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神崎宣武  盛り場の民俗史

神崎宣武  盛り場の民俗史
岩波新書93年出版。
第1章盛り場の昼 第2章盛り場の夜。
昼は香具師(やし)的屋(てきや)の歴史と世界が、夜は概ね上野界隈の花街の歴史が語られる。
夜の部は「成駒屋」を読まれた方には既読の場面も多いが歴史的には江戸時代や一部それ以前からの史的論考が含まれる。
この著で面白いのは的屋の世界だ。的屋の歴史的は成立やその推移、明治以降、昭和への波乱の歴史は非常に面白く一読の価値がある。今は消えてしまった芸の一覧なども記述があり大いに興味を惹かれる。食い詰め武士の話も客を焦らす居合道の話など楽しませる物も多い。
的屋には的屋の親分筋があり有職渡世人として無職渡世人よしてのやくざとの関わりなどは意外でもある。
この世界の話を民俗学として文字にする、と言うことの重要性は今やいや増すばかりであるが、世間に蔓延るのは小沢正一的な面白可笑しい浮世話ばかりであり精査な研究を希う。

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