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2024年版バレンシアのリアル


初めに

現在私は大学4年の年を休学して、スペイン第三の都市バレンシアでワーキングホリデーをしている。ワーキングホリデーとはいってもお店で働いているわけではなく、自宅からオンラインで日本語教師をして生活している。

私がスペイン留学を考え始めたのは2023年の8月ごろ。大学3年の夏休みだった。それは一般的に留学に行くことを考える時期としては1年遅い。たいていは大学1年からこつこつ勉強してGPAを保ち、大学2年に交換留学に応募して、大学3年の秋に出発という流れをとる。

私が大学3年の夏休みに留学を検討し始めたのは、正直に言って就活をしたくなかったからだ。就活したくないというよりは、就活が気持ち的にできる状態になかったというのが正しいが、同じことだ。

きっとこのnoteを読んでいる人の中にも、就活から1年逃げたいという気持ちで休学して留学というのを検討している人もいるのではないだろうか。就活から逃げたい、何となく留学のあこがれはある。でも親を納得させられる理由が見つからない。そんなあなたを救うというのがこの記事の目的だ。この記事ではスペインで留学するメリットとデメリットを紹介する。ここに書いてあることを参考にしながら親御さんにプレゼンをし、1年間のモラトリアムを獲得していただきたい。

スペイン語の魅力

約5億人の母語話者数

約5億人の母語話者数というのは中国語に次いで世界で2番目に多い数だ。スペイン語が話されている地域としてはスペイン、アルゼンチンやコロンビア、メキシコなどの中南米のほとんどの国々、そしてアメリカ合衆国だ。アメリカにはメキシコからの移民が多くおり、母語話者数としてメキシコに次いで2番目に多い数になっている。

スペイン語の価値

それだけ母語話者がいるとしても、正直、スペイン語って必要なの?英語だけでいいんじゃないの?と思う人もいるだろう。

私の回答としては「できなくても何の問題もないけれど、できるとめちゃくちゃ楽しい。」だ。

確かに今の時代、英語以外の言語に時間を割くことは時間の無駄だと思われるかもしれない。英語が話せればだいたいの人とコミュニケーションがとれる。仕事で英語を使おうとしている人が英語を使う相手はもちろん英語が話せる。スペイン語圏出身だろうと英語が話せる。ビジネスにスペイン語は必要不可欠ではない。もちろんスペイン語が流ちょうに話せてビジネスで使えればプラスアルファになる。親に説得するときには建前の理由としてこの点を強調しよう。

ただ母語でコミュニケーションを取れないと友達にはなれない。きっとあなたも英語で話しかけられるより、日本語で話しかけられた方が嬉しいだろう。その嬉しいという気持ちは2人の関係性を大きく縮めてくれる。世界中に友達が作れて、旅行を何十倍も楽しむことができるというのをあなた自身を納得させる理由としておこう。

留学の価値

語学習得以外の観点から留学の価値を話す。

留学は金持ちの娯楽だ。ネット全盛の今の時代、言語を学ぶ方法はいくらでもある。ましてその言語学習の目的が自分のプライベートのためである場合、留学は金持ちの遊びと思われても仕方がないだろう。

私自身、留学に来るまではそう思っていた。家でできる勉強をわざわざ、高いお金を払って場所を変えてする。環境が変わって勉強できるようになるというのは自分に対する甘えではないかと。

これは実際に留学をした人にしか分からないと思うが、国際的な視野は確実に広がる。

日本にいたときのことを思い返してみると、外国人が増えているとはいえ、道を歩けば9割方が日本人。ニュースで流れてくるアメリカやヨーロッパ周辺の情報は他人事(それは私だけかもしれないが)。

総務省統計局によれば、日本の総人口は1億2393万人で、そのうちの日本人の人口は1億2104万7千人だそうだ。こんな環境で国際的な視野が自然と身に着くわけがない。

「日本」という概念に対立するものとして「海外」というのを、きちんと把握しておかなければ、近い将来気が付いたら「日本」は「日本」でなくなっているかもしれない。

国際社会の中の1つの国として日本を捉えるには海外に出ることが必要不可欠だ。

スペインの魅力 

スペイン語留学を考える際には、スペイン以外にも先述したメキシコやペルー、チリなどの中南米の国々が候補としてあがる。そんななかでスペインでの留学を薦めるのには理由がる。

中南米留学をしたことがないので、比較できているわけではないがご了承ください。

スタンダードなスペイン語が学べる

スペイン語には国ごとに方言がある。しかもその違いがかなり大きい。アルゼンチンのスペイン語や、スペイン南部のスペイン語を聴くと他の言語ではないかと思うほど違う。

癖のないスタンダードなスペイン語を学ぶにはスペインという地は南部のアンダルシア地方を除いて最適だ。私の住んでいるバレンシアでもスタンダードなスペイン語からそこまで距離のないスペイン語が話されているような感想をもつ。しかし、バレンシア自体が移民の多い国なので、生活している人たちのスペイン語はバリエーションに富む。

