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《分割版#3》ニンジャラクシー・ウォーズ【ゴッデス・セイブ・ザ・マーチャン】

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◆#3◆

 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……規則正しい足音と共にジャングルの暗がりから姿を現したのは、整然と隊列を組んだニンジャトルーパー小隊であった。先頭を行くのはヘビビト。サファリハットを被ったパオが随行する。太陽は既に中天高く、ギラつく光で岩山の一帯を照らしていた。

 ザッ! 小隊は岩山の麓で停止した。「これか、マニヨルの岩戸とは」「ハッ」「この中に黄金像があるのだな」「間違いなく」岩山を見上げるヘビビトにパオが頷く。「ようし! 速やかに発破の準備を……ム?」掲げかけたヘビビトの右手が止まった。「いかがなされました」「シッ! 黙れ」

 パオを制したヘビビトは、そろそろと右手を下ろしつつニューロンを研ぎ澄ませた。「……そこか! イヤーッ!」抜き撃ちガンマンめいて腰の生体ウィップを繰り出す。蛇頭の鞭は意志あるが如く屈曲し、岩陰に潜んでいた何者かを打った。BZZZTT!「ARRRGH!」感電して転げ落ちる人影!

「バルー!?」パオが目を瞠った。駆け寄る暇もなくトルーパーが取り囲み、7フィート超の長身を棒で叩く!「「「イヤーッ!」」」「ARRRRRGH!」「お待ちを! どうかお慈悲を!」パオはトルーパーを掻き分け、傷だらけのバルーに屈み込んだ。「バカ野郎、何だってこんな所に!」

「知れた事を!」トルーパーに拘束されながらバルーが吼えた。「俺は命に代えてもマニヨル様をお守りするぞ! お前の為にもな!」「俺の為だと?」「御神体をガバナスに売れば、お前はジゴクに落ちるだろう。断じてそんな事はさせん!」「……」パオは押し黙った。その目に怒りの色が浮かぶ。

「決して友を見捨てないのがデーラ人の誇りだ」バルーは言葉を続けた。「俺達はもはや友ではないが……それでも最後に、俺はお前を救いたい。かつてお前が俺を救ってくれたように」「救いか」パオが押し殺した声で言った。「本気で俺を救う気があるなら……俺と同じジゴクに落ちてくれよ」「何だと……?」

「まずいよリュウ=サン! バルー=サンが!」岩山の陰で様子を伺っていたハヤトが振り返った。後方には待機中のスペース・ソーサーとリュウ。機体から伸びた数十メートルのチェーンはU字型電磁石に繋がれ、鉄分豊富な岩戸の端にがっちりと吸着していた。ガバナス側からは完全に死角である。

 ハヤトの後ろから首を伸ばし、リュウはバルー達の様子を覗き込んだ。「あンの野郎、姿が見えねェと思ったら……誰のせいで苦労してると思ってンだ」「すぐ助けなくちゃ!」「待て待て」駆け出そうとするハヤトの首根っこを、リュウが掴んで止めた。「見な。ちょいと風向きが変わって来たぜ」

「……」パオは岩戸の前に跪き、サファリハットを傍らの地面に置いた。その横顔にはある種の覚悟の色があった。「何をしている、貴様」小隊長トルーパーが咎める。「爆破作業の邪魔だ! そこをどけ!」「構わん。好きにさせろ」ヘビビトが言った。「しかし!」「好きにさせろと言っている」

「アイエッ」金色の瞳に射竦められた小隊長は宇宙ネズミのごとく震え上がり、失禁を堪えた。もっともヘビビトにとっては単なる気まぐれ……この愚かで卑屈な禿頭の男が珍しく真剣な様子で何を始めるのか、ふと気になったまでの事だ。「……そこで見ていろ、バルー」パオの目は岩戸をひたと見据えていた。

「お前にもわからせてやるよ。俺達はもうジゴクにいるって事を……神様のいないこの地上こそ、真のジゴクなんだって事をな……!」パオは両手を差し上げ、朗々とチャントを唱え始めた。「デリ・マノス・マニヨル! 聖なるマニヨルよ! 願わくば我等の前に御姿を現し、お救い下さい!」

