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ヒーローはどこまでも金ピカだった話

去年の大晦日に初投稿をして、「大晦日で1年の振り返りをする以外では更新しねえ」なんて思ってたけど、インスタとかそこらのSNSでは書ききれないくらい書き留めたいことができたので半年ぶりにして2本目の投稿。

はじめに

タイトルを見て、どういうことやねんって思われるかもしれないけど、ここでのヒーローってのはHi-STANDARD(以下、ハイスタ)のこと。
察しが良い人なら多分これでビビっと来たかもしれないけど、つまりは先日のSATANIC CARNIVAL 2023(以下、サタニック)でハイスタを見たって話だ。

あの日のライブを見て、自分の気持ちに何かしら1つの区切りをつけれたような気がした。
多感な思春期の頃にハイスタと出会い、ライブを見て、ツネちゃんの死を経て、あのサタニックでのライブを見るに至るまで。それをnoteを用いて書き連ねてみることにした。
きっとこのかけた手間がいつか役に立つような気がした。エビデンスもクソもないんだけどね。

出会い

出会いからまず振り返ると、正直記憶が定かではないが中3の夏休みくらいの時期に出会った。
YouTubeにある無数のコンテンツの中で、どういう巡り合わせだったのか覚えていないが、ある日「THE SOUND OF SECRET MINDS」のPVに辿り着いた。それが出会いだ。

よく分からないまま動画は始まって、頭にはハテナマークが付いたけど、曲が始まった瞬間に計り知れないくらいのデカい衝撃を受けた。
とにかくヤバかった。2分45秒のそのPVは気づけば最後まで見ていた。それが運命の出会いとなった。

そこからハイスタをdigった。「STAY GOLD」然り、片っ端から曲を聴いてみた。
そしてある日少ない小遣いを握りしめ、近くのCD屋で「MAKING THE ROAD」と「ANGRY FITS」を買った。
今でこそCDくらいまあ何枚でも買おうと思えば買えるけど、中学生にはCDを買うってのはなかなかなハードルだと思う。それでもそのハードルを超えてしまうくらいには衝撃が大きかった。
その流れでBRAHMANやHUSKING BEE、THE MAD CAPSUL MARKETS、COCOBAT、SUPER STUPID等の当時ハイスタが対バンしたりしていたバンドもdigった。
当然同世代で知ってる人なんていない。ましてや中学校のクラスという小さいコミュニティにおいては当然の如く認知度は0。流行り物だけが覇権を握ろうが自分の感性を頼りに、自分がカッコいいと思った音楽を聴いた。
受験というしんどい時期に力を貰ったり、そんなこんなでハイスタは気づけば自分にとって大切なバンド、大切な存在になっていた。

そしてライブへ

その頃ハイスタはライブをしておらず、2012年のAIRJAMが最後のライブという状態だった。
高校に進学してから4ヶ月後、高校1年生の夏休みに「RUSH BALL 2015」に行った。それが自分にとっては初めてのライブだ。それから間もなくして11月にBRAHMANの20周年で幕張に行った。
初めて遠征というものをしたが、そこで念願のハイスタを見ることができた。
そしてラッキーなことに2018年まで毎年1回ではあるがハイスタを見ることができた。

  • 2015年…尽未来祭

  • 2016年…AIRJAM 2016

  • 2017年…COMIN’KOBE 2017

  • 2018年…THE GIFT EXTRA TOUR 2018(Zepp Osaka Bayside)

4回という決して多くはない回数だが、1番古い尽未来祭なんてもう気づけば8年近く経っている。それでも未だにその時の光景を覚えているからきっと死ぬまで忘れないんだろうなって思う。
書くとキリがないくらい一つ一つ忘れられない思い出があって、カミコべにシークレットで登場した時のことなんかは昨日のことのように色濃く覚えている。その翌年の2018年はデカ箱ではあるがライブハウスでハイスタを見ることもできた。

Zepp Osaka Baysideにて

この頃から他のバンドのライブにも、ライブハウスにも、足繁く通うようにはなっていたがその中でもハイスタのライブは格別で、THE GIFTのEXTRA TOURが終わった後もハイスタのライブに行くことを楽しみにしていた。

