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オンライン会議で活躍 〜オンライン・グラフィックレコーディングのメリットと活用方法のまとめ


実は、1年前までは、「デジタルでグラフィックレコーディングなんて私にはむりむり。紙がいいねんー!」と言っていました。去年の夏、必要に迫られてiPadとApplepencilを手に入れた結果、気づけば仕事の幅が広がり、話の見える化の可能性が広がり、遊びのレパートリーも増えて、今では1000枚以上のデジタルグラフィックレコーディング(もしくはグラフィックファシリテーション)を描くようになりました。

私はデザインに精通しているわけでも、美大の出身でもなく、理系出身です。そんなわたしが、VisualPractice(グラフィックファシリテーションやグラフィックレコーディング)の可能性に魅せられて、会議やワークショップの運営や企画、伴走を仕事にするようになっていることから「ここさえ押さえておけば大丈夫!」を整理していきたいな、と思って文字にしています。

↑zoomのホワイトボード機能をつかって。みんなで描いてあそんでる写真(後程、参加者から話やすかった癒されたというコメント)

最近、リモートでのオンライン会議が増えてきて、多方面からどのようなツールを使っているの?何ができるの?と質問をいただくようになったのですが、「ツール」の話をしようと思うと、「何のために描くの?(目的)」によって活用方法が変わってきたりして、意外といろんな活用方法を使い分けていることに気づいたので、現在よく使われている(と感じている)オンラインツールであるzoomを活用して、実施する際のパターンをまとめました。

もし、何か一つでも役に立ちそうなところ、気づき、持ち帰ってもらえればうれしいです^^


▼目次
リモート会議でどんな風に実施するの?
どんな時に役にたつの?
実際にやってみたい!〜グラフィッカーの方へ
おまけ1・双方向のコミュニケーションにこんな使い方も!
実際に頼んでみたい!〜ホストの方へ
おまけ2・描いた後のグラフィックの活用法


リモート会議でどんな風に実施するの?

もともとは模造紙や様々なサイズの紙に描かれることが多かったグラフィックレコーディングやグラフィックレコーディング(以降”GF”)。デジタルツールが広がるにつれて、iPadなどのタブレットでも描かれるようになってきたのがこの数年です。

オンライン会議の広がりとともに、模造紙での実践からスタートしたわたしも、デジタルGFは避けて通れなくなり、活用しはじめたのが昨年。今年に入り、一気にリモート会議が増えたことで、リモートでの弱みを補ったり、よりクリエイティブな場にする目的で活用される機会が増えてきました。


● 実際に活用している風景はこんな感じ。(実際の対面講座の様子)


● グラフィッカーは家、GFを会場のプロジェクターに映し出している様子(実際の様子)

● ビジョンメイキングで、考えを複数人でまとめている様子(実際の様子)


● オンラインGFの講座の様子(実際の様子)

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どんな時に役にたつの?**

対面でのワークショップや会議には対面の良さがあるし、オンライン会議にはオンライン会議の良さがあると思います。

では、オンラインならではの弱さは?
例えば、オンラインでは「空気感が伝わりづらい」「文脈やニュアンスが分かりづらい」「話すのが得意な人が一方的に話すようになりがち」「オンラインだと緊張して話せない人がいる」「話合いが収束しやすく発散が難しいときが多々ある」など。他にも様々な意見があると思います。

そこで、大きくざっくりと以下のような4パターンでオンラインGFが活用される場面(目的別)をわけて考えてみました。

【GFが活用される場面(目的別)】
①描き手自身の頭の整理をするために描く
自分の記録用として、後から自分だけが見る前提でかく

②話を聴いて、自分がその時に思ったこと考えたことを残すためにかく
自分の記録用であったり、そのときに考えたことを人に伝えたりするためにかく。まずは聴いた話をかくけれど、その時に自分が考えたこと、思ったことも一緒にかいておく

③参加者の記録として描いて残したい
後からの振り返りや、SNS発信、情報整理のためにかく
聴こえてきた話を、聴こえてきたままかく。自分の意見や、考えはかかない。

④参加者の対話を活性化する目的でかく
発散/共創のためにかく。聴こえてきた話を、聴こえてきたままできるだけたくさん拾って構造化せずにかく。自分の意見や、考えはかかない。時間が経つにつれて、つながりや違いが見えてくるので、そのときに矢印でつなげたり、囲ったりする


実際にやってみたい!

実際にオンラインGFを実施する際の、使用端末と活用シーンを順番に見ていきたいと思います。そのあとに、GFが活用される場面(目的別)にどのパターンをつかうとよいかも。を紹介してみます。
※今回、オンラインツールzoomを使用した場合でご紹介しています

タブレットからGFを実施場合は2つの方法があります。
(左)【共有→ホワイトボード】参加者全員が同時に描くことができます
(右)【共有→画面】自分のタブレット画面を共有してみせることができます

パソコンから操作する場合は、【画面を共有→ホワイトボード】


A. 描くのは一人/手元で紙に描く

使用ツール:パソコン(タブレット、スマホ)、A4用紙やスケッチブックなど、ペン
活用シーン:②、③、④向け

シンプルが一番!今まで通り、手元の紙で描いて、それを良いタイミングで、カメラに写して共有しながら振り返りや、そこまでの話をまとめる時間をとります。思ったよりもクリアに相手に見えます。ただ、大勢で実施しているオンライン会議の場合、自分の画面の大きさが相手から見て小さいので、「私の画面をスピーカービューで大きくしてもらうと見やすいですよ」と一言声をかけてから見せるといいかも。

ちなみに、自分からみると自分の描いた絵や文字が逆さまになっているように見えますが、相手にはきちんと読める向きになっているので大丈夫!


