見出し画像

プリンの日に少年時代の冷蔵庫を思う。

本日25日は「プリンの日」らしい。初めて知った。2010年に登録されたらしく歴史はかなり浅い。存在することに不思議はないのだが、歴史に刻まれたやんごとなき背景があるかと思いきや、なんと由来は「にっこり」という語呂合わせ。「たくさんの人が食べて笑顔になってくれれば」という想いを込めたというのですが、なかなかに脱力な理由ではあります。

プリンと言えば子どもの頃のおやつの定番。型に入れて冷蔵庫に格納したプリンを今か今かと待ちわびて扉をあけては閉めるを繰り返し、母親に「Stay!」と何度言われたことか。ようやく出来上がり、逆さにした型から品をつくりながら「うっ、ふん。プルン」と落ちてくるその艶めかしさといったら。いろどり豊かなゼリーやババロアの日もあって、60年代の子どもには官能と至福の時間がそこにあったのです。プッチンプリンが出てくる何年も前のお話。

あれよあれよという間に身の回りの電化が進んだ1960年代、テレビの登場は言うに及ばずながら冷蔵庫という存在は負けじと大きく、「ただいま」の次にする行動と言えば、決まって冷蔵庫のドアを開けることだった。夕食の食材用に買ってあった魚肉ソーセージを平らげてしまい、何度叱られたことか。安価な魚肉ソーセージはまだまだつましい昭和の暮らしの大事な肉の代用品だったのだ。笹かまの本場に生まれた無類の練り物好きはこの頃その本領を申し分なく発揮していたというわけなのです。

突然動かなくなって困る家電と聞かれれば、それはテレビなどではなく冷蔵庫なのは間違いない。わが家の冷蔵庫ももう齢10数年を数えていつこと切れるかわからない。せめて2~3日位前に声をかけて欲しいのだが、文字通りCOOLな彼は今も静かに職務に励んでいる。


見出しのイラストは「kumi」さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?