でにでに

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でにでに

ここでは小説をメインに書こうと思ってます。 本業は日本語教師してます。 総合格闘技もプロで試合に出てます。以前はキックボクシングの試合も出てました。 旅行や雑談配信もしてます。

マガジン

  • 差別なき世界

    世界政府ONEが統制する世界で平穏に暮らしていたロック。彼はひょんな事から自分たちは下層民ハーベストであると知る。そして、自分が知らなかった世界を見るため居住地を飛び出すのであった。

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差別なき世界(1)

ガシャン ガシャン ガシャン ガシャン。一定のリズムを崩すことのない機械音。AIロボットが右へ左へと荷物を運ぶ。一体彼らはこの荷物をどこに運んでいるのだろう。ロックはこの灰色の工場でいつも不思議に思っていた。 現代ではAIロボットがなければ、社会は回らない。運送はもちろんの事、食料生産と計算された分配、科学技術運用と自然への影響を考慮したバランス調整。人々の健康管理など分野は多岐にわたる。彼はここでAIロボットの整備する仕事をしていて、社会のために必要なこの仕事に従事して

    • 差別なき世界(6)

      リューは初めて手にするドリームデバイスの電源を立ち上げた。デバイスからはナオミと名乗るアニメーションの女性が現れた。 「ナオミさん、よろしくお願いします。僕は知りたいことが沢山あるんだ。」 「はい、何でも仰ってください。あなた方一人一人の成長がこのONEの成長に繋がります。そのためには私は最善を尽くさせていただきます。」 「ありがとう。じゃ早速なんだけど、僕はどうやってこの世界に作られたんだい?僕のお母さんと僕は姿形が違うし、友達のお母さんやお父さんも違うんだ。外にいる大人の

      • 差別なき世界(5)

        ロックは意識をしているわけでもないのに身体が勝手に動き、指定された荷物を指定された所に運んでいた。 果たして、自分はロックなのか。何か行動を起こそうと思っても身体が動かない。それなのに何も思っていなくても勝手に身体が動く。鏡に映るのは数日前(実際にはどのくらいたっているのか本人も把握していない。)の自分とは似ても似つかない冷たい金属で覆われた姿だ。自分が修理していたAIロボットたちも元々は人間だったのか、それとも自分は元からAIロボットで人間への憧れから妄想を起こしている

        • 差別なき世界(4)

          ロックは衛兵に連れられて、ある一室に監禁された。椅子に座らされると後ろ手を縛られ自由を奪われた。彼は今、暴れる気になれなかった。というのは、先程何とか逃げようと暴れたものの赤子の手を捻るかのように易々と制圧されてしまったからだ。 「どうした。先程までの勢いが嘘かのように静かになったな。」 リーダーらしき男が尋ねる。しかし、ロックは何も答えられない。男として圧倒された事やわざわざ足の踏み入れたことの無い地まで来たのにすぐさま捕まった事など自分が情けなく、口が開けなかった。 「

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        差別なき世界(1)

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        • 差別なき世界
          6本

        記事

          差別なき世界(3)

          ソイルの女性と会ってから数日、ロックは今迄にない生きる活力が湧いていた。この世界は上・中・下層の地域に分けられていて、上層民をファガマ、中層民をソイル、下層民をハーベストと呼んでいる。彼は人生で初めてソイルの民と出会った。この世界はファガマによる計算された統制が行われていて、それにより平和が維持されている。最後に戦争があったのも百年も前の話だ。ロックは下層民ハーベストであり、世界が三つにわけられていることやファガマによる統制がされている事などもそのソイルの女性に聞いた。

          差別なき世界(3)

          差別なき世界(2)

          「ナオミ…。」ロックの目の前にいたのは存在するはずのないナオミだった。少しの間、 呆然として我に返った。ナオミのはずがない。彼女は実在する人物じゃないのだから、ただ単に他人の空似という事だとロックは自分を納得させた。しかし、彼女を他人とは思えない。ドリームデバイスから現れるアニメーションだとしても、長い間親密な関係だったナオミ、そのナオミに瓜二つの女性が眼前にいる。たとえアニメーションではなくても、現実の女性ではあれば、目の前の彼女のような容貌をしているはずだ。 「やぁ。」

          差別なき世界(2)

          犬と猫

           「犬と猫です。どうぞ!」司会の呼び出しと小気味よいリズムの音楽が彼らを出迎える。 犬と猫は互いの肉球を合わせ、決意を決めた表情で見つめ合い年に一度、いや彼らにとっての人生を賭けた舞台にかけていった。眩い照明と多くの観客が彼らを出迎える。 「どうも。犬と猫です。名前の通り犬と猫のコンビでやらせてもらってます。向かって左の僕が猫、右にいるのが犬です。」 猫くんは前足で自分と犬くんを指し観客に自分たちを紹介する。 彼らが出ているのはドッグショー?それともキャットショー?いや、違