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山の中の一軒家在住 電気屋の一人親方

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最近の記事

方丈記 全訳注 安良岡康作 講談社学術文庫

「行く川の流れは絶えずして・・・」と言う有名な分で始まる冒頭以外殆ど読んだことがなかった作品で作者の人物像もさして知りもしなかった。恐らく国文研究者か、よほど惹かれる理由がある人でなければ同じようなものではないかと思われるが、有名なことには違いない。実は先行して原文のみの「岩波文庫版」を読んでいたのだが判然としない部分もあり同時に購入していた「全訳注」の学術文庫版を読むことにした。 岩波もさして難しい古語が出てくるわけではない。平安末期になると古文もい中々読みやすくなってくる

    • 新明解古典シリ-ズ (6) 更級日記・和泉式部日記・紫式部日記

      また同様のシリーズ本、読書メーターでは上がってこない学習参考書、若しくは教科書の類である。 非常によくできたシリーズで「原文・語句の解説・文法的な解説・原文からの質問・現代語訳・訳者の状況説明」が比較的細かい字で網羅されている。1ページ読むのに結構時間がかかる部分が出てくる。 それはあなたがよく理解しようと学習したということだ。時間がかかって大いに結構だと思う。 「更級日記」が私が古文を読むのに最初に好きになった作品だったと思う。今読んでも約千年前の文学少女に感動させられる稀

      • 今昔物語 宇治拾遺物語 三省堂 新明解古典

        読書メーターのリンクには上がってこないのだが、参考書あるいは教科書の扱いなので仕方がない。だが、内容的には非常のよくできており、このシリーズ関連本を数冊はアップしていこうと思っている。今昔物語集は非常に分厚く全31巻1059話。成立年代は1120年代と思われる。保安年間、鳥羽天皇崇徳天皇時代。宇治拾遺物語集はその後の1190年代の12世紀前半。全197話。一般的に世間に流布していた説話や伝承などを集めたのかと思われる。内容はどちらも非常に面白い。この三省堂の本には抜粋数話が掲

        • 伊勢物語 角川ソフィア

          元々は在原業平のことを知りたくて読もうと思ったのだが、物語本文にも解説にも業平のことはあまり書かれていない。仕方ない、業平自身のことは別の書物を探すとする。編者の坂口由美子女子はこのシリーズ中の数冊を編集しておられる。分かりやすい文章を書く適任者と思われる。最初に現代語訳が書かれているのは同じ形なのだと思う。軽く読みに入れるという意味ではその方が良いのかもしれない。「むかし、おとこ」という始まりが何故伊勢物語と言うのか不思議だったり、まぁ読まねば分からないことも氷解して中々面

        方丈記 全訳注 安良岡康作 講談社学術文庫

          日本の旅人 菅江真澄  秋元松代

          戦後日本を代表する劇作家、秋元松代(1911-2001)が1973年に淡交社から出版した菅江真澄の評伝。秋元女史は劇作家として著名で今でも作品が舞台で上演されている。現在読むことができる菅江の評伝としては最高の出来ではないかと思われる。菅江の旅を辿るように春の天竜沿いから始める記述はまるで菅江本人と旅をしているような幸福な錯覚さえおこさせる。長野塩尻の洗馬から新潟へ抜け山形、秋田、青森、蝦夷と菅江自身が数十年かけた旅を共にできる幸いは他の本では中々味わえない。 青森津軽での天

          日本の旅人 菅江真澄  秋元松代

          辺境を歩いた人々  宮本常一

          江戸後期から明治にかけて日本の辺境、主に北方・南方の国土を歩き調査した近藤富蔵・松浦武四郎・菅江真澄・笹森儀助の評伝とその成果を、思うに中学生向けに編纂した人物伝。 八丈の調査を行った近藤富蔵は流刑者。松浦武四郎は三重の半農半武の郷士。菅江真澄は愛知生まれの終生の旅人。 笹森儀助は青森弘前出身の武士の子。夫々出生は違えど大した人たちだと知れる。 八丈の富蔵にP56、北海道調査の武四郎にP42、東北北海道の真澄にP64、沖縄台湾調査の儀介にP96を割いている。 人の生き方として

          辺境を歩いた人々  宮本常一

          枕草子 角川ビギナーズクラシックス

          学生の頃に「春はあけぼの」の名分を読み気に入っていました。物の本によると宮中での連想ゲームの如き語り合いのメモ書きのような内容だったのかもしれないとのこと。なるほど文中の各人の自由気ままさは、そのようなことだったのかもしれないと思いますが、後の方丈記・徒然草と並んで3散文集となるとしっかり読んでおいたほうが良さそうです。もっとも方丈記は内容が「住まい」などと偏っているため散文、随筆の類では枕草子と徒然草、2冊は別格的とも言えるのでしょうか?徒然草の注釈書「寿命院抄」では、わざ

