に要求がでてきます。お店側は、さまざまな理由でその要求に応えられないことがあります。障害者差別解消法的には、2024年までは、お店はその要求を受け入れなくてもよかったのです。つまり、努力義務でした。
そこに対して、国は2024年に障害者差別解消法を改正し、民間事業者へも合理的配慮を義務するこことで、これまで生じていた両者の齟齬を調整することにしました。
ちなみに、つくば市は私たちほにゃらの提案を受け、民間事業者への合理的配慮補助事業を実施し、合理的配慮の普及に努め、齟齬の調整をしています。素晴らしい自治体だと思います。
啓発について考えてみます。私たちは、こどもの頃から学校教育を受け、さまざまな事を学んできました。その知識を活かして生活しています。しかしながら、社会もまた変化し、新たに学ばなければならない事柄やルールができてきます。例えば、合理的配慮についても、2016年に障害者差別解消法が成立するまでは、あまり耳にする言葉ではありませんでした。また、今でも、どんな概念なのかを知る人は少ないのではないでしょうか。そのためか、障害がある人が合理的配慮を要求しても、わがままであると言って、とりあわない人たちも存在します。
そこで、行政機関に求められるのは、市民に対して、合理的配慮について学べる機会を提供することです。つまり、市民に対しての啓発です。
これまで、障害がある人のことを事例に考えてきましたが、内容はことなれど、背景が異なる人同士が一緒に暮らす中で、
家事は女性だけではなく家族が協力して行う
ゴミ捨てのルールを多言語で表記する
家族同様に暮らしていれば手術の同意書にサインできるなど
イノベーションが起こり、規範が変化するします。しかし、はじめはどうしても齟齬が現れます。
その齟齬に対して、行政には、異なる背景の人々が一緒に暮らすために必要な調整と啓発が、今後ますます求められます。特に首長、つまり市長にはそういった視点が必要です。そして、その首長の姿勢を問える議員もまた求められます。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?