 島に伝わる古代語を所々に交えつつ、パオの祈りは続いた。それは作法と伝統に則った敬虔なる儀式であり……同時に、幼い頃から信じていた神への引導でもあった。「デリ・マノス・マニヨル! 御姿を現したまえーッ!」詠唱が最高潮を迎えた瞬間、「よォし、今だ!」リュウはスペース・ソーサーのトントに手を振った。

『リョウカイ……アレッ』起動レバーを引くも機体は無反応。トントの顔面に「??」のアスキー文字が灯る。「オイどうした!」『イジョウ、イジョウ』「今が絶好のタイミングなのに!」ハヤト達がまごつく一方、祈りを終えたパオは周囲を見渡した。変わらぬ静寂。「どうだ、バルー……石コロ一つでも落っこってきたか」

「いくら祈ったところで、神様がいなけりゃ何も起きやせん……お前にもわかったろ、これで」パオが虚ろな笑いを洩らした、その時。ズズズズズ……地鳴りと共に大地が揺れ始めた。「「「アイエッ!?」」」トルーパー小隊が色めき立つ。後ろ手に縛られたバルーがガバと身を起こし、目を輝かせた。「おお!」

 ズゴゴゴゴゴ……! 揺れは激しさを増し、砂礫が岩戸を滑り落ちる。「「「アイエエエ!」」」「静まれーッ!」トルーパーを叱咤するヘビビト。「マニヨル様だ! やはりおいでになったのだ!」「黙れ!」歓喜するバルーにパオが叫び返した。「ただの岩崩れだ! 神の仕業などあり得ん!」

 ゴーン、ゴーン、ゴーン……。その場に居合わせた全員が……ドロイドのトントまでもが、荘厳な鐘の音を聞いたように感じた。幻聴か、あるいは何らかのエテル波動か。「あれは!」ヘビビトが目を見開いた。おお、見よ! 開き切った岩戸の奥、荒削りの台座の上に立つは……黄金に輝く女神像!

 身長わずか数十センチ余り。だが、その全身から放たれる金色の光は、岩山の内部に穿たれた空洞を余すところなく照らし出していた。要所に奥ゆかしく埋め込まれたダイヤモンドの煌めきがシンピテキをいや増す。「おお、おお……デリ・マノス・マニヨル!」バルーは感極まり、何度も額を地に擦り付けた。

 地鳴りは既に収まっていた。「バカな、あり得ん!」パオは立ち上がり、呆然と女神像を見つめた。「何故ですか、マニヨル様……どうして……どうして今更……」「ハッハハハハ!」ヘビビトが哄笑した。「でかしたぞ、パオ=サン! 貴様の言葉通り素晴らしい品だ。皇帝陛下もお喜びになろう!」

「さあ、その像を持って来い!」「よせ、パオ! それ以上近づくな!」ヘビビトとバルーの相反する叫びがまるで聞こえぬ様子で、パオは立ち尽くしていた。……やがてその足が踏み出され、夢遊病者めいて一歩ずつ、黄金像に歩み寄ってゆく。「そうだ、急げ!」「ヤメローッ! WRAAAGH!」

「……」パオは無言のまま、厳かな仕草でマニヨル像を手に取った。「ようし、それでいい! 早くこちらによこせ!」ヘビビトが両手を伸ばす。だが……静かに振り向いたパオの双眸は、別人のように澄み渡っていた。ソクシンブツ儀式に臨まんとする宇宙ボンズめいて。バルーが息を呑む。「パオ……お前」

「何をグズグズしている! 俺の命令が聞こえ」「ダマラッシェーーー!」パオの口から凄まじき大音声が放たれ、ヘビビトを圧倒した。「「「アイエエエ!?」」」ニンジャトルーパーが一斉に腰を抜かす。「マニヨルは島の魂! ガバナスには渡さん! イヤーッ!」「グワーッ!」

