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【コスト1/100削減の事例】事業初期のFinOps実践でやるべきこと・やらなくていいこと

こんにちは、株式会社DELTAの広報です。

2022年10月27日にマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社 HIRAC FUND様と共同で開催した、「今からはじめるFinOps|事業初期にやるべきこととやらなくていいこと」のイベントレポートをお送りします。

欧米では2019年に『FinOps Foundation』が設立され、現在加盟企業は1500社を超えます。

FinOpsとは一言でいえば、「クラウドコストを可視化して、最適化しながら開発しよう」という考え方です。「今からはじめるFinOps」では、サーバーコストの削減代行サービス「CTO Booster」導入50社の実績をもとに、成長企業に共通する課題やその対策の優先順位を扱います。

今回の勉強会は、弊社代表取締役CTOの丹哲郎が、株式会社TesTeeのリードエンジニア 内田広樹さん、taseky株式会社のエンジニア 深見将一さんを迎え、HIRAC FUND投資先企業のエンジニア含む約10名の参加者向けに開催しました。

体系的な座学と、「しくじり先生」企画の合わせ技でお送りしました。

今回はHIRAC FUND投資先のベンチャースタートアップ企業様向けの勉強会ということもあり、今後FinOpsを実践しながらスケールしていくために今やるべきこと、今やらなくていいことを知ることを目的としました。

まず知っておきたいFinOps実践のフレームワークを紹介

今回は会で扱ったノウハウやスライドの一部をレポートとして公開します。

実費だけではなくTCOで捉える

前提として、TCO(Total Cost of Ownership)という考え方を紹介。
クラウドにかかるコストを実費、管理コスト、機会損失の三つの要素で捉える考え方です。

「特にスタートアップベンチャーにおいては、優秀なエンジニアが攻めではなく守りにリソースを割かざるを得なくなることによる機会損失も大きくとらえるべきだと実感しています。」

クラウドコストが肥大化するパターン紹介

インフラ、アプリケーション、通信の三要素でコスト構造を把握します。

実例を交えながら、CTO Boosterサービスを提供する中でよくあるクラウドコスト肥大化のパターンをフレームワークに沿って紹介しました。

まずはスペックの柔軟化からはじめてみよう

詳細は無料相談会にてご説明可能です!

TCOの観点から人的リソースと金銭的コストを両方最適化するソリューションが優先度高として、座学のコーナーを終えました。

TesTee内田さん的「やるべきこと」

後半は、TesTeeの内田さんとtaskeyの深見さんより、FinOps実践にまつわるしくじり経験と、「CTO Booster」導入を含めた各施策の成功体験、また「今やるべきことと、今やらなくていいこと」についての考察をピッチ頂きました。

「バズる→鯖落ち」回避のための対策

TV放送で新規登録者を多く獲得したかった矢先…

TesTeeの内田さんは、最適化の反省事例として、TV放送によるトラフィックの増加によってサーバーがダウンしてしまった件を扱いました。

何に負荷がかかるのかによって、対策パターンも変わります。

「結論から言うと、ユーザーの登録時にSELECT LAST_INSERT_ID()を取得するところで負荷がかかりすぎていたのが原因でした。」

「弊社のサービスは普段も時間帯によっては大幅にリクエストが増加することはあり、そこはスケールアウトで対応できていました。しかし、TV放映の場合は、普段の負荷と違って、新規登録処理がめちゃめちゃ増えるというイレギュラーなパターンだったというわけです。普段の対策の延長線上で対策ができていると考えてはいけなかったなという教訓を得ました。」

不安な部分は戦略的にアウトソーシング

「自分ひとりで改善するのは不安だったので、
専門家に調査や検証をしてもらえたのはよかったなと思っています。」

そして、鯖落ち事件を経て向き合ったインフラ開発の最適化の施策の中から、「Github Pages」「AWS請求代行サービス」「Amazon Aurora」「Cloudflare」の活用をよかった先生と題して紹介いただきました。

「Amazon Auroraにまつわる最適化のノウハウが少なかったところを、CTO Boosterさんと一緒に取り組みました。インスタンスの台数をTV放送に備えてベースを増やしたままだったものを、かなり削減しました。」

