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アンジェラ・アキ との わくわく体験

僕の日本で過ごした人生には空白の時間というものがたくさんあります。
日本で流行っていた歌や、
芸能人、ニュース、食べ物、ファッション、
まったく知らない時期があります。

プロ野球やJリーグなんていつどこのチームが勝ったどころか、
全く知らない選手もいます。

全てがごっそり抜けている時間があるんです。


1. 『サクラ色』


外を歩いている時にふとアンジェラ・アキの『サクラ色』が耳に入ってきてからというもの、ずっとこの曲ばかり聴いています。

これを書いている今は2024年。
調べてみるとこの曲が流行ったのは2007年。

こんな良い歌があったんだぁ。
今頃?なんて言われるかもしれませんが、知らなかったんだから仕方ありません。当時日本にいなかったのですから。

実際には少し耳にした記憶はあります。いつかは覚えていませんが、一時帰国の際に耳に入ったのかも。素敵な歌だなぁと感じたことはあったのでしょうが、最初から最後まできちんと聴く機会がなかっただけ。

2. テクノロジーの恩恵

海外転勤族の家庭に生まれ、幼少期のみならず学生時代も北米と欧州内を行き来する生活でした。卒業後も自分の仕事のためにいろんな国を転々と。少し日本にいては また海外 の繰り返し。日本のことは、日本にいた時に目にしたことしか主に知りません。

転勤が多いと友達作りに困ったのではないかとよく聞かれるのですが、あまりつらかった記憶はありません。子供は友だちを作る天才です。年齢や性格も関係しているのでしょうが、あまり辛いと思った記憶はありません。両親はきっと気にかけていたに違いありません。親の都合で引越しが続くのですから、もし新しい環境に適合できなければきっと責任を強く感じていたことでしょう。

最近はSNSが発達し、自ら見に行けばいろんな情報が世界のどこにいても時差なしで手に入るようになりました。日本にいなくても、日本の情勢がタイムリーに目や耳に入ってくる時代です。

僕の幼少期は、引越しをすればもうそれが友達との永遠のお別れでした。特に海外となればなおさらです。せいぜい手紙のやり取りを数回する程度。ところが今は友達と離れていてもSNSでいつまでも繋がっていられます。メッセージも瞬時に送れるし、顔を見ながら会話もできる。今の時代を生きる子供たちが羨ましいです。いまだに、幼少期を一緒に過ごした友達はいまどこで何をしてるのかなって思うことがあります。

でもテクノロジーの恩恵は僕もちゃんと受けています。Laptop一つ持っていればほとんど全てのことが足ります。いろんなデバイスを持ち歩く必要はありません。ホテル生活が多い仕事柄、SpotifyやYouTubeで音楽を聴くことが多いのですが、僕が聴く曲の9割が洋楽。理由はただ単に日本の歌を知らないからです。いま日本に住んでいながらも僕自身のテレビ離れは進行し、全く観ない生活になったので最近の流行の曲もよく知りません。そのなか数少ない日本の歌が僕のお気に入りのリストに入ったというわけです。この歌が気になって調べて以来、ずっとこの曲ばかりが僕の部屋では流れています。特に古びた感じもしません。僕にとっては新曲なのです。

3. アンジェラ・アキ

幼少期にピアノを習っていたので、僕はピアノが大好きです。正確に言うと、ピアノの音が。練習は大嫌いだったので。黒の山々が連なってる平べったい白の鍵盤から出てくる、一番右の高い音から、一番左の低い音まで、全ての音が大好きです。

ですから基本ピアノが全面に出てくる曲はそれだけで聞き入ってしまいます。黒い眼鏡とピアノがトレードマークの彼女は、徳島育ちの日本とアメリカのハーフだそう。彼女の弾くピアノの音に伸びやかな声が乗っかって、詩も甘くて素敵。この曲以外も聞いてみないといけません。忙しくなります。

そういえば最近彼女はどのような活動をしているのだろうか。調べてみると日本での音楽活動を休止していたと。なるほど、それであまり名前を聞かなかったのか。そして10年ぶりに日本での活動を再開したところだそうです。そう、それも先月の6月。過去の人では決してないのです。映画『この世界の片隅に』のミュージカル公演が始まり、その曲を手掛けているそうです。ブロードウェイを目指してミュージカル音楽作家になる勉強をアメリカでしていたというのです。そうだったんだ。見てみたいではないですか。7月末まで日本の各地を回るようです。