 ブザマに地に転がったヘビビトが、「バ……バカナ!?」瞬膜めいた瞼をしばたたいた。無理もない。一介の非宇宙ニンジャに過ぎぬ男のタックルが、ニンジャオフィサー内定者たる己を跳ね飛ばしたのだ。困惑が恥辱と怒りに変わる。「ええい、貴様ら何をしている! 追え! 追えーッ!」

「「「ヨロコンデー!……アイエッ!?」」」カカカカカ! ヤジリめいた宇宙スリケンが地面に列を成して突き立ち、駆け出すトルーパー達を足止めした。「イヤーッ!」真紅装束の宇宙ニンジャが回転ジャンプエントリー!「銀河の果てからやって来た正義の味方。ドーモ、ナガレボシです!」

 ナガレボシ……すなわち、ハヤガワリ・プロトコルに則って姿を変えたリュウは、クーフィーヤめいた宇宙ニンジャ頭巾とゴーグルで素顔を隠し、アイサツを繰り出した。プロトコルを遵守する限り、正体を看破することは99.99%不可能だ。右手に握る金属グリップからスティック状の刀身が伸び、ジュッテめいた短刀に変形する。

(ナガレボシ=サンだと!? お尋ね者の反逆宇宙ニンジャが何故こんな僻地に!)ヘビビトは己を強いて内心の動揺を抑え、オジギを返した。アイサツは宇宙ニンジャ絶対の掟だ。「ド……ドーモ、ヘビビトです」「ヘーェ」ナガレボシが挑発的に笑った。「その名前を使うのはちと早かねェかい、アール隊長=サン」

「なッ……貴様何故それを!」「神様の使いだからさ」ナガレボシはヘビビトに伸縮刀を突きつけた。「ガバナスのクソ野郎から御神体を守るため、俺達が遣わされたってワケよ」「戯言を!」へビビトが叫んだ。「今は貴様の相手をしている暇はない! カカレ!」ニンジャトルーパー小隊に号令を下す。

「「「ヨロコンデー! イヤーッ!」」」殺到するトルーパーの一団を前に、ナガレボシは伸縮刀にカラテを注ぎ込んだ。キュイイイ……甲高い音を発する刀身を振るい、「イヤーッ!」駆け抜けざまに超振動斬撃を連発!「「「グワーッ!」」」トルーパー達が一斉に緑色の異星血液を噴き出す!

「ええい邪魔だ、どけ!」「グワーッ!」倒れ掛かるトルーパーを蹴倒してパオを追うヘビビト。その行く手を遮り、「イヤーッ!」白銀装束の宇宙ニンジャが回転ジャンプエントリー!「何奴!」「変幻自在に悪を討つ平和の使者。ドーモ、マボロシです!」その正体はリュウに続いてハヤガワリしたハヤトだ!

「オノレ、次から次へと!」ヘビビトは激昂した。「俺の邪魔をするなーッ!」ニンジャソードを抜き放ちざま、もう一方の手で電磁鞭を振るう!「イヤッ! イヤーッ!」BZZZTT!「グワーッ!」感電硬直するマボロシに、すかさずソードで斬りつける!「死ね! マボロシ=サン! 死ねーッ!」

(((何をしておるナガレボシ=サン! ハヤトを救え!)))ナガレボシのニューロン内に突如沸き上がった幻聴は、ゲンニンジャ・クラン長にしてハヤトの父、今は亡き師ゲン・シンのイマジナリ―叱声だ。(言われなくても!)ナガレボシは毒づきながら既に駆け出している。

(((急げ! 間に合わぬぞ!)))(ああクソッ!)状況判断!「イヤーッ!」「グワーッ!」ナガレボシのドロップキックが横合いからマボロシを跳ね飛ばし、ヘビビトのニンジャソードが空を切った。「コイツは俺が殺る! テメェはザコを片付けろ!」「アッハイ!」マボロシは苦痛を堪えて駆け出した。

