あの頃、映画館で~「駅 STATION」から「オール・ザット・ジャズ」
20代までに映画館で観た映画、押し入れの整理をしていたらざくざく出てきた懐かしいプログラムを五十音順に整理している。その3。
「駅 STATION」(1981年公開)
-ふり返れば人生を乗りかえた雪の駅がある-高倉健演じる刑とその元妻(いしだあゆみ)、妹(古手川祐子)、居酒屋の女将(倍賞千恵子)、刑事が追う容疑者の妹(烏丸せつ子)などが織りなす人間模様。脚本・倉本聰、監督・降旗康男のスタンダードな後期健さんもの。ちなみにプログラムの表4は三菱自動車「新型シグマ、登場。」のコピーで、健さんがクルマの横で遠くを見ている。「燃費とパワーの三菱ターボ」ターボ、懐かしい。
「チャップリンの黄金狂時代」(アメリカ映画/1925年日本公開)
説明不要のチャップリン代表作。アメリカ公開からたった半年遅れで日本にやってきた。パンにフォークのダンスは知らない人はいない。中学3年生の頃に観に行ったような気がする。
「お葬式」(1984年公開)
当初「侘助たちの秋」というタイトルだったのが、撮影が初夏だったためにヤケクソでこのタイトルがつけられた。しかし伊丹十三が重視するキャスティングはほぼ満点といえるような役者が軒並み快諾。前代未聞のお葬式が行われた。人間の可笑しさ、馬鹿馬鹿しさ。よく言う「こういう映画を観たかったんだ」と心底思ったのがこの作品。松田優作は「血が通っていない」などと批判的だったらしい。松田優作、嫌いではないのだがこれについては「はて?何を言っているのか」なのだ。伊丹十三は加藤和彦とともに「何で死んじまったんだ」と今でも言いたい人。
「俺たちに明日はない」(アメリカ映画/1968年日本公開)
ボニーとクライド、到底共感できない二人に惹きつけられて名画座のスクリーンに釘付けになった。銃弾を浴びるラストシーンの「死のダンス」は、「明日に向かって撃て」のストップモーションとは対照的。どちらも死にゆく者への鎮魂が込められたいい邦題だと思う。
「オール・ザット・ジャズ」(アメリカ映画/1980年日本公開)
「ウエスト・サイド物語」で「ミュージカルは苦手、ウエスト・サイドは例外」と言っておきながら観てるじゃないかと言われれば「アイ、スミマセン」と答えるしかない。カンヌでパルム・ドールを受賞して「どれどれ」と観たのかもしれない。しかし楽しく観られたような気がする。「サウンド・オブ・ミュージック」はいまだに苦手。