          枕草子 角川ビギナーズクラシックス

          面白い… 文豪・国木田独歩の玄孫でイタリア人の父と日本人の母と共に幼少期を海外で過ごしたモデルの国木田彩良。 https://t.co/38v0qAK80N

          面白い… 文豪・国木田独歩の玄孫でイタリア人の父と日本人の母と共に幼少期を海外で過ごしたモデルの国木田彩良。 https://t.co/38v0qAK80N

          北越雪譜 鈴木牧之

          天保8年(1837)鈴木牧之、魚沼塩沢在の67歳の商人が紆余曲折の末に出版にこぎ着けた豪雪地帯・北越の生活を著した世紀の名著。 この岩波文庫版でも旧来の版を味わいを残そうと、漢字を新しくした以外は出来るだけ古い版での出版となっている。 それ故、正確に意味を取ろうとすると非常に読むのに時間がかかるが、そこは関係諸氏の意向を汲んで時間をかけてでもしっかり読むべきと思われる。 遅読の私は丸一月かかったが、大変満足し感動すらしており、多くの方に是非読んで頂きたいと切に願う。 旧版の書

          北越雪譜 鈴木牧之

          現代日本文学大系 川端康成  筑摩書房

          #わたしの本棚 ちょっと気が向いて川端康成を集中的に読みたくなりP450程の重たい本を入手。初期の大正、昭和初期の10編ほどを読んでみた。16歳の日記、葬式の名人から伊豆の踊子、禽獣辺りまで。この頃までに既に横光らと新感覚派を立ち上げているが、個人的には川端のどの辺が新感覚派と呼べるのか合点がいかない。その為に初期作を読んでみたかった。 「16歳の日記」は自殺と老いとの兼ね合いで語られることも多いが「葬式の名人」と共に、それほどの苦悩や悲壮を感じさせることはないと受け止めた。

          現代日本文学大系 川端康成  筑摩書房

          Edge で AI Chat を試してみた結果

          EdgeでAI Chat をしてみた結果です。 Windows10 でEdge の「新しい Bing チャット」をやってみろ。 とばかり、挑戦されたので「君は自分が正しいと思っているのか」と初めてみました。 ご高覧のほど、お願い致します。(尚、顔文字はEdgeの仕様です) Q 君は自分が正しいと思っているのか 私は自分が正しいと思っているわけではありません。私はあなたに役立つ情報やコンテンツを提供することを目指していますが、私はまだ完璧ではありません。私は常に学習して改善

          Edge で AI Chat を試してみた結果

          ルバイヤート Eフィッツジェラルド訳 竹友藻風和訳 Rバルフォア(イラスト)

          エドワード・フィッツジェラルド訳 竹友藻風和訳 Rバルフォア(イラスト)1868年ロンドンで詩人のEフィッツジェラルドの手により、私家版として出版され諸々の事情によりヴィクトリア朝の紳士淑女の趣味に合致し大ヒッ トとなった。元は1048年頃生を受けたオマルハイヤームによって著された4行詩ルバーイの集成だがその成立には諸説あるようだ。イスラム社会ではスーフィー(イスラム神秘主義)との関係も強く、生存当時からハイヤームは禁欲的なイスラム本流からは隠れるように生きていたとも言われて

          ルバイヤート Eフィッツジェラルド訳 竹友藻風和訳 Rバルフォア(イラスト)

          如何なる花束にも無き花を 水原紫苑 第10歌集

          水原紫苑の第10歌集。題名はマラルメの「あらゆる花束に不在の花が」から。因みに作者は、この題名をつけることに「思いきって夢を叶える」とし、文章を書きかえることに「この是非は問われることと覚悟して」いると記している。I’absente de tous bouquets〈あらゆる花束の中にない不在の花〉absente、は花が不在なのではなく「無」とも取れる。ある人は世阿弥が『花伝書』でいう〈まことの花〉との共通性を語るが、門外漢なので深い詮索は無視する。さて、歌集であるが、年月と

          如何なる花束にも無き花を 水原紫苑 第10歌集

          感想 百人一首 うたものがたり (講談社現代新書)

          https://bookmeter.com/books/17635478 21年発売講談社PR誌「本」に連載されていたものを加筆・編集した百首100章の新書形式の1冊。凡そ中高生を想定した読みやすい文章となっているが、5節猿丸大夫「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」では、師・春日井建(冴えわたる秋の夜天や若鹿の額打ちて星は降るかと思う)を引き合いにして水原紫苑自身(冬紅葉われをふみゆく少年のさお鹿あらばわが師なるべし)と三島由紀夫らの小話が並び、紫苑ファンには

          感想 百人一首 うたものがたり (講談社現代新書)

          馬のゴン太旅日記 島崎保久 関屋敏隆

          つい先日まで長野県佐久市のこども科学館の館長を務められていた島崎直也さんのお父様が馬に乗って日本縦断した方で、島崎保久様  大変残念なことに先だって亡くなられたということで急遽取り寄せて読んでみました。鮮やかな色彩の絵は関屋敏隆様。 優しい冒険家の心がワクワクする楽しい1冊でした。ご冥福をお祈りいたします。

          馬のゴン太旅日記 島崎保久 関屋敏隆

          安倍晋三回顧録

          非常に入手難らしい1冊。どこかで内容の一部を知り読みたくなってフリマで購入。それはアベノミクス「実体経済で最も重要なのは雇用だ」という。本の副題でアベノミクス始動、P112、第3章、2013年の部分に記されている。報道や評論家は景気の肌感覚を語るが、安倍氏の考えはそんな所には無かったという事か。簡単な記述しかないのが非常に残念だ。マクロ経済・フィリップ曲線などの単語が並んでいるが、この辺は上手に解説する人が出てこないものか?引退する黒田日銀総裁に回顧録を書いてもらうか・・ そ

          安倍晋三回顧録