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四国瀬戸内サイクリング旅 2023年春 (しまなみ海道編)

 今回のサイクリング旅のハイライト。昨日とは打って変わって快晴。絶好のサイクリング日和となる。
 しまなみ海道は、愛媛県今治市から広島県尾道市を、瀬戸内海に浮かぶ大小6つの島にかかる6つ(あるいは7つ)の橋によって結ぶ、自動車専用道、ならびに併設された自転車・歩行者専用道路のことをいう。

 予定より15分遅れて、今治駅前の宿所(しまなみ温泉「喜助の宿」)を7時45分に出発。しまなみ海道の最初の橋、来島海峡大橋まで約4km。橋の直下まで急な登り。ループ状の誘導路ではるか高みの橋まで導かれる。この橋は、約6kmの長さがある。予想外に歩行者、自転車の走行が少ない。渡り終えるまでに、同じ方向に歩行者一人、自転車1台。反対方向からすれ違ったのは、2人で一人は外国人。快晴の空に、紺碧の海の風景が美しい。微風が肌に心地よい。

来島海峡大橋

 橋を渡り終えたところで、ループ状の誘導路で大島に降りる。8時50分に道の駅着。道の駅が開くまで10分待って、朝食に、鯛バーガーを食べる(650円)。江蘇省出身という中国人の店員が、お釣りを間違えたといってくる。お釣りを調べてみたら420円あった。
 9時40分出発。道の駅から見上げるように聳える亀老山の山頂展望台を目指す。標高差4百数十メートル、斜度5−10%で、途中で休まずに登りきれるか不安がよぎる。
 10時25分、亀老山山頂駐車場へ、途中なんとか足をつかずに登り切ることができた。この展望台は隈研吾が設計したもので、山頂にある展望台にもかかわらず、展望台デッキ以外は、景観破壊が起きないように建物が地中に埋め込まれる形で作られている。

そのため、山を眺めても人工物が山頂にあるようには見えない。この展望台からの眺めは圧巻の素晴らしさだった。体が山頂から浮上しているように感じられる。石鎚山、四国の瀬戸内沿岸の市街が見渡せる。来島大橋は眼前に大きく、美しい曲線を描いて来島海峡の向こう数キロメートル先の今治へと消えている。

亀老山山頂から来島海峡大橋を望む

 快晴で雲ひとつなく、陽射し強く、風は爽やか。トビ(鳶)が円を描いて優雅に舞っている。この展望台に来るだけで、しまなみ海道を走る価値があると感じるほどだ。
 11時5分出発。12時ちょうど、伯方島(はかた)の道の駅着。昼食にする。ここまでに気づいた驚くべきことは、サイクリストの大半が外国人だということ。この道の駅も、20人くらいのサイクリストが集まっていたが、日本人は、私のほかに2−3人だけ。少ない日本人サイクリストは大半がシニア。一方、外国人サイクリストは、家族連れ、グループ、団体など様々な年齢性別構成。声をかけて話をした団体は、オーストラリアのメルボルンからの中高年男女のグループだった。4日間ここでサイクリングを楽しんで帰国するという。つまり、日本への観光の目的は、しまなみ海道を自転車で走って楽しむということのみ! 

外国人旅行者サイクリストが大半

伯方大島大橋は、歩行者レーンと自転車&オートバイレーンが分離されていた。懐かしい台湾方式だった(注)。

伯方大島大橋

(注)2017年に台湾一周(環島)サイクリングをし、2年後の2019年にも、2017年に訪れることができなかった地区・地域を繋いで再度台湾一周した。

 12時50分出発。大三島橋を渡って、しまなみ海道の島で一番大きい大三島へ。海道は島の東の海沿いを掠るように走っている。この島には伊東豊雄建築ミュージアムなど、西や南に多くの見所があり、日程的に余裕があれば、この島を巡りたいところだった。
 13時半、道の駅が併設されている多々羅しまなみ公園着。サイクリストの聖地の碑が立っている。愛媛名物らしく柑橘系の”でこたん”ソフトクリームを食べる。

”でこたん”ソフトクリーム

14時出発。美しい吊り橋、多々羅大橋を渡ると生口(いくち)島。ここから広島県尾道市になる。

多々羅大橋

西の海岸沿いを走って、因島へと渡る生口橋の袂のコンビニで休憩。この島にも、平山郁夫美術館などの見どころがあるが、立ち寄る時間的な余裕がなかった。
 生口橋で因島に渡る。この島にも、本因坊秀策囲碁記念館など興味があるスポットがあったが、これも立ち寄れず、島の西側を走る道路に沿って進み因島大橋着。

 橋への登り口で、ドイツからだという母と息子のサイクリストに出逢う。二十代と五十代だろうか。1週間の休暇でやってきたという。出逢うサイクリストがほとんど海外からの旅行者だという話をしたところ、しまなみ海道は世界的に有名だからねという言葉が返ってきた。日本国内より、海外で知名度が高いことを改めて実感した。
因島大橋を渡って向島。

因島大橋

 西側の海沿いを走って、渡船場到着17時半。向島と尾道を結ぶ尾道大橋は、自転車走行には適していない古い作りのままの橋のため、サイクリストには、渡船が強く推奨されいるようだ。この渡船、軽自動車も運べる。この時も軽自動車が3台乗り込んだ。自転車も軽自動車も110円(大人100円+自転車10円)!5分も待たずに次の船がやってきて、5分足らずで対岸の尾道市街の渡場に着く。

 しまなみ海道は、全長70kmほど(今回の走行90km)なので、1日で十分走り抜けることができる。今回も、今治を早朝出発して、海道沿いのスポットにいくつか立ち寄って、夕方には尾道に到着した。しかし、各島々には、多くの見所と素晴らしい風景があり、そうしたスポットをゆっくり巡る旅は、さらに楽しいだろうと大いに夢想させられた。もう一度訪れたい地でありもう一度走ってみたいサイクリングルートであった。

           *** おわり ***

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