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山本コウタローさんのこと。

山本コウタローさんが亡くなった。いささか遅きに失したが、あらためてここに哀悼の意を捧げます。

山本コウタローという人を知っている若い人は多くないと思う。70年代前半はシンガーソングライターとして、80年代以降はその活動の軸を平和運動や環境問題に移していった。しかし「拓郎好き」にとっては、何といっても「誰も知らなかったよしだ拓郎」の著者であるという事。吉田拓郎のアマチュア時代からデビューを関係者などへの綿密な取材でまとめたこの本は、多くの拓郎ファンの教科書的なものの一つといって間違いはない。

この本が大学の卒論だったことはことに有名。社会学部で南博ゼミの生徒だった山本コウタローは在学中にヒットしてしまった「走れコータロー」で引っ張りだこ、卒論も提出せずに時が過ぎて行く。痺れを切らした南博先生は「とにかく君の最も関心のある事をまとめなさい」と伝え、まとめ上げられたのが「誰も知らなかったよしだ拓郎」として上梓された(卒論時の正式タイトルは「たくろう・スーパースター」)。

とは、私の大学時代のゼミの先生から聞いた話。先生が一橋大学に在学中、南博先生に会っていると、ひょろりとした学生が卒論を持ってやって来た。学生が去ったあと「彼が(あの)「山本コウタローくんだよ」と教えてくれた。詳しい内容は忘れてしまったが、そんな話だったと思う。その後、南博先生は「ちゃっかり卒論で商売して」と笑っていたという。

誰も知らなかったよしだ拓郎

「岬めぐり」はちょうどギターを始めた頃で、スリーフィンガーの練習でずいぶんお世話になった。そして70~80年代の拓郎のオールナイトコンサートには必ず彼の姿があった。ひょろりとした長身に、ギョロ目と親しみやすい出っ歯(本人がネタにしていたので許していただく)が印象的なあの笑顔が。

映画評論家でDJの吉田真由美さんとは事実婚の関係。今だその「是非」から離れられない狭量な論議を嘲笑うかのように、とっくの昔にひょいと(もちろん軋轢はあっただろう)実行していたんだと思うと、今さらながらにすごいな、と思う。

コウタローさん、われらがツバメは今年も飛んでいますよ。


見出しのイラストは「猫助」さんの作品をお借りしました。確かコウタローさんと吉田真由美さんは猫を飼っていたような記憶があるのです。

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