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脱ROI!顧客理解を重視したDeNAマーケティング組織の変革(後編)

川柳風に振り返る前編

こんにちは、DeNAのモリシーです。前編(https://note.com/denamarketing/n/n11e11b09710a)の内容を恒例の?川柳風でおさらいです。

・インタビュー DeNAマーケの 変革者
・就任時 掲げたテーマは 「顧客理解」

かなり無理があるのでこの企画は今回までになるかもしれません(そもそも字余りしまくってます笑)

前回の記事では、マーケティング統括部長の齋藤さんに就任したタイミングのマーケティング組織における課題感と、「心に刺さる体験の作り手」というビジョンを掲げて「顧客理解」を最重要とした、という話をさせていただきました。
では、続きをご覧ください!

組織変革のポイントはシンプルさと行動で証明すること

※マーケティング統括部 統括部長 齋藤 亮介
P&Gやインテルなどのグローバル企業、およびコンサルティング会社などを経て、2015年にライアットゲームズの日本法人に参画。2018年9月DeNA入社。2020年よりゲーム事業のマーケティング組織であるマーケティング統括部の統括部長に。2022年からはマーケティング統括部を全社横断のマーケティング組織にし、DeNA全事業のマーケティングに関わる。

モリシー「「心に刺さる体験の作り手」というビジョンはよく覚えています!しかしビジョンを作る・戦略の重要性を説く・顧客理解第一とするというのは、よくありがちな打ち手、正直とどこでも言われてそうな気がします。今となっては、「心に刺さる体験の作り手」のビジョンによってマーケ組織がよくなったと実感してますが、何がポイントだったのでしょうか?」

齋藤「大きく分けると二つあるかなと思います。一つはシンプルさ、もう一つは行動で証明すると言うことです。シンプルさについて言うと、良くMVV(Mission, Vision, Value)と言われ、最近はこれにPurposeまで加わったりしますが、覚えて行動に移せるシンプルなレベルでなければ行動は変わりません。なので、私はビジョン一本に絞りました。これ以外にも、チーム内で多かった補佐的な役割をほぼほぼ廃止して、シンプルに誰が責任をもって企画・実行するのかを明確にしました。行動で証明するというのは、特に顧客理解で良くあるのですが、顧客理解と口では言っていても、実際の行動はそうなってないというものです。私は顧客インタビューに参加しましたし、マーケ戦略をレビューするときにはまず顧客理解できているかを聞き、それまで話題の主だったROIについては全く触れませんでした。」

モリシー「行動で証明、なんとなくわかるようなわからないような...」

齋藤「そうですよね、少し具体的な話をすると、マーケティングプランの承認をする意思決定の会議で、担当マーケターに顧客理解が十分かの確認をしました。その際返答が不十分だったので、ROIはいい数字だったものの、承認は見送りしました...。そういった経験をすると絶対顧客理解レベルを高めようと努力してきます。そうすると不思議とプランのレベルが上がってくるんですよね。」

モリシー「なるほど、実際に顧客理解を重視してることを意思決定の場でも体現するということなんですね。確かに2021年くらいからマーケ施策のヒット率が上がりましたね。他にも仕掛けはあったんですか?」

DeNA流マーケター育成

齋藤「はい。DeNAは分析機能なども強いので、連携して今まで数字で効果把握できなかった施策を定量把握できるようにしました。これのインパクトはマーケ外の人にも大きかったですね。」

モリシー「新しいことにも取り組んだんですね。顧客理解に基づくマーケ戦略策定といったオーソドックスなこととは違うことになぜ取り組んだんですか?」

齋藤「その理由は、DeNAのマーケがオーソドックスなことをやっていても、P&Gに追いつけるわけではない。当然基本が大事なので、それを身に着けるのですが、常に新しい分野を切り開いて時代の先を行くことが重要だと思っているからです。」

モリシー「それはぜひ私もやりたいです。」

齋藤「もちろん。でも今は基本の基を採用マーケティングで身に着けるのがいいと思いますよ。今までモリシーはどちらかと言うとHow(施策の実行)のスキルを身に着けてきたので。」

モリシー「そういう意図でこの無茶ぶり、あ、アサインだったんですね。頑張ります。」

齋藤「ぜひ頑張ってください。私が最も大事にしているのは人材育成なので、いろんな機会でスキルを身に着けて成長してほしいと思ってます。期待してますよ、モリシー。」

モリシー「う、それはプレッシャーを与えられた気がする・・・笑。でもさらにモチベーションあげて頑張ります!それにしても、外資系出身の齋藤さんが人材育成を最も大事にしているって意外でした。」

齋藤「外資系が人材育成をしてないっていうことはないですよ。ただ、やはり最初の会社のP&Gが人を育てる文化だったので、それが根っこにあるのかもしれません。」

モリシー「今日はありがとうございました!」

インタビューは以上になります。
「WHO/WHATをしっかり定めないと競争が激しい市場では勝てない。」
これは実際に業務をしていても強く感じることが多く、一見しっかりWHO/WHATを定めているようにみえても、顧客理解の甘さからあまり芯を食ったものになっていなかった、という経験はマーケターあるあるな気がします。どこまで芯を食ったWHO/WHATを作れるか、顧客理解によってどこまで高めていけるか、というのがマーケティングの肝だと、齋藤さんのインタビューを終えて改めて感じています。
次回以降、顧客理解を意識したマーケティング事例や、新しい分野を切り開くチャレンジについてなどもお伝えしていければと思っています!

次回予告

次回はインフルエンサー領域での取り組みについてお届けします!
お楽しみに!