B. グラフィックを描く人は一人/参加者の目の前でリアルタイムにかく
グラフィックを大きな画面でみるか、参加者全員の顔をみるか、参加者ひとり一人が選択できる

使用ツール:模造紙、模造紙を撮影する端末(スマホ、タブレット、パソコン・・・)
活用シーン:③、④向け

これまでのアナログなグラフィックをそのままオンライン会議に。これでも十分OK! 描いている様子がリアルタイムに見えるのと、意外と文字の大きさを大きくすると見えるので、デジタルツールのない方はこれでも十分。模造紙を貼る壁さえあれば・・・!

そう、模造紙を貼る壁を自宅に用意するのと、カメラのセッティング(角度など)が思いのほか大変だったりして、気合いがいるかもしれない点をのぞくと模造紙のままでも十分です!

とはいえ、せっかくなので、オンライン会議中に画面を共有しながら見せたり、双方向コミュニケーションの一つとして、描き込んでもらったりしたい・・・という時もあります。次からはデジタルツールを使うパターン。


C. グラフィックを描く人は一人/
グラフィックを画面共有しながら参加者の目の前でリアルタイムにかくver.1

使用ツール:タブレット1台(+タブレット用のペン)
活用シーン:④(③)向け

<img alt="画像6" src="https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/24705418/picture_pc_8e991e5b4a9ac6cda831ef105f0205b2.jpg" width="620" height="438">


注意点:自分以外の参加者が画面共有しているときは、自分のタブレット画面を共有できません。そのときは、手元で描いておいて、良いタイミングで、タブレット画面を共有しながら振り返りや、そこまでの話をまとめる時間をとっています。(Dも同様)

この方法で十分グラフィックを描きながら共有できる。
注意したいのは、パターン1の場合、タブレットを寝かせて使用するので、カメラの位置が手元にきて鼻の穴が映るアングルで自分の顔が映るので・・・カメラをオフにしたくなる(→そうすると、自分の顔は相手に見えず、相手からはこちらの様子が一切わからないので、話しかけづらくなったり、こちらとしても、心理的に会話に入りにくくなってしまう気がしています)。パターン2は、自分側の映像はカメラから映らない設定(なので、以下同様)。


D.グラフィックを描く人は一人/グラフィックを画面共有しながら参加者の目の前でリアルタイムにかくver.2

使用ツール:タブレット1台(+タブレット用のペン)/パソコン
活用シーン:④(③)向け

Cの課題だった、自分の顔が相手に見えない。を解決。マンツーマンのヒアリングの時など、相手に質問しながら描くのであれば、自分の表情が見えることで相手に安心感を増やせるし、こちらがおすすめ。

でも・・・C,Dの場合、グラフィカーが画面共有すると、参加者の意思とは関係なくグラフィックが強制的に共有されてしまうので、「参加者全員の顔をみながら話したい」という人は不満になる。そこで次の方法。


E. グラフィックを描く人は一人/参加者の目の前でリアルタイムにかく
グラフィックを大きな画面でみるか、参加者全員の顔をみるか、参加者ひとり一人が選択できる

使用ツール:パソコン、タブレット(+タブレット用のペン)、
キャプチャボード、必要なコネクター
活用シーン:③、④向け

こんな感じでいろいろ組み合わせて使います。(詳しくないので、ゲームに強い人から詳しく聴きたい・・・!)でも、まだ仕様に問題があったり、充電の減りがびっくりするくらい早かったり、私の古いMacではザーザーと線が入ったりすることがあるので、チャレンジしたい人はどうぞ・・・としかまだ言えません・・・

いや、そこまで本格的に揃えるのは私にはちょっと。まずは気軽にやりたいんだよ、という人は、まずは手元で紙に書いてから共有するところからぜひやってみてください。

最近、話しているときにリアクションをもらって素敵だな、と真似したのはこちら。

オンライン会議だと、一人が話しているときに他の人が話しにくいので、こんな風に手書きでさっと描いて、誰かが話しているときに見せるのはリアクションがもらえていいな、とじわじわ感じている今日この頃です^^

と、ここまで一人で描くパターンを紹介してきたのですが、自分も話合いに参加しやすくて、すいすい話が進むのはこのパターン。

**
F. **複数人でかきながら話す
zoomのホワイトボード機能をつかうと、全員でかけます。

使用ツール:パソコンもしくはタブレット
活用シーン:②、③、④向け

【画面を共有→ホワイトボード機能】を使う。
パソコンからでも、タブレットからでも使用できます。

ホワイトボードを共有開始した人以外も、画面上でペンやスタンプを使うことができるので、みんなでもりもり描けます!