 バルーはナガレボシのエントリー時に拘束ロープを斬り払われており、既にニンジャトルーパー相手の大立ち回りを繰り広げていた。「ARRRRGH!」一人の身体を掴み上げ、小隊の只中へ投げ飛ばす!「「「グワーッ!」」」ラグドールめいて吹っ飛んだトルーパー達にマボロシが斬り込む!「イヤーッ!」

 ナガレボシはじりじりとヘビビトとの間合いを保ちつつ、勝機を探った。(((あの程度の電撃で宇宙ニンジャは殺せぬ)))と、ゲン・シン。(((電磁鞭で動きを鈍らせ、ソードで仕留めるのが彼奴の常套手段であろう。イクサを長引かせればジリー・プアー(徐々に不利)ぞ、ナガレボシ=サン)))(そのつもりはねェ)

「イヤーッ!」生体鞭が牙を剥き、ナガレボシの肩口に襲いかかった。「イヤーッ!」ナガレボシはスウェー回避!「イヤーッ!」ヘビビトの手首がスナップすると、バイオ蛇の動きは瞬時に横薙ぎへ転じる!「イヤーッ!」ブリッジ回避!「オノレ! イヤーッ!」さらに反転! 斜め上から打ち下ろす!

 生体鞭が地を打った瞬間を逃さず、「イヤーッ!」ナガレボシはネックスプリングで跳ね起き、その頭部を踏みつけた。電流がアースめいて地面に散る!「イヤーッ!」頭を斬り飛ばすと同時に後方回し蹴り!「グワーッ!」重い一撃をクロスガードで防御したヘビビトが、土煙をあげて後ずさった。

「電気ビリビリで敵を倒せた奴は歴史上存在しねェんだよ」ストリートチルドレン時代に読んだ宇宙カートゥーンの引用で、ナガレボシが挑発した。「ヌゥーッ……!」死んだ鞭を投げ捨てたヘビビトは、ミリタリー装束をはだけて上半身を露わにした。爬虫人類の五体が歪み始める。「ならば……これならどうだ!」

「SHHHHHH!」ヘビビトの頭部が前方に肥大し、真っ赤な口はさらに大きく裂けた。太さを増した首は胴体と一体化。巨大な尻尾が腰の後ろから飛び出し、地を這いながら伸びてゆく。「SHHHYAHHHH!」おお、ナムサン……変異を遂げたその姿は、人間の手足を生やした大蛇としか言いようがなかった!

 牙と牙の間にバチバチと閃くスパークの激しさは、変異前の比ではない。(((ヘンゲヨーカイ・ジツか……否)))ゲン・シンが唸った。(((これはデボリューション・ジツ。肉体を退化させて原始の力を呼び覚ます、忌まわしき身体強化の法よ)))「黒焦ゲニ、ナルガ、イイ!」ヘビビトが不明瞭な叫びをあげた。

「SHHYAHHH!」手足を胴体に沿わせて襲い掛かるヘビビトの動きは、獲物に襲い掛かる大蛇そのものだ。「イヤーッ!」横っ飛びに避けながら伸縮刀を構えるナガレボシに、(((ならぬ!)))ゲン・シンが叫んだ。(((体内に刃を入れれば皮下の発電組織から漏電、感電死は免れぬぞ!)))

(じゃあどうすりゃいいンだよ!)(((創意工夫せよ!)))二人が言い争う間に、ヘビビトは身を翻して再襲撃!「SHHYAHHH!」「イヤーッ!」側転回避したナガレボシが宇宙スリケンを放つも、KILLINKILLIN! 強化された鱗に難なく弾き返される。「クソッ!」ナガレボシは苦し紛れに懐を探った。

「イヤーッ!」咄嗟に投げつけたヒカリダマが、ヘビビトの鼻先で炸裂した。FLAAAAASHH!「SHHYAHHH!」大蛇の巨体が苦痛にのたうった。瞼が退化して目を閉じられぬのだ。「イヤーッ!」連続バック転で距離を取るナガレボシ。「SHHHH……コシャク、ナ!」ヘビビトが鎌首をもたげる。