メンバーの死

それから月日は流れ2023年2月15日。
昼休憩が終わった直後でイマイチ頭がパッとしない中、なんとなくTwitterを覗くと訃報が舞い込んできた。

『弊社所属 Hi-STANDARDのドラム、恒岡章が2023年2月14日に亡くなりました。』

たった一行のその文が一人ぼっちの狭いプレハブの事務所で自分の声を奪い去った。
頭も回らず体も固まっている状態で、混乱しながらもなんとか1文字1文字を拾うかのようにそのツイートを読み直す。
なんとか冷静さを取り戻し、現状の把握ができたがその瞬間、絶望感に包まれた。
「もう見れないんだ」「もう終わりだ」
この世の終わりのような感情に支配された。

その日はハイスタを聴きながら家に帰ったが、辛い気持ちはむしろ膨れ「あぁ…ちょっとしばらく聴けねえな…」となってしまった。
それくらいダメージが大きく、とにかくハチャメチャに辛かった。丁度仕事がピークを迎え病む暇もないような忙しさになったため物凄く病むまでは至らなかったが、心にポッカリ穴が空いたような状態がしばらく続いた。

ツネちゃんが亡くなって約2ヶ月が経過し傷も少しずつではあるが癒え始めた頃、ある日突然新曲のリリースとSATANIC CARNIVALへの出演決定がアナウンスされた。

驚きと嬉しさがゴチャ混ぜになり、訳が分からなくなっていたが気持ちはとにかく明るくなった。

前述のアナウンスから少しして健さんがコラムを更新した。内容はツネちゃんのことだ。

ぶっちゃけこれを読んで普通に泣いてしまった。シラフか酔ってたかは覚えてないけど泣いた。情けない話ではあるけれど、コラムを読むまではツネちゃんが亡くなったなんて冗談かと思っていた。どこかで現実逃避をしている自分がいた。
けれどこのコラムがそんな自分を引っぱたき、ツネちゃんはもうこの世にはいないことを理解《わか》らされた。
現実は残酷だし、辛いし悲しいけど、自分のためにもハイスタのためにも前を見る覚悟がやっとついた。

少し脱線したから話を戻すけど、実はこの時サタニックのチケットをまだ買っていなくて、
次が最終の先行で残りは一般というかなり追い込まれた状況に陥ってた。
そんな危うい状況ではあったが、「”””今”””のハイスタを目撃しなければならない」、「見たい、いや見る」、「サタニックに絶対行ってやる」という強い気持ちが作用したのか最後の抽選で無事チケットを手にすることができた。かなりの倍率だったと思うが前を向いたおかげだと思う。

「諦めなければどうにかなる」

Hi-STANDARDからまた1つそんなことを教わった。

SATANIC CARNIVAL

チケットの当選がGW前で気づけば6月になってた。学生の頃よりも時間の経過が早くなってる気がする。

当日が近づくにつれ、少しずつではあるけどソワソワし始めた。まあそりゃそうだ、今までいた3人の内の1人がいない。決してネガティブな考えは1ミリも無いが、どんな光景になるかなんて全く想像できなかった。

そして迎えた当日、ソワソワ感はいつしか楽しみという気持ちに昇華されていた。

地獄のエントランスにて

19時40分、ハイスタのスタート予定時刻になるとモニターには過去のツネちゃんの映像が流れる。少し前に見たPANTERAもライブ前にそんな感じのことをしてたけどこういうのは特別感があってすごく好きだし、何よりテンションが上がる。

映像が終わるとSEの「Go For It」が流れた。
そうそうこのSE、興奮とノスタルジーな気持ちがごちゃ混ぜになって最早よくわからなくなる。
遂にメンバーの難ちゃん、健さん、そして気になるドラマーはKen YokoyamaからEKKUNが登場。転換の時の機材で予想はついていたが、実際そうとなればやっぱり声が出るくらい驚いた。

