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アメリカ生活#15 バリンジャ―隕石孔

 グランド・キャニオンからの帰りは、飛行機の都合もあり、フラッグスタッフに一泊することになりました。この近くには、メテオクレーターと呼ばれる隕石孔があるので見に行く予定にしていました。日本では、映画のタイトルにもあるように、隕石を”メテオ”と発音しますが、実際の発音は”ミーリィオゥ”に近いです。ホテルのフロントの人に「メテオに行きたい」と言ったら理解されなくて、しばらくしてから「あぁ、ミーリィオゥの事だね」とやっとわかってもらえました。

 4月だというのに、メテオクレーターに行く途中で吹雪に会いました。こんな季節に雪に遭遇するとは全く考えていませんでした。途中の吹雪地帯を抜けると天気も良く、現地は快晴でした。現地には、隕石孔の観察のためのビジターセンターがあって、そこから隕石孔の周辺並びに中心を眺めることができました。

 メテオクレーターの正式名称は、バリンジャー・クレーターです。このクレーターは、今から約5万年前に地球に衝突した隕石によって形成されたもので、直径が約1.2km、深さが200mもあります。この隕石孔は、それを取り囲む周壁が特徴的で、周囲の平原からの高さは30mもあります。周辺からは30トンもの隕鉄の破片が発見されていて、周辺のディアブロ峡谷の名前を取って”キャニオンディアブロ隕鉄”と呼ばれています。バリンジャー・クレーターを形成した隕石が衝突した時代、この辺りは現在よりも寒冷湿潤な気候であり、マンモスや地上オオナマケモノが生息する草原地帯であったと考えられています。

 世界には、この隕石孔よりも大きな三大隕石衝突と呼ばれているものが存在します。世界最大のものは、南アフリカ・ヨハネスブルグの南西120kmの位置にあるフレデフォート・ドームです。隕石の衝突跡の直径は約190kmと世界最大で、隕石の衝突跡は、中央のドーム(直径約50km)とそれを取り囲む外輪山から構成されています。しかし、その衝突時には直径が300kmもあったと考えられています。次に大きいのが、カナダのオンタリオ州グレーターサドベリー市にあるサドベリー隕石孔です。しかし正確には、地形としてのクレーターは浸食などにより既に失われています。なお、クレーターの生成時には直径200~250 kmあったと推定されています。

 三番目に大きなのが、恐竜ファンにとっては超有名な、メキシコのユカタン半島北部にあるチクシュルーブ・クレーターです。このクレータは、約6600万年前の小惑星衝突の痕跡です。大きさこそ三番目ですが、この小惑星衝突が恐竜絶滅の引き金になったわけですから、そのインパクトは絶大です。


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