スペイン語を日本で学び始めて触れられるスペイン語は90%以上がスペインのスペイン語だろう。慣れ親しんだスペイン語が話されている地域で留学したほうが良いと思う。ただでさえ慣れなければいけないことは山ほどある。そのうえ知らないスペイン語では生きていくのでやっとだろう。

ヨーロッパの国に簡単に行ける

私も先日ポルトガルに一泊二日で行ってきた。ポルトガルで一泊二日の旅行をするなんて、日本や中南米で生活している人からしたら考えられないだろう。

飛行機代も安く1万円ちょっとで行くことができた。他のフランス、イギリス、ドイツ、イタリアといった国々にも簡単に行くことができる。そんな体験はスペイン留学中にしかできないだろう。

ご飯が美味しい

日本人の口にある料理が多いと思う。代表的なパエリアやスペイン風オムレツはもちろん美味しい。
アジアンスーパーのあるので、日本食が食べたくなったら自分で作ることもある程度はできる。

バレンシアのメリット・デメリット

メリット

1年中晴れ!

これは私が親にバレンシアの良さをプレゼンした際に語った点だ。本当に毎日太陽が出ている。照り付ける太陽、青い空。そんな環境で過ごしていればホームシックになりようがない。

マドリードやバルセロナはイメージ通りのスペインという感じの天気でもないようなので、スペインの天候の良さ+スタンダードなスペイン語はバレンシアでしか味わえないものだろう。

物価が安い!

他の国や都市で生活したことのある人に話を聞くと、スペインは物価が安く、その中でもバレンシアは物価が安いらしい。留学で心配なお金の面はこの情報で少し安心させることができるだろう。

現在住んでいるピソ(アパート)は2人でシェアして月280ユーロ。友達に聞いてもこれはかなり安い方らしい。
家探しの時に使ったidealistaというアプリの中でも300ユーロ以下で見つけるのは大変だった。親に予算を伝えるときには大きく見積もって月400ユーロほどと伝えておくのが良いだろう。

日本人が少ない!

これをメリットと捉えるかはその人次第ではあると思うが、日本人が少ない。というかほんとうにいない。

バレンシアで3カ月がたったが、まだ日本人の生活者を見かけていない。街中にいるアジア人はたいてい中国人で、日本食レストランも中国人のスタッフが働いている。

日本人が少ない環境で生活できることはスペイン語習得へのプレッシャーを促進すること間違いなしだ。

デメリット

他の都市へのアクセスが悪い

マドリードに住んでいればもっと簡単に、他の都市や国に行くことができたのになと思うことが何度があった。

日本から来たときにも、成田→アブダビ→マドリード→バレンシアという行程をたどった。

バレンシア市内の移動は特に困ることはない。交通網が張り巡らされていて、valenbiciというレンタサイクルのサービスも充実している。valenbiciは1年間で20ユーロくらい。30分以上の利用で追加料金が発生するが、30分以上乗るときはめったにない。

衛生面

ゴミ捨ては日本と違い、好きな時間に道に設置された大きなコンテナに放り込んでいくスタイル。これによって普通に歩いていて臭かったり、ハエやGと遭遇することが多い。

まだ夏本番前の6月の段階で道を歩けばほぼ毎日Gを目撃する。
つい先日も部屋に出た。
見るのも耐えられないという人は避けた方が無難かもしれない。

留学前に読んだ記事だと20分で5匹遭遇する。と書かれてあったがそこまでではない。
1日に1匹くらいの割合なので安心されたい。

水質面

バレンシアの水は硬水。ヨーロッパは基本硬水だけれど、その中でも群を抜いて硬いらしい。
実際シャンプーは泡立たないし、ボディーソープもジェルを塗ってるみたいな状態になりがち。

水道水は1度飲んでみて、体に合わなかったらスーパーの水を買うか、浄水器を設置するのが良いと思う。

毎日飲むものなので、水代も馬鹿にならない。

冷やして飲めば意外といけるので、ぜひ一度試してもらいたい。

日本の軟水が恋しい。

犬の糞

ここ数年で法律の影響もあって改善されてきたようだが、それでもまだ道には犬の糞が落ちている。

歩きスマホをしながら歩いていたら、犬の糞を踏んでしまうなんてことは簡単に起こることだと思う。

留学前のマインドセット

ここまでスペインとバレンシアの魅力について語ってきた。どれだけ環境を慎重に選んだところで、自分自身がその環境を受け入れる気持ちがなければ意味がない。逆に言えば、すべてを受け入れるマインドセットができていればどんな環境でも生きていける。

これから留学をするあなたは言わばよそ者です。よそ者が内側の人間になっていくようにするには、そこのすべてを受け入れて、そこの人間になっていくような努力をするほかありません。

全体的に留学は素晴らしいものです。新しい友人と出会い、新しい環境で生きていく。そんな体験をしたことのある人が日本にどれだけいるでしょうか。とってもレアな体験というわけではないけれど、かといってなんの役にも立たない体験では決してありません。

この体験を、人生を豊かにする経験にできるかどうかはあなた次第です。

ぜひこの記事を参考にして、親御さんを納得させられるようなプレゼンをしてください。

スペインで待ってます

最後まで読んでいただきありがとうございました


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