1曲目はまさかの「START TODAY」。ドカンと始まりそのまま突っ走ってく暴走機関車状態のバンドと、東映のオープニングに出てくる波みたいに荒れるモッシュピットにアドレナリンは大放出。
そんなしんみりさを感じさせない幕開けに興奮していると、難ちゃんが「闇にいるなら…」と口を開く。途中言い間違えるカッチョ悪いシーンもあったがあの曲だと確信した。キッズのアンセム「STAY GOLD」。
ハニーから鳴るあのイントロに気づけば自分は泣いていた。
何万回と聴き、ソラで歌えるくらいは脳に刻み込まれていたこの曲。結局、曲が終わるまで涙は止まらず、曲中はその涙を拭いながら拳を上げシンガロングをしていた。何がそうさせたのかは今でもわからないが、この2分間が自分にとって何にも変え難いくらい尊いものであったと思っている。
3、4曲目は『ANGRY FITS』から「FIGHTING FITS、ANGRY SOUL」と「CLOSE TO ME」を演奏し、5曲目は「I’M A RAT」。
ハイスタの新曲、そしてツネちゃんにとっては遺作となる曲。YouTubeでレコーディングのドキュメンタリーが公開された時はツネちゃんが今も生きてたらってことをあの時はめちゃくちゃ考えていたが、健さんのコラムを経て、この曲をライブで聴けたことで何かがやっと吹っ切れたような気がした。

ここでEKKUNはお役御免、続いて登場したのはなんとZAX。またもや声を出してびっくらこいた。
PAY MONEY TO MY PAINのドラマーがハイスタでドラムを叩くなんて夢がありすぎる。

そして演奏した6曲目、「ANOTHER STARTING LINE」。

昔話にするにはまだ早いかもしれないが、少し話すとこの曲が入ってるCDは事前告知無しのゲリラで販売された。あれは6年前で当時高校2年生、昼休みで先生にバレないように携帯を見ているとゲリラ販売の情報をTwitterでキャッチ。午後からの授業を適当に聞き流し、学校が終わってから急いで2〜3駅隣のタワレコまでドキドキしながら買いに行った。自分にとっては忘れられない思い出の1つで、こうして時が経った今でも覚えている。

~閑話休題~

個人的にはこの曲の歌詞がぶっ刺さった。今現在のことを歌っているような、歌う姿を見てそんな気がした。
改めて和訳を読むとより一層そう感じたし、同時にまだまだこの曲は自分に新たな思い出を作ってくれるような、そんな気もした。

続いて8曲目は「MY HEART FEELS SO FREE」。4年前に癌で亡くなった太陽と虎オーナーの松原さんはこの曲が好きで、カミコベにハイスタが出た時はリクエストに応えて1曲目に演奏したって思い出が蘇った。ツネちゃんも松原さんも、もう向こうに行っちゃったね。

この日の難ちゃんはMCで、ハイスタは続ける。皆も生き続けてほしい。そんなことをライブ全体を通して言っていた。
“生き続ける”というものに対してあまり欲がない自分だが、難ちゃんの言う通り、もうちょっと生きてこう。そんなことを続く「THE GIFT」で感じさせられた。
新曲をリリースして、レコ発ツアーをやるっていうのはバンドとしては当たり前のことかもしれないが、その当たり前はバンドもリスナーも生きていなきゃ体験できない。
ドキドキワクワクをこの先も更新するために気合入れて生きるってのも悪くないのかもしれない。

9曲目、ZAXのラストは「BRAND NEW SUNSET」。
心がギュッとなるようなエモいメロディが本当に好きで、PVの補正もあってハイスタの中では5本の指に入るくらい大好きな曲。
個人的な偏見ではあるが、ライブでは終盤でやるイメージが強いため「あと少しで終わるのか」そんな寂しい気持ちがふつふつと湧いてきてまた涙が溢れてしまった。
泣いちゃったから歌詞通りにはならなかったけど、『Cause I’m a tough boy』って言える自分でずっといられたらいいな。

