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こりゃ傑作だ

先週、部長と課長が真剣な顔つきで言った。
「若手が辞めていく…こんな良い会社なのに。」
僕は一言。
「若い世代と良いの定義が違いますよね。」

部長と課長は、それはわかってると言わんばかりの全く同じ顔をしていた。

遡ること1週間前、僕はその辞める若手の彼に転職しようとしてるとの相談を直接受けていた。そして彼の思いを理解しているつもりだし、僕は背中を押して応援したばかりだ。

その後、部長に話がちゃんと順序を辿って伝わったわけだ。
僕は経緯を知っているため、「実は私、話を事前に聞いてました。」と伝えた。
「どっちの方?」と部長は答える。
僕はフリーズした。一人じゃないのかい?

「残った人のことを考えろって思うよな」と部長は締めくくった。
僕はもう何も言わなかった。
それは残った人の課題であり、去る若手の課題ではない。
そりゃ辞めるよな。と僕自身も一組織の部長の言葉には一定のガッカリを重ねて、一層冷めた。

断っておくと、会社自体は悪い会社ではないということは僕も同意見である。仕事内容もクレーム対応をメインにしている部署のため、ストレス耐性さえあればちょっとしたメンタルも身につく。


そして今週、部長はその彼を引き留めるための面談を繰り返しているようだ。

若手側の話を聞いた。

彼の腹は決まっていても、即答せずに一度持ち帰ってポーズを取っているとのこと。上司に教えてもらったクレーム対応スキルをまさに遺憾なく発揮しているとのこと。
部長からすると自分が叩き込んだスキルに負かされている状況にある。彼は転職してもどこでも上手くやっていけるだろう。

なんだか寓話のような、いとをかしい物語が可笑しくて仕方がない。同じ組織なので呑気なことは言えないけども、一周回ってみんなで笑えばいい。

こりゃ傑作だ。

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