TesTee社はこれらの施策によって年間1200万円ものコスト削減に成功
詳細エピソードについてはこちらのnote記事にて特集しております。

アウトソーシングの必要性についても語っていただきました。

「(こういう類の最適化は、)早くやれよって話ではあると思いつつ、自分なりに手探りでやってサーバーを落としてしまったらどうしよう、と不安ではあったので、専門家に調査や検証をしてもらえたのはよかったなと思っています。」

taskey深見さん的「やるべきこと」

taskeyの深見さんのパートも、同じくコスト最適化のしくじり事例と、ここ1年で取り組んだ改善施策の発表から始まりました。

DynamoDB移行でコストが1/100に

突然のバズはインフラエンジニア泣かせのイベント。
普段からリスク対策に向き合う時間をとっておく必要がありそうです。

まずはe-Storyアプリ「peep(ピープ)」がYoutubeでバズッた際に、毎日プッシュ通知とともにアプリが落ちてしまったというしくじりに触れました。そして、OpenSearchからDynamoDBへの移行を検討するものの、社内に有識者が不足しており悩んでいた過去を振り返りました。

コストが1/100になったのはインパクト大きいですね!

そんな中、今年CTO Boosterを活用し、無事にDynamoDBへの移行が完了。コストはなんと50~100分の1まで縮小しました。

「インフラに関してはググっても答えが出てこないことが多い。大企業の事例記事などもスケールが異なるため参考にならないことが多い。そういう時にこそ、プロに聞くのが早い。有識者5人に会って共通項を見つけて習得していくのが最短ルートであると思います。」

スタートアップのインフラは多少の不完全性を許容する

「やるべきことは技術を最強にすることではなく、ビジネスを加速させる技術体制を取ること」

また、参加企業に多いベンチャースタートアップが機能開発とコストの最適化のバランスを保つために、今やるべきか否かをどう判断すべきかという論点にも触れました。

「インフラ開発については、常に BEST ではなく BETTER で留めたこともよかったかなと思っています。」

「技術に限らず、習熟度 80%くらいから先は⼀気に時間がかかります。僕らベンチャースタートアップは、ユーザーに価値がある機能を⾼速で作っていく必要があり、必ずしもその技術の超⼀流になる必要はない。そういう意味だと、黎明期の習熟度は80%くらいが⼀番いい塩梅だと思っています。」

「特に黎明期は、技術の成熟度が低かったり、イケてない選択をしているせいでメンテナンス性が多少落ちたとしても、ある程度は許容しましょう。
メンバーのエンジニアもダサい技術のままではいたくないという意見は尊重しつつ、なぜこのアーキテクチャを選定しているのかを丁寧に説明し、現時点の開発スピードを上げることに集中しましょう。」

「長期的な経済合理性も大事ですが、ベンチャースタートアップは来年続いているかどうかもわからない以上、今の開発スピードが大事です。
仮に人件費が50万円/月かかっているとして、その人がいくらコストを1週間で2万円のコスト削減ができた、と言ってもかけている時間、その時間で作れた機能・価値で換算すると圧倒的に損しています。」

「その上でビジネスのコアな部分以外は自分で作るとかではなく、SaaSに頼るなどしてバランスをとっていったらいいと思います。」

「最近SNSでも語られていましたが、ベンチャースタートアップのCTOは開発技術はもちろん、ビジネスへのコミットや社内の人材の採用やマネジメントなど幅広くスキルを求められます。ぜひ経験者として伝えられることもあるので何か悩んだら飲みに行きましょう」

会の目的である、今やるべきこととやらなくていいことを知る、ことに繋がる考え方を実体験にもとづいて話しながら、心強いお言葉で後半の発表を締めていただきました。

次回開催のご希望も多数いただきました!

「github pages知ってましたが、非エンジニアが運用できるって考えたらめちゃくちゃ良いですね!」
「セキュリティや速度改善もかなり参考になるので、またよろしくお願いします。」

など、参加者の皆様から嬉しいコメントを頂きました。
セキュリティや監視、速度改善のノウハウなどを扱う勉強会を今後開催予定です。ぜひ、DELTAのnoteをフォローしてお待ちくださいませ。

コスト最適化ならCTO Boosterにお任せください

FinOpsの実践には、最適化のノウハウと管理者リソースの両方が必要です

「優秀なCTOやエンジニアが事業成長に直結する開発に集中できる環境を整えたい」という想いで立ち上げた「CTO Booster」は、コスト高の調査から作業までを代行し、リソース面でもお手伝いします。

まずはサーバー代の無料診断から

ヒアリングを通じて、貴社にあったコスト削減の施策をご提案します。
また、現状のサーバー代に何円の削減余地があるかがわかるレポートを無料でお渡ししております。

無料診断レポートの例

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