ここでドラマー交代、出てきたのはなんとマキシマム ザ ホルモンからナヲ。出てくる前に一瞬赤いドラムセットがモニターに映ったから正直心づもりはできてたけど、健さんが「Lovin’You」を歌う傍ら難ちゃんが泣いてるナヲの手を引いて登場してきたらこっちもちょっとグッときてしまった。

人がどれだけ降ってこようが純度100%の”””愛”””しかないフロアに放たれたのはエルビス・プレスリーのカバー「CAN'T HELP FALLING IN LOVE」。愛してやまないメタルコアバンドICE NINE KILLSもこの曲をカバーしており、もし聴いたことなくて興味持った人は是非聴いて欲しい。
digったその先に、この曲キッカケでINKを知れる未来があるならそれは本当に素晴らしいと思う。だから音楽って面白い。

11、12曲目は意外なことにここまで1曲もやってなかったアルバム『Growing Up』から「NEW LIFE」と「MAXIMUM OVERDRIVE」をやって遂にラスト1曲になってしまった。
ラストは『MAKING THE ROAD』から「DEAR MY FRIEND」。
曲の中盤に難ちゃんは

What is love?
What is happiness?
What am I?
Past,present, and future
Life is going,Life is going

と、歌うところを

愛って何?
幸せって何?
自分って何?
過去、現在、未来
人生は続く 人生は続く

と、日本語訳の方で力強く、オーディエンスに訴えかけるように歌った。難ちゃんの前のめりすぎる気持ちで歌う姿は自分の心にまでガツンと届いた。きっとあそこにいた皆にも届いてると思うし、天国にいる仲間たち、そしてバックドロップが捲れ、後ろのモニターに大きく映し出されていたツネちゃんにも絶対に届いたと思う。

約1時間半のハイスタのライブが終わった。聴きたかった曲はまだまだ無限にあったが、だからと言ってそこに不満は1ミリも無い。
「ハイスタを見れた」その事実だけで十分に満たされた。サタニックにもハイスタにも本当に感謝しかない。
そして何よりハイスタが活動を休止してた11年間日本のロックシーンを支えたFACT、PAY MONEY TO MY PAIN、マキシマム ザ ホルモンのドラマーがハイスタのサポートとしてドラムを叩くという感慨深いことにも感謝しかない。

全てにありがとうという気持ちでいっぱいだ。

「Hi-STANDARDは自分にとっての青春」これはこの先どんなことが起こっても変わらない不変の事実。
部屋には未だに2016年の「AIRJAM」と映画「SOUNDS LIKE SHIT」のポスターが貼ってある。よく見ると陽に当たっていたせいで所々色褪せてしまっているが、思い出はポスターと違って全く色褪せていない。
色々あったがハイスタが好きだったし、じゃあ何番目とか、どれくらいとか言われるとそれは答えに詰まるがとにかく今も変わらず大好きなバンドで、他に代わりがいない青春そのものである。

だからまたハイスタを見たい。ただそれだけだ。


当日のセットリスト

SE.GO FOR IT(Stiff Little Fingers)

↓drum:EKKUN

01. START TODAY
02. STAY GOLD
03. FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL
04. CLOSE TO ME
05. I'M A RAT

↓drum:ZAX

06. ANOTHER STARTING LINE
07. MY HEART FEELS SO FREE
08. The Gift
09. BRAND NEW SUNSET

↓drum:ナヲ

10. CAN'T HELP FALLING IN LOVE
11. NEW LIFE
12. MAXIMUM OVERDRIVE
13. DEAR MY FRIEND

※ナヲの登場前にTHE SOUND OF SECRET MINDとLovin' You(ミニー・リパートン)をちょろっとやったけど割愛


最後に

次にいつハイスタを見れるかはわからない。
あの日見たのが最後ってことも無きにしも非ずで、世の中何が起こるかわからない。
良いこともあれば、悪いことも。いつの時代もそうだろうがそんな中を今、自分は生きてる。
ハイスタと出会っていなかったら今頃どうしていたか全く想像がつかないくらいいっつも与えられてばっかりで、でもそのお陰で今がある。
そんな自分にとってのヒーロー『Hi-STANDARD』。

いつまでも金ピカでいれますように。

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