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差別なき世界

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世界政府ONEが統制する世界で平穏に暮らしていたロック。彼はひょんな事から自分たちは下層民ハーベストであると知る。そして、自分が知らなかった世界を見るため居住地を飛び出すのであっ…
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#小説

差別なき世界(6)

差別なき世界(6)

リューは初めて手にするドリームデバイスの電源を立ち上げた。デバイスからはナオミと名乗るアニメーションの女性が現れた。
「ナオミさん、よろしくお願いします。僕は知りたいことが沢山あるんだ。」
「はい、何でも仰ってください。あなた方一人一人の成長がこのONEの成長に繋がります。そのためには私は最善を尽くさせていただきます。」
「ありがとう。じゃ早速なんだけど、僕はどうやってこの世界に作られたんだい?僕

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差別なき世界(3)

差別なき世界(3)

  ソイルの女性と会ってから数日、ロックは今迄にない生きる活力が湧いていた。この世界は上・中・下層の地域に分けられていて、上層民をファガマ、中層民をソイル、下層民をハーベストと呼んでいる。彼は人生で初めてソイルの民と出会った。この世界はファガマによる計算された統制が行われていて、それにより平和が維持されている。最後に戦争があったのも百年も前の話だ。ロックは下層民ハーベストであり、世界が三つにわけら

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差別なき世界(2)

差別なき世界(2)

「ナオミ…。」ロックの目の前にいたのは存在するはずのないナオミだった。少しの間、
呆然として我に返った。ナオミのはずがない。彼女は実在する人物じゃないのだから、ただ単に他人の空似という事だとロックは自分を納得させた。しかし、彼女を他人とは思えない。ドリームデバイスから現れるアニメーションだとしても、長い間親密な関係だったナオミ、そのナオミに瓜二つの女性が眼前にいる。たとえアニメーションではなくても

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差別なき世界(1)

差別なき世界(1)

  ガシャン ガシャン ガシャン ガシャン。一定のリズムを崩すことのない機械音。AIロボットが右へ左へと荷物を運ぶ。一体彼らはこの荷物をどこに運んでいるのだろう。ロックはこの灰色の工場でいつも不思議に思っていた。
現代ではAIロボットがなければ、社会は回らない。運送はもちろんの事、食料生産と計算された分配、科学技術運用と自然への影響を考慮したバランス調整。人々の健康管理など分野は多岐にわたる。彼は

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