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一人で気ままにブックトーク【テーマ:哲学対話】


『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』(梶谷信司/幻冬舎新書)



対話の対象
 子どもだけではなく、みんな(大人も含む)
 学校だけでなく、地域コミュニティや会社も含む。

 「哲学対話とは、知識としての「哲学」ではなく、「哲学する」(=体験する)こと。」という言葉はとても印象に残った。この一冊が、私が「哲学対話」というものに興味をもつきっかけとなった本である。

「知識」ではない「体験」としての哲学は、「考えること」そのものを指す。(p12)
「考えること」は、他の人との対話、「共に問い、考え、語り、聞くこと」であるといえる。(p13)


『問う方法・考える方法 「探究型の学習」のために』(河野哲也/ちくまプリマー文庫)

対話の対象
 学校(「総合的な探求の時間」に焦点を当てて)

 著書そのものは、「総合的な探求の時間」における探求の流れについての説明。哲学対話は、その最初の問いを見つける場面での活用として提案。

 哲学対話とは、ひとつのテーマや問いについて、対話しながら深く考え、深く考えながら対話する活動。(p74)

『P4Cの授業デザイン ともに考える探求と対話の時間のつくり方』(豊田光世/明治図書)

対話の対象
 学校(道徳だけでなく、国語、数学などの各教科で)

 p4Cについての説明や手順と、実践について(ハワイ、各教科)まとめられている。

P4Cは「考える力を育むこと」に焦点をあてて開発されてきた教育です。特に、他者と共に考えることの必要性と可能性を重視し、「対話」というコミュニケーションを学びの手法として取り入れています。(p13)

『哲学対話と教育』(中岡成文監修、寺田俊郎編/大阪大学出版会)

 対話の対象
  学校、市民学校、看護
 
 より幅広い場所で、どのように対話が行われているか、対話についてどう考えるかを、各章ごとの著者がまとめている一冊。学校では、国語や社会などの時間を用いてる例が見られた。学校で「対話」を行う難しさについて考えさせられると同時に、ヒントももらえた。

「哲学対話とは、ごく簡単に言えば、ふだん立ち止まって考えることのない問いを、対話を通じて、ゆっくり、じっくり考えることである。」(「はじめに」より)

『対話の技法』(納富信留/笠間書院)

対話の対象
 自分と異なる他者、及び自分

 そもそも「対話」とは何かを考えられる一冊。「対話」をすることによって、何が得られるのか、どんな弱さ(恐怖)に向き合うことになるのかを教えてくれる一冊。対話に臨む前の心構えのような印象。
 同時に、対話する相手は、(難しさはあるが)紙面上・死者と範囲を広げていたのは印象に残っている。それでも、対面で顔と顔を見合わせて対話する意味については、コロナ禍において考えるべきものとして提示されている。

各本を読んで

  道徳で用いられる印象が強かったが、他の教科でも使われていることは驚いた。子どもも含め、大人も対等に深く一緒に考える機会が作れるというのは魅力的に感じる。哲学対話において、輪になって座ること、無理に発言をしなくても良いことが重視されていることがわかる。(2021年)
 むしろ、道徳で用いられることは少ないのではないだろうか。道徳も、教科である以上は指導項目があり、ある程度教員も「こういうことを考えたい」という目標はもっている。そうした枠から外れた場所で考えられる機会が必要で、学校の中で実施する困難はそこにあるように思う。ただ、こうした機会は学校で作れるととても楽しいものであると思う。(2022年1月)

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