 原始的生命力によって、ヘビビトの閃光ダメージは既に回復していた。(((だが彼奴は焦っておる)))と、ゲン・シン。(((デボリューション・ジツの使用者は長期戦を避ける。退化状態が長引けば、知性を不可逆的に失うが故にな)))かつて授かったインストラクションの残滓が、ナガレボシの脳裏に蘇る。

(((して、工夫は成ったか)))(……見てな)ナガレボシは半身に構えて左手を伸ばし、伸縮刀を回転させながら投げ上げては、それを受け止める動作を繰り返した。クルクルクル……パシッ。クルクルクル……パシッ。手慰みめいて得物を投げ上げつつ、「なあ、隊長さん」ナガレボシは大蛇に呼び掛けた。

「お互い先を急ぐ身だ。ダラダラやり合うのはやめにして、次の一撃で白黒つけようや……テメェが自分の名前も思い出せなくなっちまう前にな」「SHHHH……良カ、ロウ」数メートルの高みからナガレボシを見下ろしながら、ヘビビトが答えた。蛇型と人型、二人の宇宙ニンジャが睨み合う。

 クルクルクル……パシッ。クルクルクル……パシッ。「……」「SHHHH……」張り詰めるアトモスフィアが極限に達した瞬間!「SHHHYAHHHH!」放電牙を剥き出してヘビビトが襲いかかる。同時にナガレボシが伸縮刀を放り上げた。ひときわ高く! ドクン……宇宙ニンジャアドレナリンが血中を駆け巡る!

「SHHHYAHHHHHH……」泥めいて鈍化した時間の中、「イイイイイ……」ナガレボシは左足を高く、強く、斜め上に引き絞った。クルクルと縦回転しつつ、両者の間に落ちてくる伸縮刀。その切っ先がヘビビトに向いた瞬間を、ナガレボシの宇宙ニンジャ視力が捉えた!「イイイイイヤアアーッ!」SMAAASH!

 溜めに溜めた宇宙ニンジャ筋力を解き放ち、ナガレボシは渾身のハイキックで柄頭を蹴った。凄まじい速度で撃ち出された伸縮刀が、銀色のレーザー光線めいてヘビビトの口中に飛び込む! 残留カラテ超振動により脊椎を貫通! 後頭部から刀身が飛び出す!「SHHHYAHHHH!」

「SHHHHYAHHH!」ZIZZZZZZ! 全身から青白い電光を迸らせ、ヘビビトは地響き立てて倒れ込んだ。伸縮刀が発電器官をショートさせたのだ。「SHHHHAAバッ! アバッ! アバババーッ!」ZIZZZZZZ! 感電痙攣する身体が爬虫人類のそれへと縮み戻ってゆく。「アババババーッ!」

「ハイクを詠みな、ヘビビト=サン……ン?」ザンシンしかけたナガレボシが訝しんだ。ヘビビトの右手にはいつの間にか携帯ビーコンが握られ、パイロットランプを明滅させている。「ちょッ……オイ待て何だソレ!」「サヨナラ!」爆発四散の瞬間、ヘビビトの口元は邪悪な笑みに歪んでいた。

「やべえ!」ナガレボシは慌てて伸縮刀を拾い、地に転がったビーコンに突き立てた。だが時すでに遅し。ZZZOOOM……信号に導かれて近付く飛行音は、ニンジャアーミー制式宇宙戦闘機「シュート・ガバナス」編隊のそれだ。ハヤトとバルーはいまだトルーパー最後の数人と交戦中。「クソッ……イヤーッ!」

「アバーッ!」トルーパーの一人の側頭部をナガレボシの宇宙スリケンが貫いた。残るは三人。「AAAAGH!」バルーが二人の頭を掴み、カチ合わせて叩き潰す!「イヤーッ!」マボロシの伸縮刀が最後の一人の首を飛ばす!「「「アバーッ!」」」「行くぞテメェら! モタモタすンな!」ナガレボシが身を翻した。

【#4へ続く】

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