HPを見るとこのミュージカルツアーを終える都市はやはり広島となっています。長女が8才の頃、広島を舞台にしたこのアニメーション映画『この世界の片隅に』を観て涙を流しました。いまの小学生がこのような内容の映画をアニメーションで観れる機会があるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。次女にもあと数年したらその時期が訪れます。

この映画は家族で広島旅行へ行く前に観ました。学校で戦争について学んできた長女が、広島に強い興味を示すようになったので決めた旅行でした。自分自身にとっても初めての広島。日本人としてはいつか足を運ばないといけない場所だと常日頃から思っていたので、僕としてもやっと願いが叶った旅でした。その時の想いの一部を書いた『トンビと戦闘機とスタバ』は僕のnoteデビューの作品です。

4. 桜

幼少期はなんとも思わなかった桜。なぜお花見をするのか。なぜ入学式には桜をバックに写真を撮るのか。理解できませんでした。子供はみんなそんなものでしょう。ところが海外で時を過ごし日本に帰ってくると、とんでもなく桜がきれいに見えるようになりました。僕の外国人の同僚には、日本で生まれた娘さんをSakuraと名付けた人もいます。それだけ桜の美しさは世界の人を魅了するのです。日本の誇りです。

アンジェラ・アキが学生時代を過ごしたワシントンD.C.にも、日本から寄付された有名なソメイヨシノが並ぶ場所があります。きっとそれを見て日本を懐かしんだ時もあるのではないかな。なんて勝手に想像をしてしまいます。

満開は "Peak Bloom" と言ったり "Full Bloom" と言ったりします。このXのポストからも満開の喜び、興奮が十分伝わってくるのではないでしょうか。

日本の誇りを外国で感じる気持ちは格別でしょう。10年ぶりの日本で桜の開花には間に合ったのかな。もし春までに帰国していたらさぞかし綺麗に見えたことでしょう。昔の友達や知り合いがたとえ側にいなくても、日本の桜は満開の笑顔で迎えてくれます。

5. Pause

It's like somebody hit a pause button of my life for years.

この歌を聴いてやっと体験できてる2007年の日本の一編。日本を出国する度に押される一時停止の「Pause」ボタン、解除され少し前に進むタイミングは音もなく突然くるもの。僕にとっては時々あるできごと。そして今は生活したことのあるそれぞれの国でいろんなことがPause中。続きはきっといつかひょんなことで体験できるはず。その瞬間が楽しみです。

僕の人生には、日本での記憶の点と点の間にはまるものが突然あらわれる瞬間があります。残念ながら一つの出来事でそれらが簡単に線になることはありませんが、遠く離れる点と点の間にはまるものが見つかった時、嬉しい気持ちになるものです。そして一つ一つの想い出にはそれぞれに個性的な色や匂い、味があります。

久しぶりに帰国したアンジェラ・アキ自身の日本のPauseボタンも10年間押されていたままでした。何も帰国してすぐにいなかった時のことが全て吸収される訳ではありません。ゆっくりと何年もかけて、いろんな気づきがあって、いろんな場面に遭遇して、ぶつ切りに解除されては停止が続くようなものなのです。今の僕がいまだにそうであるように。

一生かかっても続きが見れない場面もありますが、悲観している訳では決してありません。見たくない続きもありますし、見なくて良かった場面もたくさんあるのですから。

いつどんな瞬間にまたPauseボタンが解除されるのか。
そしてその時どんな色が見えるのか。匂いがするのか。味がするのか。
ただその瞬間をわくわくしながら待っています。

*****

これを書いているまさにこの瞬間も、僕のホテルの部屋には
彼女の歌声とピアノが流れています。

この年の一時帰国は関東にいたっけ。関西だっけ。
あいつとよく一緒にいたっけ。こいつにはまだ会ってなかったっけ。

いま僕は、2007年の歌と思い出が、2024年現在の自分と並走している不思議な時の流れにいます。

外からはわからないでしょうが、僕はただいまわくわく体験中。
色はサクラ色。
とっても綺麗なんですよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
ただいま次回作を執筆中です。
またお立ち寄りください、ぜひ!
Happiness is like a cloud, staying up there, no matter it rains or shines.
Thank you for lifting my spirits.
寺ピー

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