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住民の愛着ランキング1位なまち(神奈川県藤沢市)

【まちnote #30】神奈川県藤沢市

学生時代に通った藤沢市。

改めてその立地をみてみると、西に茅ヶ崎、東に鎌倉・逗子・葉山がある海のまち。思い返すと、僕自身は比較的藤沢市の内陸にある湘南台のキャンパスに通っていましたが、そこからでも車・電車であっという間に江ノ島の海に到着する印象がありました。

海のイメージも強いまちですが、その一方で、JR東日本・小田急電鉄・江ノ電という3つの鉄道が交わる藤沢駅は商業施設が発展し、人通りもにぎやかで、都心の趣もあります。

そんな藤沢は、シビックプライド調査2018において、愛着ランキングで全国1位に輝くくらい、住民から愛されるまちです。

海と都会が混じった、住民の愛着が日本一のまち、藤沢市についてメモします。

Fujisawaサスティナブル・スマートタウン

第二次世界大戦後には、東京のベッドタウン化として人口が急増した藤沢市ですが、2014年には「主婦が幸せに暮らせる街ランキング」でも全国1位に選ばれる等、とても住みやすいまちとして有名です。

上記のランキング1位獲得も含めて、「藤沢市が住みやすい」というブランドが一気に広がり始めた2014年、パナソニック社が代表幹事を務める「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、Fujisawa SST)」が立ち上がりました。

パナソニックの工場跡地(約19ha)を活用し、「100年先も持続可能なまち」を目指して官民一体で取り組むビックプロジェクト。

住みやすさでは既に全国トップレベルの評価を受ける藤沢市が、次の100年を見据えた将来の「住みやすさ」に挑戦する取り組みであり、特にスマートシティ構想を描いてまちづくりを進める人にとってはヒントが満載です。

その活動について詳細に記載された下記の記事を読むと、「住みやすさ」のために、パートナー企業が持つ効果的なテクノロジーを活用していく、という根柢の考え方が見えてきます。

少子高齢化、人材不足が進む厳しい時代を乗り越えるには、効果的なテクノロジー活用が必須になってきます。FSSTは藤沢市はもとより、日本社会の在り方を占うヒント。自治体でスマートシティ政策が盛んになってきていますが、FSSTでの取り組みは各自治体での手本になっています。FSSTが優れているのは、くらし起点でテクノロジーを取り入れているところ。市民生活にどのようにテクノロジーを活用していくか――その視点で引き続き、FSSTとのパートナーシップを強化していきます。
(藤沢市役所 企画政策部企画政策課 主幹 水野 郷史氏)

上記の水野氏のコメントにあるように、人口動態だけは抗いようのない社会変化であるため、世界に先駆けて人口減少ステージを迎え課題が山積みの日本が、人口が減る中でも「住みやすさ」を維持していく挑戦はとても重要です。

そして、いずれ先進国を中心に世界中が人口減少ステージを迎えることを考えると、世界から注目されるまちづくり事例になっていくでしょう。実際に、2020年時点で、世界50カ国以上から視察団が来訪してるようです。

上記の記事のように、本活動は今でも活力を保ち様々な取り組みをしていますが、その成功要因の一つとして、「Fujisawa SST マネジメント株式会社」を設立があると感じます。「Fujisawa SST マネジメント株式会社」はパートナー企業9社が共同出資して設立された会社で、エネルギー・セキュリティ・モビリティ・ウェルネス・コミュニティという「住みやすさ」を実現する5分野のサービスをワンストップで届けることを目的としています。つまり、パナソニック社単体のキャパシティを超えて、住民の「住みやすさ」を追求するマネジメント会社になっているということでしょう。

直近の同社に関する記事が下記になりますが、出資者である9社だけでなく、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス、藤沢市との連携も密に行っているようです。

もちろんメーカーとして、さまざまな事業につながる、不動産価値が上がるという「効果」は期待しています。しかし、そのスタート地点は縁のある地域の課題を解決し、住みやすい街づくりに貢献したいという思いがきっかけでした。
(Fujisawa SSTマネジメント代表取締役社長 荒川 剛)

企業としての事業性があるからこそ、まちの発展に対して継続的に中長期的に貢献できる、という考え方がとても重要だと感じます。

100周年を迎えたパナソニック社が、次の100年を見据える超長期的なビジョンを持ち、そのビジョンを藤沢市の今後の100年に重ねて活動している。そこのスタンス自体が、民間連携が円滑に進んでいく一番大切な要素なのかもしれません。

Fujisawa SSTは、今も「住みやすさ」を実現するテクノロジー活用を日々実験し、進化しています。

このFujisawa SSTの取り組みは、同県である綱島での取り組み「Tsunashima SST」への発展し、2022年には吹田市においても「Suita SST」が始まるようです。

このように、全国で応用されるフレームワークとなったFujisawa SSTの今後の取り組みにも注目していきたいと思います。

片瀬江ノ島駅

大きく話は変わりますが、「住みやすい」まちである理由の一つに、江ノ島という自然体験・非日常体験ができるスポットがある点も挙げられるでしょう。

全国有数の観光地である江ノ島は、ピーク時には1,900万人を超えるひとが訪れる場所です。

そんな江ノ島の玄関口となる片瀬江ノ島駅が、2020年に新駅舎となったことが話題になりました。

1929(昭和4)年の開業時から「竜宮城スタイル」の駅舎で知られていましたが、長年親しまれた旧駅舎のイメージを残しつつ、より「竜宮城らしい」駅に生まれ変わりました。

かっこいい・・・

一方で、ここまでドラスティックな風貌の変化があると、比較的ネガティブな反応もありそうですが、全然そんなことはなく、ネット上では鉄道好きの方を中心にポジティブな反応が多いようです。

この新駅舎が完成した後、片瀬江ノ島駅は、「SUUMO 新築マンション 首都圏版」の住民に愛される街ランキングにて、堂々の1位を獲得しています。

そこからも分かるように、江ノ島エリアに住む住民の方々が愛する竜宮城の要素を十分に残した、住民の共感を得られる素晴らしい改築工事だったのだと思います。

下記の記事からも、改築前から、小田急電鉄と藤沢市が密に住民とのコミュニケーションが図ってきたことが分かります。

駅前広場の再整備を進める藤沢市 計画建築部 江ノ島地区周辺整備担当は、駅周辺の地元自治会から聞き取りをおこなって得たという、「竜宮城のデザインを残してほしい」「(地元住民と観光客)みんなから愛されるようなデザインを検討してほしい」といった声を、小田急電鉄に強く伝えているといいます。

今後の藤沢市

Fujisawa SSTを中心とした「住みやすさ」の追求、江ノ島を中心とした観光地としての発展、藤沢市の未来は本当に楽しみです。

2032年にはJR東海道線に「村岡新駅」ができ、武田薬品工業の研究拠点などを生かしたヘルスケア関連のまちづくりが進んでいくそうです。

次々にまちづくりの新しい形に挑戦する藤沢市にの機運を感じながら、ひさびさに江ノ島名物の生シラス丼を頬張りたいものです。

はー、ひさびさにいきたいなー。

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