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第1話から読む。 前話(21)から読む。 <登場人物> 翔子:主人公 芳賀啓志:翔子の父 芳賀朋子:翔子の母 芳賀登美子:啓志の母、翔子の祖母 芳賀仁志:啓志の父、翔子の祖父 ジャン:翔子の夫(イギリス人) 鳥越玲人:翔子の従兄 鳥越貴美子:玲人の母、啓志の姉 鳥越瑛人:玲人の息子 * * * * * 第4章:虹――<スイング> 05 翔子は『資本論』を棚に戻す。 雨があがったのだ
第1話から読む。 前話(20)から読む。 <登場人物> 翔子:主人公 芳賀啓志:翔子の父 芳賀朋子:翔子の母 芳賀登美子:啓志の母、翔子の祖母 芳賀仁志:啓志の父、翔子の祖父 ジャン:翔子の夫(イギリス人) 鳥越玲人:翔子の従兄 鳥越瑛人:玲人の息子 * * * * * 第4章:虹――<スイング> 04 隣家との塀にそって孟宗竹の植えられた北向きの書斎は、とがった陽ざしが射し込むこともなく、
第1話から読む。 前話(19)から読む。 <登場人物> 翔子:主人公 芳賀啓志:翔子の父 芳賀朋子:翔子の母 芳賀登美子:啓志の母、翔子の祖母 芳賀仁志:啓志の父、翔子の祖父 ジャン:翔子の夫(イギリス人) 鳥越玲人:翔子の従兄 鳥越瑛人:玲人の息子 * * * * * 第4章:虹――<スイング> 03 ――この屋敷を残したい。 その思いは、玲人にもあった。叔父は最後まで口にはしなかったけ
第1話から読む。 前話(18)から読む。 * * * * * 第4章:虹――<スイング> 02 翔子の困惑など素知らぬげに、庭の青紅葉の枝で四十雀が甲高い鳴き声をしきりにあげていた。 いつもは深く濃く凪いでいる翔子の黒目がちの瞳が、視点が定まらずに泳いでいるのを、玲人は認めた。幼いころから翔子は動揺すると瞳が泳ぐ。翔子が何を懸念しているのか、胸のうちが手にとるようだと、玲人は思った。 「叔父さん、ここからは、僕が」 玲人が啓志に目くばせする。 「どの順で話したものか
第1話から読む。 前話(17)から読む。 * * * * * 第4章:虹――<スイング> 01 翌日は、朝から晴れていた。 縁側の端から、朝の光の束が細い筋となってハープの弦のように並び、居間まで射し込んでいる。光の音色が聞こえてきそうだと翔子は思った。 ――昨日、梅雨入りが発表されたというのに、空も気まぐれね。 広縁から庭に下りて、空を見あげる。 刷毛ではいたような薄い雲がたなびいていた。築山の裾で紫陽花が白くまるい顔を輝かせている。 翔子は、うーんと大きく
第1話から読む。 前話(16)から読む。 <登場人物> 翔子:主人公 芳賀啓志:翔子の父 芳賀朋子:翔子の母 芳賀登美子:啓志の母、翔子の祖母 芳賀仁志:啓志の父、翔子の祖父 ジャン:翔子の夫(イギリス人) 鳥越玲人:翔子の従兄 * * * * * 第3章:帰宅――<ホーム> 09 「いい機会だから、私からもひとつ謝っておこう」 翔子の視線を受け止めると、父がまるで世間話でもする気軽さで言う。 雨があが