画面共有した以外の人がペンやスタンプを使うときの設定【詳細→コメントを付ける】

絵を描くことに抵抗ある人も、文字を打ったり、【絵を描く】ボタンにはスタンプもあったりするので、意外とハードル低く参加できます^^


おまけ1・双方向のコミュニケーションにこんな使い方も!

双方向コミュニケーションの一つの手段として、描いたグラフィックに、スタンプ(下図の★や?、✔️、→)で投票をしたり、文字を描き込んだりすることができます。パソコンからでも、タブレットからでも、全員参加できて、聴きっぱなしにならず、参加感が増すので、より自分ごとになりやすくなります。会議やイベントの最後に5分くらい振返りの時間をとって「印象的だったとこと」「おもしろいとおもたっところ」に投票してみても面白いかも。


実際に頼んでみたい!〜ホストの方へ

オンラインGFを活用してみたい、頼んでみたいという方へ

先ほど紹介した以下の図をもう一度使います。

【GFが活用される場面(目的別)】
①自分の頭の整理をするために描く
②話を聴いて、自分がその時に思ったこと考えたことを残すためにかく
③参加者の記録として描いて残したい
④参加者の対話を活性化する目的でかく

きっと、ご自身のイベントや会議にオンライングラフィックの導入を検討されている方は、③の紫色と④のオレンジ色のようなことをGFに期待される方が多いのではないかな。と思います。

もし、グラフィックをお願いするのであれば、①②ではなくて、③④の描き方で依頼することと、事前の打ち合わせは必ず入って、目的の共有は大切にしてください。時間にゆとりのある方はこちらの記事も参考にしていただければ、安心して当日が迎えられると思います。


おまけ2・描いている時/描いた後のグラフィックの活用法

①アイデア発散
アイデア発想やブレインストーミングのときは、目の前でリアルタイムにかくことをおすすめします。グラフィッカーにはスピード感が求められますが、アイデアが発散することに貢献します。

②その日の振り返り
会議(研修やイベント)の途中/最後にグラフィッカーから振り返りをすることで、参加者にその日の流れを思い出してもらったり、自分はどう思ったか考えるきっかけをつくります。短めにするのがポイントです。時々10分も振返りに時間をとってくださる方もいますが、ちょっとだれてします。2分程度、長くても5分程度のダイジェストもしくは印象的だったところだけの振り返りが適度かなと思います。

③その日の振返りとして参加者に共有する
グラフィックはあくまでも、グラフィッカーが受けとった内容を可視化しているものなので、ぜひ、その場に参加した方や、描いた方の感想を添えて参加者に共有してください。そうすることで、「参加しておわり」ではなく、終わった後から「自分はどんなこと考えたかな?」と、後からじわじわと生まれてくる気づきを促すきかっけになります。

④次回の会議(研修やイベント)の最初に、前回の振返りとして
オンライン会議はボタンをぽちっとおすだけで会議画面に入れてしまうので、心の準備ができていないまま入ってこられる人もいます。はじめの10分程度は、肩ならし、振り返りに使うと、ひとり一人が整った状態で会議に集中しやすくなる気がします。ぜひ、振返りの際にはグラフィックを活用してみてください。

⑤報告書や広報誌、SNSなどで共有する
描いたグラフィックを、その場に居なかった人に届けたり、報告書として活用します。グラフィックはあくまでも、グラフィッカーが受けとった内容を可視化しているものなので、ぜひ、その場に参加した方や、描いた方の感想を添えて共有することをおすすめします。

⑥必要に応じて、編集し直してまとめ資料にする


最後に・・・

あれやこれや話してきましたが、次々にオンラインツールが出てきている今、最適なツールを探すのも大事だとは思いつつも、それよりも、場の目的に合わせてプロセスデザイン(話しやすい場づくり、安心して参加できるしかけ)が大事なんじゃないかと感じています。「オンラインツール」も、「オンラインGF」もあくまで手段であって、「目的」があってこその手段。「目的」に合わせた活用方法や、プロセスデザインができているか?、いつも自分に問いかけていることの一つです。

例えば、リモート会議のはじめに、「みなさんが後から今日の場を振返れるようにするために、グラフィックを描きます」「対話を活性化させるためにグラフィックを活用します」「会話に入るタイミングが見つけるのが苦手な方もグラフィック見ながら入るタイミングを見つけてもらえるようにも活用してもらえたら」など、グラフィックを活用する目的を伝えておく。

例えば、リモート会議の終わりに「あくまでも私が聴こえてきたことを描いたものがこのグラフィックです。かけていない部分をたくさんあるので、このグラフィックと一緒に、みなさんの説明や、思いが話されて完成なので、ぜひ、活用してくださいね。」と伝えてみる。等々。声かけにも、いろいろあると思います^^

オンラインでの取り組みが増える中、誰一人取り残さない場づくりのために、オンライン・グラフィックレコーディングも一つの選択肢になれば、と願って。



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